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プロローグ1

イケルモノ……スベテガニクイ!!!!



イヤセ………………アレヲ!!

イヤスノダ!!


201×年1×月××日

正午過ぎ。


日だまりをそよぐ風が、金木犀の馨りを運んでくる。

いい日に来たものだ。


寒暖が激しい日々だったためか、今年は、金木犀の、

開花が遅れたらしいがこの神社は、立派な石の鳥居を

くぐった途端、甘やかな薫風が体を抜けていく。

頬を撫でる風が、いたわるように心地よい。


新宮神社。


御祭神は、イザナミ神と、ハヤタマノヲ神と、ヨモツ

コトサカヲ神。


ほんとにいい風だ。

御神域の木々の薫りを含む、柔らかなる吹き心地は、

私がイザナミ様の神社に行くと、大抵、吹いてくれる

風なのだ。


なぜかって?


そりゃ、私がイザナミ様にメロメロで萌え萌えだから

だよ。うん。


申し遅れた。

私の名前は、秋葉征二郎。

今年で、42才。

独身、未婚。


現在、求職中だ。

リストラされてしもた、突然に(汗)

リストラ扱いだから、早急に給付金は受給できるし、

幾ばくかの退職金はある。


だが、職がないのは心許ない。

景気は、若干上向いてきたようだが、まだ寒い。

洒落にならん。


かれこれ、もう……数ヶ月(汗)

収入は、失業保険と退職金と多少の貯えだけだ。

早急に!働かなければ生きた心地がしない。

ガチで、ヤバイのだ…。

天涯孤独の身でもあるし。


そんなわけで、この社には一服の癒しと再就職祈願に

来たわけである。


スタスタと、石畳の参道を進み、本殿で拝礼し、本殿

横手の、杉の御神木の脇に据えてあるベンチで、一服

するとしやすかね?


んで、そちらを見ると……

御神木のそばに、なぜか!?美女が!!!?


御神木の方を向いているので、私からは背面しか見え

ない。


腰まで伸びた、烏の濡れ羽色の黒髪と眼福な流麗なる

背中から腰へのボディライン、絶妙な細さとバランス

の足が、私の両目を数瞬の間、釘づけに。


一瞬、たしろぐ私。

だが、なぜかそちらに足が進む。

何かが、私をそそのかす。

甘く、危険な何かが。

普段は、ヘタレのくせに。


それは、どこか悪戯心に似ていた。


そしらぬ顔で、ベンチに座り、


わかば


を、一本だすとジッポーで火をつけた。


一息吸い、わかばのヘヴィな吸い心地を

堪能すると、なんだか落ち着かぬ吐息を

ゆっくり出す。


なぜだろ?

すごく、落ち着かない(汗)


ドキドキ♪


ややっぱし……帰ろk


と、思った途端!?


風の向きが急に変わり、わかばの煙が、美女(予定)の

方へと運ばれて行く。


腰をあげ、わかばを消そうと、据え付けの吸殻入れで

火口をこすり消そうとした時、軽いつむじ風が、私の

すねに


ペタリ…


と、形良い、もみじの落葉を張り付けた(汗)

足止めするかのように(汗)


すると…、美女(推定)の顔がチラッとこっち見た。

グラサンかけてる。


めちゃくちゃ綺麗な輪郭。

美女(妄想)が、こっちに来た。


歩き方、カッコイイ!


整然とした立ち振舞いが、歩法に出ている。


私の前で立ち止まると、


「ジッポーの匂い。

《わかば》って…銘柄のタバ〇。


そして……冴えない顔……。


貴方ね?フフフ…


ゆめみの…とおり……」


美女(願望)が、淡々と…鈴の音のような声優じみた

声で言った。


なんか、初対面にしては…いささか失礼な一言がある

気がするが、まあ良い。


ホントのことだ。


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