5/6
第五章 地縛霊のゆり
「え……?どういうこと?!」
「正確には成仏するって言った方がいいかな。あたしはここの吊り橋にいる地縛霊なの。だから、この辺以外には行けないし、このつり橋が壊されたりしたらもう消えちゃうんだ。」
「あ……。」
そういえば、このつり橋壊されちゃうんだっけ……。老朽化が原因とか言ってたな……。
「このつり橋、あさってにはもう壊されちゃうし、ここにいるのはもう困難。多分、あたしもやっと成仏するんじゃないかな。」
「ね、ねぇ!ゆりちゃんは何か未練があるんじゃないの!?だから、ここにいたんじゃないの!?」
「あったよ。けど、それももう叶えることができた。」
「ゆりちゃんの願いって何?」
「さくら、あなたにもう一度会うこと。そして、前みたいにおしゃべりする事。」
「あ、あたしと……?」
「うん。そうだよ。あたしが生きてた間、さくらとしゃべる時間が唯一の楽しみだった。」
「そんなのあたし、覚えてない。ゆりちゃんとは初対面のはずだよ。」
「……やっぱり、忘れてるんだね。」