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秋葉語り古事記 その4

ヨモツシコメ共の鬼鬼迫る気配が消え、


ホッ…


としたのも束の間(汗)


輪を掛けて、ヤバいモノがイザナギ神を追ってきた!!


黄泉津戰群(ヨモツイクサ)である!?


しかも!?足音と(きぬ)摺れの音から、ほぼ全軍フル装備で

あろう(汗)


ヨモツシコメ共とは、桁違いの神威に兄イザナギ神の

心は折れそうになる(汗)


いっそ…………

このまま……妹と…………


だが、その時によぎった。

よぎったのだ!?

雷斧(らいふ)に打たれたかのように。


(いま)わの際の、妹イザナミ神の言葉……。


「嗚呼…………



愛しきつまを、遺し隠れ逝くは……


いと、口惜しきなれど…………


あれら、双柱が神威合わせ、産み成した……


この国土(くにつち)を、愛しき子らを…………

子らに住まう、可愛らしく愛らしい青人草を……


これより先々までも、八重すえずえまでも……

どうか……


育て堅めくださいませ。

慈しみ下さいませ、お護り下さいませ。

わらわが……、お任せできるのは…………


貴方だけです、夫の(あに)様よ。

兄様な…らば…………」


儚き笑みと、はらりと伝う一筋の涙。

愛しく美しき、吾だけの妹であり、そして妻よ。


その、今わの哀願は、いまだ……


やはり……

まだ!逝けぬ!!

逝けぬのだ!!!!

妹よ……


たとえ!!そなたのもとで在ろうとも!!

そなたとの約束を果たすまでは!!!!逝けぬ。



済まぬ…………



あの時の亡き妻と同じく、儚き微笑みと、一筋の涙を

こぼし、イザナギ神は帯剣していた、


十拳とつかの劔


を抜き、後ろ手に振り斬り左手で杖も振り振り、幾度

も攻めを受け、汚らわしきヨモツイクサ共を退けた。


渾身の神技をもって、黄泉の軍勢をそこそこ引き離し

やっとの思いで、目に視たそびえ立つ黄泉津平坂を、


「さあ!!!!杖よ!!!?


延びに延びて、吾を平坂の坂本上へと、高く!運び

たまえ」


との()によって、棒高跳びの要領で険しい断崖の

如き黄泉津平坂を跳び越えて、生きてたどり着いた。

そして、辺りを見回すとなんとも、立派な桃の木が、

泰然と根を張り、たわわに桃の実を結んでいた。



その大きく結ばれた実は、実に()ましく清廉なる

神威を放ち、燦然と輝いていた。


イザナギ神は、追いついてきた八つのイカヅチ神共と

ヨモツイクサに向けて、平坂の坂本に燦然と輝きて、

生い茂る桃の木の美ましき桃の実を三つもぎて、待ち

構え、二度投げつけた。


すると、猛き黄泉の軍勢は!?桃の実の雄渾なる神威に

それまでと、うって変わり恐れおののき敗走し、黄泉

へと退いて行った。


「潰走していきおった……!?」


イザナギ神は、信じられぬ思いで、それをみる。

その時、一際誇らしく、輝ける()まし桃の実を

その手の内に見た。


イザナギ神は、桃の実へと(いた)く感謝をしつつ

ことのほか、えらいで、


(なれ)、死より逃げたる吾を助けたがごとく、あれら

兄妹が、産み造り固めた、


葦原の中つ国


に生ける、全ての命在る青人草が、病や亡きモノ

に患い苦しみ悩むときになにとぞ、その神威で…

救ってやっておくれ?


頼む」


兄イザナギ神は、桃の実を誉め讃え、


オホカムヅミカミ神


なる名を授けた。


神様にとって、名とは力のそのものであり、象徴。

オホカムヅミ神は、あらゆるマガツ、モノ、邪気を

祓い、重い病を散らし、癒す神である。


だが…

事は、済んでいない。

最後の最後は……


妹イザナミ神が現れた。

忽然と…………。


その亡骸の身にまといし、猛虐なる神威は、もはや…

これまでのいかなる手段も通用しないと物語る。


火光ほほと緋く燃えるような空の双眸は、兄神に

受けた深い恥辱に怒り猛り、今にも


殺神光線!


の一閃が、放たれかねない勢いだ(汗)


配下への飢えに付け込んだ絡め手はもちろん、今だ…

愛しき妹に吾が刄を振るうなど……


断じて、己が胸中が許さずオホカムヅミにもう一度、

助力を乞うのも、桃の実にへんなトラウマを植え付け

そうな気がする(汗)


ぺん♪


とか、手の平の一振りで、弾かれたりなんぞしたら、

可哀想すぎる……。



兄イザナギ神は、すぐさま千人ちたりをもって、

ようよう率き動くほどもの、それは見事に巨大な太磐

で、平坂上の中程に、率き据えて平坂を完全に塞いで

しまった。


発想の転換だね♪


大磐のあちらに、吾が妹が来た。


途端に!!!?


飛ぶ鳥を落とし、空は恐れ曇り、月は、欠けて翳り、

草木は頭を垂れる程もの、轟々たる音は、あちらより

太磐を揺らし割ろうと試みて、怒り猛る!!妹の怒号の

よう。


やがて……、止まった。


…………。


幾ばくかの沈黙の後。


「今だ、愛しき……

吾夫(あづま)の兄様よ……。


かような、酷い仕打ちをなさるならば……

妾は!! 兄様の国の人草をひとにちに千頭(ちがしら)くびり

殺しましようぞ!?」


妹の怒りと哀しみに震え、奮える声が、大磐のあちら

より来る。





「今だ、愛しき吾妻の……妹よ!?


なれが、かようにするというならば………

吾は、ひとにちに千五百ちいほもの


芽出度き産屋を、この国土に建てようぞ!?」


兄イザナギ神は、かように(かえ)した。


これにより、中つ國では、ひとにちに、一千人が死に

ひとにちに、一千五百人が新たに産まれる事になる。


こうして、夫婦神の双柱は事戸をわたし、つまだちの

誓いを立てた。


夜明けの晩が過ぎ、辺りがほの明るくなり始めた頃、


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