第15話「存続」
久しぶりの投稿です。
簏崎沙織その名を聞くと本校生徒ならば、知らないものはいないだろう。なぜなら、キャラの強い生徒会長だからだ。普通ならば、生徒会長と聞けば、ビシッとしたキチンとした人が選挙で選ばれるだろう。しかし、簏崎生徒会会長は、選挙どころか、先生の推薦で会長になったのだ。いわゆる、選挙なしで就任したのだ。
彼女は、運動も学問も行事も、性格も、もう何もかもが完璧なのだ。運動は今は引退しているが、テニス部所属していた時は全国で10本の指に入ると言われている。
学問は本校生徒の中でトップに君臨するほどだ。
行事も積極的に参加する。
性格も、先生からは勿論、クラスの友達や後輩からもあつい信頼を得ている。
これまで、運動、学問、行事、性格を説明したが、これだけだと全国探せばいそうな気がする。
彼女のもう一つの魅力は顔立ち。
そう、男子からモテモテなのだ。
だが、そういう誰かと付き合ってるなどという噂は絶対的にでていない。どういう人が好きでどういった人が好みなのかもわからない。一週間に一回のペースで告白されている。
僕にはわからない存在の生徒会長である。
そんな生徒会長が我が部活動の部室に来ている。学年トップと学校トップが揃った瞬間だった。
誰がこんな状況を喜ぶだろうか。これは風神と雷神ぐらいの戦いになると思う。それだけはさけなければならない。
「何をしに来たのかしら?」
先に攻撃を仕掛けたのは巫だった。
「いや〜お願いがあって来たんだよ」
あれ? 何か違う。生徒会長はイメージしてたのと全然違う。なんかふわふわしている。生徒会長はふわうわという雰囲気。でも巫はやはり悪魔だ。
これ以上、二人だけで会話をすると、火花が散りそうなのでここで会話に入ろう。
「お願いって具体的に何ですかね?」
「あ〜簡単にいうと球技大会の手伝いをしてほしいんだよ!」
「は?」
「え?」
僕と巫の声をピタリとハモった。同じ反応で意味がわかっていていない。まだ説明をされていないからなんだけれど。僕の場合、補欠で端っこの方でぼっちで観覧すると思っていたのだが、それが無理な気がしてきた。
「球技大会がもうすぐなんだけれどさ〜〜生徒会のみんなが風邪ひいちゃって、どう考えても人数少ないんだよね〜そこで夜来先生に尋ねてみた所、謎の部活動が手伝いをしてくれるっていうからさ。尋ねてみたってわけだよ〜」
そうなんだ〜〜。
心の中で笑顔を作り、頭の中で舌打ちをした。
あの先生は面倒くさいことは何でもここに持ってくるな。あとでお仕置きしておこう。まぁ、逆にお仕置きされそうだがな。
「なんか良さそう」
おいおい、春が完全に乗る気なんですけど!?
「報酬はあるのかしら?」
報酬!? 巫はちょっと怖い団体みたいなことを言いだしてきた。報酬がないとだめなのかよ。
「もちのろん! そうだね。君たちを部活と認定してあげることだよ」
「認定?」
僕は顔斜めにして、そう言った。そして、また続く。
「心壁部は部活として認定されていないとでもいうのか?」
「あったりまえだよ。こんな部活認定されてないよ。活動内容は不明。見た所部員はたったの3人。こんなの認定されるわけがないよ?」
彼女は少し楽しそうに、笑いながら答えた。
「えぇ〜そうだったの?知らなかった……でも、今まで活動してきたじゃん!」
春がそういう。前向きな彼女。横目で僕は春を見ていた。
「それはだね〜。黙認していたんだよ〜? 噂にはきいてたんだけど、あんまり活動してなさそうだったから別にいいかなって思ってね」
それは単に面倒くさかっただけだろうが。
そう。
心の中で突っ込んだ。
「はぁ」
巫の大きなため息が聞こえてきた。
「仕方ないわね。部活の存続をかけたお手伝いとでも言いたいのかしら? それなら、仕方がないわね」
僕がえー! っというような顔をしていると巫がこっちを見て放った。
「なんか意見でもあるのかしら? 沢良木君?」
「いや別に」
僕としては部活がなくなってくれる方が嬉しいんだが……。
したくないとは言えない。言えるはずがない。
「がんばろ。風ちゃん!」
「じゃよろしく〜〜」
生徒会長は颯爽と部屋を後にした。
そして、僕は人生で最大のため息をついた。