第四話「自惚れと現実と理想」
翡翠が蒼燐による修行を受けて
二ヶ月が経った。
今日も修行を受けていた。
翡翠は休憩中で庭を歩いていた。
(…修行を受け始めて、早二ヶ月。
あれ?俺、
いくつ技習ったっけ…)
翡翠は今まで習った技を振り返ってみた。
(まずは、壱式・焔突き。
あれはまぁ2週間で出来たな。)
最初は、刀を突くのが遅くて、
スイカを何個もダメにしたな…
翡翠は縁側に腰掛け
後ろに仰向けに寝た。
(…それから弐式、参、四、伍。……ん?)
翡翠は何か気づいた。
(そういや、
奥義みたいなの習って
ないよな……)
翡翠は起き上がり、蒼燐がいる
書斎部屋に向かった。
部屋に入ると、
蒼燐は書物を読んでいた。
「どうした?
まだ休憩してていいですよ。」
「あの、聞きたいことがあって、
奥義…ってないんですか?」
「…!」
蒼燐はしばらく黙ってから
口を開いた。
「…奥義はあるが、
お前にはまだ早い。
あの技の反動に
今のお前の身体が耐え切れない。」
「…そんな俺には耐えて、」
「自惚れるな!
私が十七の時、
あの技を会得したが、
瀕死状態まで陥った。
今のお前では、確実に死ぬ」
「……」
翡翠は何も言わずに
部屋を出て行った。
とぼとぼと廊下を
歩きながら考えていた。
(自惚れるな!)
蒼燐の言葉が頭でこだまする。
(俺だって、師匠と今まで
修行やってきたのに…
いや、また年月が経ってから
必ず奥義会得してみせる。)
そう翡翠は志をした。