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僕の知ってるハーレムはこんなんじゃない。  作者: 途虎
第3章 僕の知ってる球技大会はこんなんじゃない。
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第16話「負傷」

新生活にやっとなれました。

 球技大会当日。

 僕らは生徒会の仕事を押し付けられていた。でも、だいたいは点数を記入したりと単なる雑務に過ぎなかった。このまま何もなくて平和に時が進んでくれたら、どんなに嬉しいだろうか。僕は陰ながらそう思っていた。何もかもが普通で平凡な今日である。

 変わらず一人。

 変わらない今日。

 僕は何も変化を望んでいない。

 グランドを見ながら僕はそうふと思った。

「お疲れ〜〜」

 そういう声が右から聴こえてくる。一瞬でその声が誰かなのかわかった。生徒会長である。

「お、お疲れ様です。なんか暇いっすね」

「お暇かい? 仕事増やしてあげようか?」

「いや、結構です」

 彼女は笑いながらふざけたことをいう。

「風ちゃん! どう?」

 生徒会長の後ろから現れたのは春であった。

 少し顔を赤く染めながら彼女は目は僕の方を向いている。

「まぁ、そうだな……普通だよ」

「そう。よかった……」

 会話は終了。

 続かない。

「なになに? なんか空気が重いよ? 今日は楽しまなくっちゃ。球技大会だよ。ほら、はじけてはじけて」

「球技大会なんて関係ないですよ。僕は出ませんから」

「え? 風ちゃん出ないの?」

「出ない。めんどくさいし、僕がいたらチームは負ける。僕なんて必要ない。外で見てるだけで十分だよ」

「そっか……………」

 春が何か言ったように聞こえたが何も聞き取れなかった。

 一様外からは見とかないと怒られそうだから見てるけど、まぁ、見てるだけで何もする気はないよ。

 あと30分ぐらいしたら、僕らのクラスの試合が始まる。

 やはり僕は外で見てるだけで十分だ。あんなにも汗をかき、走り、ボールを蹴るなんてこと僕にはできない。スポーツは出来るやつがすればいい。できないやつは蚊帳の外だ。

 僕達のクラスの男子は一人を除き全員が出場している。

 僕らのクラスは先にゴールを決める。それを女子は応援している。

 「きゃー! かっこいい!」だとかそんな声は聞こえてくる。

 ……かっこいい。

 僕はそんな言葉一度もかけてもらったことがない。

 かっこいいとは何か?

 顔か? 見た目か? スポーツが出来るということに対してか。僕にはわからない。分かりたくもない。

 試合は後半にさしかかり、1対0で僕達のチームが勝っている。

 だが、後半戦が始まって約10分ぐらいに我がチームのメンバーの一人が足を負傷した。

 運悪く、そいつはサッカー部だった。

 一人を参加させなければならない。

 あぁ。

 一人の男子が僕の方へ来る。

「えっと……一人足りないんだよね……」

「へぇー。そうなんだ」

 男子は困った顔をして僕にまた話しかける。

「出場してくれないかな?」

 あぁ。嫌な予感が的中してしまった。

 もう嫌なのに。

 したくないしたくないしたくないしたくないしたくないしたくないしたくないしたくないしたくないしたくないしたんくないしたくないしたくないしたくないしたくないしたくないしたくないしたくないしたくない

 ただ、それだけだった。

「女子から一人出せばいいだろ」

「いや、男子の中に女子一人はかわいそうじゃん……」

 僕もかわいそうだけれども。

 そう言いかけてやめた。

「はぁ、いいよ。わかった」

「ありがとう」

 少年は笑顔で僕から離れていく。だが、サッカー部の人との僕の差は違いすぎる。僕がいてもいなくても同じじゃないか。なぜ僕なんだろうか。

 どうなんてもしらないからな。

 僕はそう思いながらサッカーコートに向かう。

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