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男の名はエージェント・ダーン

「誰だお前は!?」


 黒スーツに身を包み、右手を懐に入れたガタイのいい男が、黒装束を着た一人の少年を鋭い眼光で睨み付ける。この男は、とある国家経営に携わるものであるが、政治資金を犯罪シンジケートに横流していた詰めていた。

 明らかな犯罪に身を染めている汚職議員だが、彼を逮捕する事は出来ない。

 法の番人ですらシンジケートに命を狙われていて、捕まえようものなら逆にこちらが消されてしまう。

 そんな恐怖心から、誰も彼を裁く事が出来なかった。たった一人を除いて……。


「自国からの使者エージェント・ダーンだ!!」


 黒装束を脱ぎとり、高らかに名乗りをあげる。その顔は仮面によって覆い隠されていて素顔を伺う事が出来ない。


「ダーンだと……。まさかこんなところに現れるなんて……」


 男は恐怖した。このダーンこそは、自分達の組織の人員を次々に暗殺していった人そのものだからだ。


「貴様を国家反逆の罪で処す」


 少年は逆手にナイフを持ち、男に斬りかかろうとする。


「この偉大なる議員に反逆するというのか」


 男は懐に隠し持っていたトカレフを抜き出して少年の心臓に向けて引き金を引く。


 カチン


 虚しい音が響く


「何故だ。何故発射されない」


 男はあわてふためいて銃口を覗きこむ

 その時、少年はニヤリと不気味な笑みを浮かべた。

 

 パシューン


 拳銃が暴発して男の左目を抉った。

 あまりにも早すぎる自分自身への変化に男の思考が追いつかない。


「おかしい。視野が急に狭くなった。ゴミでも入ったのか」


 男は拳銃を地面に落とし、自分の左目に触れた。だが、視野が戻ってくることはない。

 そして、自分の手が血で汚れていることに気がつき初めて現実を理解した。


「私 の 目 が な い」


 少年はそろそろ仕留める決め、ポケットからスイッチを取り出して男に見せる。


「このスイッチを押すと貴様の眼面にめり込んだ弾丸が爆発する。最後に聞こう。

 組織のアジトを言え。命だけは助けよう」


 だが、男は自分の命よりも、組織への忠誠心から強固な意識で言った。  


「断る」


 答えを聞くやいなや、スイッチを押す。

 男の頭蓋骨を破壊して脳液が周囲に散乱する。そして男はこの世を去った。

 その様を見届けた後、トランシーバーを取り出して少年は報告した。


「こちら、エージェント・ダーン。ミッションクリアだ。拠点に帰還する」


「(こちら本部。了解した)」


 応答を聞き、血肉の強烈な香りをするこの場所を去った。

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