プロローグ5
いさ子は、モスグリーンなアリスバーリーの、スーツの
ポケットから、渋い飴色のカード入れを出して、緑色の
カードを一枚抜き取ると、中指と人差し指の間に挟み、
私に差し出した。
「ここの、カードキーよ。
無くさないように。
それ、無いと入るの面倒なのよ」
私が、目を白黒させていると、
「早く、取って」
と、催促してきた。
私が受け取ると、いさ子は大理石の階段を、一段一段、
ピンヒールで、軽快な音をたてながら上がっていく。
何だと!?軽い冗談か?
鍵…………(汗)
鍵って言ったよな(汗)
信じられん。
まだ、知り合ったばっかだぞ!?
だいじょぶか!?この女……(汗)
これは!!アカン!?と思い、すぐ問おうとしたのだが……
いさ子が、階段を上がる姿に心奪われちったwwww
そっりゃ!!もう……ドキドキぃwwww
アリスバーリーのスーツの背中から腰にかけての絶妙な
ラインがあまりに、
キュ……(はあと)
としてて、魅惚れてしまったのだ。
いさ子、ウェストってば!?ほっせー♪♪
程好い、美尻だしwwww
細くて、すね長な美脚
おぢさんはね?背中ラインマニアwなのだよwwww
百人に一人といっていい、女神の背中だぜ?
これこそwwww
しかし……(汗)
なにを(汗)たくらんでる?この女……(汗)
この女が、美しければ美しいほど、私の中で一抹の不安
がよぎる(汗)
私は、しがない上に、てんーで冴えない、色々な点で、
干からびかけた、おっさんヲタにーとだぞ??
なんの価値がある?
なにか、使い捨てで犯罪の片棒でも担がせる気か!?
などと考えていると……!?
「早く来て。怪しいわよ」
と、いさ子が階段の上から私を急かした。
Coolな眼差しと、口角を
きゅ♪
と上げた、微かな微笑みが和風に見目麗しく、少し……
惚けた。
私は、階段を二段飛ばしで上がった。
正面玄関の、でかい自動ドアが開いた。
いさ子は、私が駆け足で、後をついて行くのを予測して
か、当たり前に中へと入って行く。
あわてて中に飛び込むと(汗)
………………。
正面玄関から、エントランスの豪華絢爛な別世界ぶりに
打ちのめされた。
西日本でも、有数の超一流ホテルなみだ(汗)
それに全く構うことなく、いさ子は、ちょうど到着し、
ドアが開いたエレベーターに乗った。
私も乗ると、ドアが閉まり、22階に上がっていく。
エレベーター、でかっ!!!?
あとパッと見だが、エレベーター五基は並列してたぞ。
おまけに……めちゃめちゃ速いな!!
キューって、なる。おいなりさんが(汗)
エレベーターのドアが開くと、そこはまさに落ち着いた
超一流ホテルなたたずまいのエレベーターホール。
ものすごい風格と、オーラを放つ油絵の風景画が飾られ
白熱灯照明が、実にシックな雰囲気を醸している。
この階だけなのか?エレベーターホールに回転扉があり
我々が到着時に、ゆっくりと回り始めた(汗)
ゲートの役目らしい(汗)
いさ子は、慣れているからか胸がすくようなエレガント
さで、すり抜ける。
一方、私は!?かなりおどおどしつつ、通り抜けた(汗)
「気にしないで、秋葉。
誰にでも、最初はあるものよ。
慣れて」
いさ子は、胸を撫で下ろす私へと、クールに言う。
また先へと行く、いさ子。
フかフか…とした踏み心地の通用路を十七、八歩ほども
歩くと、部屋のドアが一つだけある。
一つだけだ(汗)
向こうの端まで、かなりあるが!?
いさ子が、ドアの前に立ち、向かって左側のコンソール
パネルのタッチ♪部分にカードキーをかざすと、
ピッ♪
という電子音の後で、施錠が解除された音がした。
連続したぞ!多重ロック?
タ・タ・タ!!カキッ♪
って(汗)
ドアノブをひねると、ドアを開け、
「さ、入って」
いさ子に促されるままに、私は、中に入った。
玄関のドアをくぐると土間から奥に、廊下が延びてるが
普通のマンションより、けっこう長い。
さらに、廊下の奥は深そうだな?
こ……(汗)このバカ広い、億ションのワンフロアー……
ぶち抜きなのか?
一所帯なのに、何部屋あることやら……。
廊下をまっすぐに進むと、リビングがこれまた広い。
無駄に広い(汗)
二十畳はありそうな、フローリングだ。
部屋の真ん中に、四畳ほどのペルシャ絨毯が敷いてあり
その上に、応接ソファーが置いてある。
キョロキョロとキョドっていると、
「座って」
と、いさ子に勧められた。
いさ子は、キッチンの方へ行き、冷蔵庫を開けている音
がした。
キッチンの方から、いさ子の声だけがする。
「何、やる?秋葉♪
お酒飲む?」
そだな……?
とか、ついつい乗せられて考えてると、キッチンから、
いさ子が顔だけ出し
どうすんの?
こらっwウィンクすんなwwww
食べちまうぞ?