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創世神話Ⅰ 女神たちが紡ぐ三千五百年物語  作者: ゆみとも
第一章 神婚の儀

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第40話 女神のお茶会 ~夢咲星環府~


◆洞庭湖 君山楼◆


君山楼の最上階の茶室で、華蓮は貂蝉とお茶を飲んでいた。


「ねえ、華蓮様、せっかく沙市に澪様と月英がいるのに…

ここでお茶をすすられていて、寂しくはありませんか?」


華蓮はカップの湯気にのる香りを楽しみ、紅茶をすする。


「寂しい?そんなことはありませんわよ。

残り、二千百年の時間なんて、神の無限の時間の一コマでしか過ぎなくてよ」

「またまた、華蓮さまったら、やせ我慢をされて…」


貂蝉は色欲の聖女の神能を発動させた。


「貂蝉、何度いったら分かるのかしら…神には聖女の神能は効かないわよ」

「いいのですよ、お決まりの儀式の様な物です」

「それに、この場所が好きな四人もここに来る頃よ」


青い空に、太陽の光を受けて四つの点が浮かんだ――

その瞬間、お茶室には四人の女神が立っていた。


四人の女神は静かにいつもの席に座り、

給女の持つ紅茶を待っていた。


絹連れの音と、階段のきしむ音が紅茶の香りを運んできた。


妃良が、「さあ、午後のお茶会を始めましょうか」

と、微笑んだ。


芳美が最初に口を開いた。

「星愛の計画も順調に動きだしたわね」


お茶の香りを堪能しながら理沙が口を開いた。

「ここからは、組織をしっかり組まぬと、空回りしそうだね」


妃良は頷き、「いま、組織を決めてしまいましょうか?」

と、提案した。


美優が、「その前に、皆の心を一つにする意味でも旗印を決めましょうよ」


妃良が、「さすが芸術の女神ですね。もう決めてあるのでしょ?」

と美優に旗印を見せるように促した。


美優は卓の上で両手を開き、旗印を皆に見せた。


真ん中に金と銀の星が二つ。

それを、赤、白、青、緑、紫のバラの花びらが環になり囲んでいた。


華蓮が微笑みながら美優に聞いた。

「金の星は星愛、銀の星は紗良、赤い花びらは妃良、白は芳美、

青は理沙、緑は美優、そして紫は私ね…良いですわね、ウフ」

美優が頷き、付け足した。

「星愛、紗良が宇宙神への足掛かり…

そして、私たちが支え、宇宙へと女神たちは旅立ち、女神界を作るのよ」


妃良が満足げに微笑んだ。

「良いわね、それと今、沙市の復興が急速に進んでいるけど、

その後の人の子たちの働き口や、幼子たちの行き場所も考えないといけないわね」


再び、階段から絹の擦れる音が聞こえ、紅茶を新しいものと替えた。

紅茶の香りが、湯気と共に部屋を満たした。


考えがあるのか、理沙が話し出した。

「工業、農業、学問、金融、外交を柱にした、五院体制を作るのはどう?」

他の四女神が頷き、妃良が工業院の蝶を推薦した。

「技術院(工業)は黄月英でいいですか?」

華蓮が妃良の意見に付け足した。

「澪は呪縛の危険があるから、孔明のところに居るのが安全ですしね」


芳美が新しいお茶の香りを楽しみながら推薦した。

「では、開殖院(農業)は今回の楓草の件の功績もあるし、

魂が磨かれた劉明はどうかしら」

妃良が相槌を打った。

「そうね、私も許都から戻って、あの魂の輝きには驚いたわ」


華蓮が紅茶の香りを楽しみ、カップの縁をなぞり紗良の上に置いた。


そして、華蓮の足に顔を伏せて寝ている貂蝉の頭を撫でながら推薦した。

「夢咲学舎(教育)には貂蝉を推薦しますわ。

この子、人の気持ちを大切にしますし、天界では本の虫ですのよ」

理沙が彼の提案に相槌を打った。

「確かに、天界の司書と言ってもいいくらい、書物をよく読んでいたな」


貂蝉が姿勢を正して、華蓮の横に立った。

「夢咲の人の子は愛情を持って大切に育てていきます」

と、優しく微笑んだ。


妃良が皆を見回し発言した。

「星環院(金融)は正義と秩序の女神理沙、星紡院(外交)は光と視覚の女神芳美でいいですよね」


一同頷き、ここに、新たな夢咲星環府の形が見えてきた。


唇を湿らせてから、カップを皿の上に置いた。

陶器が触れ合う音が、茶室に溶け込んだ。


妃良が最後の議題を話し出した。

「最後の議題は星環征途旅団についてですね」


華蓮が再び貂蝉の頭を撫でながら、発言した。

「澪が凄い船を設計したから、操船術を学ぶ意味でも碧衣を旅団に入れるべきね」


妃良が頷いた。

「それがいいわね…

旅団の中で操船の適任者は、呉水軍の将であった孫尚香でいいですよね」

芳美が相槌を打ち発言した。

「私もそう思うわ。いいかしら美優」


美優は優しく微笑み頷く。

「今回の旅団の流れは、夢咲舞踊団の公演を足掛かりに夢咲の品々を広め、

夢咲の品々は、紙幣でのみ交換するところから、紙幣を浸透させていくのよね」

理沙が頷いた。

「舞台には夢咲の品々を盛大に使い、普及させていく」

美優が頷き、続きを話す。

「となると、洞庭湖と沙市から近い都市から落としていくのが効率的ね…

夢咲の品々の追加輸送は、神能は使わず、人の子みたいに狼煙でも良いかしら?」


芳美が笑いながら相槌を打つ。

「面白いわね、私なら神能で催促しちゃうけど、やはり芸術の神が考えることは少し違うわね」

美優は口を隠し笑いながら話す。

「人の子と同じ生活をしなければ、人の子の気持ちは分からないものよ。

それでは、人の子を動かす芸術は表現できないと思います」


華蓮が閃いたように口を挟んだ。

「そう言えば、曹英が私たちの生活を見て驚いていたわね。

私たちには気付かないけど、夢咲の子の生活の中に、色々良い物があるのかもしれないわね…

今度、曹英に聞いてみるのも良いかもしれませんね」


妃良も頷いた。

「そうですね、交換する品が多ければ多い程、紙幣の流通も早まりますね」


一同が頷いたのを確認し、最後の言葉を話した。


「では、星環征途旅団の出立は十月とします。

美優はそれまで、旅団の旅程や舞踊団の練習、準備をお願いします」


優しく微笑み、軽く会釈をし「お任せください」と言った。


陽は西に傾き、鳥が影となって夕陽に映えながら、空を舞っていった

春の終わりを告げる風が心地よく、茶室を流れていた。


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

初めての投稿ですので、いただいたご感想や評価は次回作品づくりの大きな力になります。

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