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秋葉語り古事記 その3

イザナギ神は、振り返り…視た。

視てしまった。


背後には、死した生れの涯そのものに化わり果てた、

愛しい妹イザナミ神が……立っていた。

全身に、神避りて(さり)御隠れになる原因となった

八つのイカヅチ神が身の内より湧き出でて、怪しげに

ほの輝き、光っていた。

その陰影は、醜悪なる蟹のようにも見えた。


「よくも…………


わらわが思いを……」


怨めしさと苦悶によじれた声音と共に、空の眼窩より

血の涙が


一筋……


したたり落ちた。

ウジとムカデも零れ落ちた。

あまりの恐ろしさに兄神もあとじさった。


「わらわに!よくも!!!!恥をかかせおったな!!

イザナギ!!!!


もはや!

この地の底にて、屍を晒すがよいわ!!!!


死にさらせぃ!!ボケッ!! 」



イザナギ神は、雪崩れ込むように被い被さろうとする

完・全に、ブチ切れたイザナミ様を、よろけるように

避けると、縮地功を用い、宮の扉の100m前まで転移。


「地味に遠いではないか!?門まで!!!?」


仕方なくイザナギ神は、一気に!!!!音の壁を越えて、

ベイパーコーン雲が、発生するほど超音速に加速し、

豪奢で頑強な扉を、一撃で綺麗な神形に型抜きして!!

強行突破。


その後は……。


全身全霊の実力でトラックを疾走する、ボルトよりも

迅く元来た一つ路を駆け、いも、イザナミ神の

元より逃げ出した。


あまりの逃げっぷりの良さに、ちょっぴり…


ぽかーん?


とした、イザナミ様。

かなりラブリーだwwww


だが、はた!と我に返り、鋭く言い放った。


「ヨモツシコメよ!!


彼の者!!!!


()くと追えぃぃ!!!!」



ほの昏き黄泉宮で沈むように延びていた濃い影より、

突如、次々顔を出し現れた実用一点張りの鍛えに鍛え

抜かれた恐ろしき女衆は、イザナギ神を追った。


黄泉津の一つ路を駆け逃げていたイザナギ神は後から

ひたすらに追いかけてくるヨモツシコメ共に気付くと

クロミカズラの冠を取り、振り返る事なく、後ろ手に

投げ打ち、


「たれぞ在るや!


()が、逃げるを助けよ!」


と、を説いた。


みるみるうちに投げ落ちた冠より、いきいきとした、

山ぶどうがたわわに実り、つい……(汗)目を奪われた

シコメ共はそれをつまんで貪り始めた。


アントシアニンたっぷりで口の周りを、ま紫しつつも

一心不乱に山ぶどうを口に詰めこんでいる(汗)


よし♪


さらに、加速!して逃げるイザナギ神。


だが、それも一時しのぎ。


果てなく続く、黄泉の一つ路。


走っても走っても走ってもあのきり立った平坂はまだ

視えない。


ヨモツシコメ共は、もはや息使いすら聞こえ、すぐ…

後ろにいるのであろう。

イザナギ神の背後に!!


恨みがましい小声と気配がひしひしと伝わってくる。


イザナギ神は、さらに気合いを入れ、ダッシュ!!


今度は右のみづらに挿していた竹のユツツマ櫛を抜き

また歯を幾本か折ると、


「たれぞ!在るや!!


吾が逃げるを助け、ケガレ繁きモノを此処に留め、


退(しりぞ)けよ!」


と、を説いた。


右手の、親指・人差し指・中指の3本で詰まんでいた、

櫛の歯がイザナギ神の息吹で消えた。


すると、

みるみる内に、生き生きとした無数の竹の子が堅い土

より頭を出し、シコメ共の足を留めた。


飢えに勝てぬシコメ共は、堅い土をほじり、取りたて

の竹の子を貪り始める。


イザナギ神は、またもや逃げに逃げた。


業を煮やした妹イザナミ様は、己が身に巣食う


八つのイカヅチ神


に、千五百ちいほもの黄泉津戰人を率いさせて、

兄神の後を追わせた!


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