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僕の知ってるハーレムはこんなんじゃない。  作者: 途虎
第3章 僕の知ってる球技大会はこんなんじゃない。
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第18話「夕焼けの光」

 いつからだろうか。

 友達をいらないと思ったりしたことはいつからだっただろうか。

 もう忘れたな。

 目がさめると保健室にいた。

 遠く感じる天井。

 知らない天井。

 重い体を起こそうとする。痛いな。

 顔には湿布のようなものが貼ってあった。

 ん? お腹に重いものを感じるではないか。僕って太ってたかな? 

 そう思い、腹部らへんを見るとそこにあったものは春の顔だった。ぐっすりと眠る春の顔をじっと見つめる。なぜここにいるのかわからない。とりあえず、重いから起こそう。重いって言ったら失礼だから言わないけれど。春の肩をポンポンと叩く。すると、春は目をかきながらいった。

「ん……おはよ……」

 その言葉とともに大きなあくびをする。

「とりあえず、おはよう。んで、なにしてるの?」

 え? と彼女は言いながら驚いた顔を見せる。

「風ちゃん、ボール頭にぶつけて倒れたんだよ! ……すっごく心配……したんだから」

 そう彼女は言いながら紡いた。

 心配してくれる人。彼女はこんな僕のことを心配してくれた。正直なところ少し嬉しい気持ちになりかけた。

 ボールがぶつかったところまでは覚えている。だが、そこかの記憶はない。

 倒れたといったな。想像すると哀れだ。

「そうか、倒れたのか。ふっ」

 僕は鼻で笑ってしまった・

 自分の残念さに。いや、残念なのはわかっていたけれど、こんなにも残念とは。

 ボールが当たったぐらいで記憶がなくすほど倒れるなんてダサすぎだろ。

 笑い事じゃないよと彼女は言う。

「そういえば、球技大会は?」

 倒れてどのくらいたったのかも知らない。

「もう、終わったよ」

 カーテンを開けて見るともう夕方になっていた。

 もうみんな下校しただろうな。保健室の先生もいない。

「終わったか。それはよかった。なにもしなくて済むからな!」

 どやってみた。

 ある朝に天井を見上げると手が届きそうで届かない。その天井に必死に手を伸ばす。僕の小さい頃の姿を夢の中で見ていた。そのあと、夢の中で春がいた。

 優しくて笑顔の春の顔があった。

「春、心配かけたな……」

 こんな言葉をかけるなんて思ってもいなかった。自分でも。

 僕は俯いたあと、彼女見ると夕焼けの太陽の光とともに、彼女は笑顔で美しい笑顔で。

「うん」

 と。

 言った。

 彼女のその笑顔は少しだけ本当に少しだけ懐かしさを感じた。

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