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僕の知ってるハーレムはこんなんじゃない。  作者: 途虎
第1章 僕の知ってる部活はこんなんじゃない
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第2話「自己紹介」

 入学式を終え、足取りは重いけれど一年二組の教室のドアにたどり着いた……

 ここのドアを開けたらみんながいる。赤の他人がいる。今日から一年間同じクラスで歓迎遠足や球技大会や体育祭や文化祭など色々な行事で一緒に過ごす、赤の他人がいるのかと思うと開けずらい。

 仲間ではない、友達でもない。

 ――赤の他人。

 ガラガラと音をたてながら教室のドアを開ける。そこからみた教室の景色はみんな自分の椅子に座り、何も書かれていない教室の黒板を漠然と眺めている。あぁ、そっか。最初だからみんな緊張しているのか。中学の時もこんな感じだったけ? 最初はみんな一言もしゃべらずただ沈黙が続いていたのが一変、休み時間になった瞬間みんな話し始めて、なんだこいつらと思ったけれどその中に僕もいた。

 僕は自分の席に座り読書を始める。

 友達を作らない方法。

 それは他者との関わりを全て断つことだ。他人としゃべらなけれべ友達もできないし、相手側もなんだこいつと思って関わろうとしなくなる。なんて素晴らしい作戦なんだ! 僕は天才と言ってもいい。いや、天才だ。

 

 まだ少ししか読んでいない本を俺はしおりを挟み閉じることにした。先生がやってきたから。一年二組の担任は女性。第一印象は少し痩せ気味の黒髪がよく似合う綺麗な眼鏡の女性。性格はまだ知らないけれどあんまり先生とも関わりたくない。めんどくさいし、先生だってめんどくさいとか思ってたりするだろうし。

「みなさん、初めまして。今日から一年二組を担任をすることになった、夜来やらい京香きょうかです。」と言った先生は生徒を見渡し、自分の名前を黒板の真ん中に書き始めた。夜来京香……珍しい名前だな。そして、続けて話す。

「最初は皆さんに自己紹介をしてもらいます。名前と何か好きなものとか言ってください。」

 ——自己紹介

 これが何を意味するかわからないだろう。自己紹介は僕にとってこの世で一番危険な行為である。見ず知らずの人に自分の好きなこととか好きなものとかを言うんだぞ。同じ趣味の奴とかいたら最初の話の話題になるのは確実だ。あぁ。嫌だ。でも、どのみち自己紹介されても関わることはないからしてもしなくても同じだけど。


 相沢あいざわしおり。安藤あんどうかおり江島えじま一郎いちろう緒方おがたゆう彼方かなたえん恍惚こうこつれん佐島さじま凪沙なぎさ

「じゃ、次は沢良木さわよぎ君。お願いします。」 

 あ。名前間違えた。彼方とか恍惚とか一見、読み方を迷う漢字より僕の簡単な沢良木さわらぎを間違えた。よし、ここは心の中で笑ってやろう。大笑いしてやろう。いや、鼻で笑うのもいいな。

 そんなことより次は僕の番だ。あぁ、なんて言おう。考えてたの忘れた。

 オー! マイ! ガー!

 とりあえず立つ。立ったのはいいけれどなにも話すことがない……みんなの視線を感じる。みんなが僕を見てる。ここはあえて最初から悪い人を演じればいい話じゃないか! 最初から悪であるなら人はよりつくことはないはずだろう。よし。

沢良木さわらぎ風屋です。」

沢良木のらを少し強調したからには先生ももう間違えないだろう。悪になるためにはみんながドン引きするようなことを言わなければならない。続けて話す。

「好きなものは……んーっと……あ!

好きなものはないですが、嫌いなものは友達」

悪役っぽく悪い感じでにやにやしながら言ったからみんなドン引きしてる。先生までもが戸惑っている。

「……えっと……あ……ありがとうぎざいました。沢良木さわよぎ君。じゃー次の人お願いします」

また間違えてるし、わざと強調して言った意味がまるでない。これで僕の自己紹介が終わった。ゲームでラスボスを倒した感じ似ている。やり遂げたというか、まぁ、そんな感じ。

 

 

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