第三話「蒼炎一刀流」
「客人が来るとは珍しいですね。
で、何用です?少年」
「…修行を受けさせて下さい!!」
男は10歳前後の子供が
突然修行を受けに
来たことに唖然としていた。
「…私の修行は厳しい。
お前のような子供が
耐えられません。」
「…耐えてみせます!!」
翡翠は男の目をみた。
(…この目は……)
「…承知しました。
ついて来なさい。
ただし死のうが逃げようが
お前の勝手です。」
「…ありがとうございます!」
翡翠は男のあとをついていった。
寺のような家に入り、
座敷に座らせられた。
「さて、まずは
お前の名前を教えなさい。」
「…翡翠といいます。」
「…翡翠という名は、
お前の瞳の色から
とったのか?」
「あ…はい」
「…髪の色からして、
蝦夷ノ国の者か?」
蝦夷ノ国は日ノ国列島の
東北にある一族の国である。
蝦夷ノ国の者は皆金髪らしい。
「…正確には蝦夷ノ国と
日ノ国の混血です。」
「…そうか。では、
私の名は蒼燐。
蒼炎一刀流
第三代目師範です。」
「初めに
剣術とは何かを教えてあげます。
剣術はただ相手を倒す、
人を殺すのではない。
己の心身を鍛え、
己の心と向かい合うこと、
そして、自分が何故剣を
振るうのかを明確にすること。
己の心に迷いがあれば、
確実に負ける。
いかに心を常に落ち着かせ、
精神を集中させるかが
勝敗の分かれ道なのです。」
「はい。」
「…それでは早速、
特訓しましょうか!」
「え!?…もうやるの?!!」
「何寝ぼけているんです。
早く来なさい。」
(話、たった5分しか
してないよ〜)
二人は稽古場の
ようなところに来た。
「…まず、初めに
蒼炎一刀流・壱式を完成させる。」
「あのーっ!
基本的なことやらずに
いきなり技を完成って…」
「…馬鹿者っ!
そんなもんは体で
覚えるのだ!?」
(…この人、ほんとに
剣術の達人なのか?
それにさっきより怖い)
「いいか?壱式は突き技だ。
突き技って知ってるか?」
「えっと…刀を水平にして
ブスッとするんですよね?」
「ブスッと!?…まぁいい、
そんなことだ。
とりあえず見てろ。」
蒼燐は、片手にスイカを取り出した。
(す、スイカ!?)
「…いいか?
スイカだけ見てろよ。」
と、スイカを宙に少し投げた。
すると、翡翠は目を疑った。
スイカが一瞬で消えてしまった。
「…おい、こっちだ。」
翡翠は蒼燐をみた、すると、
刀に突き刺されたスイカがあった。
「…い、いつの間に!?」
「…神速で突き、
相手に致命傷を与える。これこそ
蒼炎一刀流・壱式
焔突き(ほむらづき)
これを完全に習得すれば
ただの雑魚はまず一撃で倒せる。」
これが蒼炎一刀流…っ!