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創世神話Ⅰ 女神たちが紡ぐ三千五百年物語  作者: ゆみとも
第一章 神婚の儀

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第15話 アテナの試練

エレベーターを降りると、そこは地上層と同じ広さの空間が広がっていた。


私はエレベーターを降りて目を奪われました。そこには区画整理された道と、適度な緑と水が配置され、中央に神殿らしきものが見えています。


「ここも、地上層とほぼ同じ広さの様ね。エレベーターの配置も同じだけど、外側に向かって、区画整理されたように白い道が拡がっているわね」


紗良も驚いたように周りを見渡します。


「まるで、建物を建てて自分の賢者を住まわせてくださいって言っているような構造だね」


そして澪が中央に目を向けて、真ん中の建造物を見る。


「見て、多分真ん中の建物が神殿ね。

白い大理石でできた荘厳な建物で、光が天井から降り注ぐかのように輝いているわ。

そして、頑丈なガラス作りの建物、あれ何かしら?」


全員中央部に目を向け、琥珀が提案した。


「まあ、考えても仕方ないしボス見たいのが出てきてっていう雰囲気でもないし、取り敢えず中央の神殿に行ってみない?」


私は「そうね、外側には何もなさそうだし、神殿を目指しましょうか」


と言うと、全員目を合わせて、頷いた。


私達は神殿を目指し歩き出し、ガラス張りの建物の横を歩いていてその正体に気付いた。


琴葉がスマホを抱きしめ、頬を赤らめ羨望の眼差しでガラス張りの建物を見る。


「すっごーい、ガラスが2重構造になっていてその間は冷却水が流れているみたい。

中には、スーパーコンピューターが設置されているし、向こうのガラス張りの建物にはサーバーが設置されているし、10段構造になっている―」


私達全員がコンピュータ群に圧倒されていると、琴葉のスマホが反応します。


「えっ、いきなり通信始まったよ…どういう事、ひょっとしてこのコンピュータで創世神話を管理しているの…ティアちゃんはどう思う?」


「うん、その可能性は大きいかな…だって、ここは私と紗良ちゃんの神殿だし、私達の行動を分析していてもおかしくはないよね…後でアテナちゃんに聞いてみようね」


私は、琴葉を落ち着かせ、神殿に目を向けました。


遠目では白い大理石でできた荘厳な神殿に見えましたが、近寄ると、知を表す蛇と、本、そして剣が織り込まれた精巧な青いラインが描かれ、屋根の下にはフクロウが並んで彫り込まれています。


自分の姉妹のことは良くわかるのかサラが一言。


「アテナらしいデザインの神殿だね」


「ほんとだね、あの子は昔から知を表すフクロウや蛇のアクセサリー集めていたし、そう言えば神衣も青系だったわね」


私は話しながら、白い大理石の階段を登りきると神殿の中が見えました。


紗良が床に描かれている紋様を見て、感心した表情で話します。


「ねえ、床には蛇と剣と書物の青い紋様が90°おきに4つ描かれていて、それは東西南北を表しているみたい。

紋様が東西南北に配置されることで、宇宙のエネルギーを祭壇に集めているのね」


瑠璃は中央の祭壇に興味があるようです。


「見て、中央に2本の剣が下向きに柄下を交えて立って、その二本の剣には蛇がそれぞれ巻き付き、交わりの部分には本が開いておかれているね」


私は二人の話を聞き納得しました。


「床に描かれている紋様と、中心の祭壇は同じデザインで、これは間違いなくアテナの紋様ね。

澪ちゃんはこの部屋をどう思うかな?」


「この紋様は東西南北に配置され、信者の祈りを祭壇でアテナの神気に変える様な構造ね。

祭壇は神々と信者を結びつけるための装置で、紋様は祈りをエネルギーに変換する回路として機能しているのよ」


顎に手を当て考えるように澪が皆に、祭壇の構造の意味を教えてくれた。


私達はお互いに顔を見合わせて、頷き合い、これから始まる未知の体験に気を引き締めた。

それぞれの瞳には試練を乗り越えるという強い意志が宿りました。


「さあ、行こうか」


私の一言で、全員が歩を進める。

私達全員が祭壇の前に立つと、天井から青い神核が静かに降りてきて、祭壇の上で浮いたまま停止した。

青い神核はアテナの力を象徴するもので、まるで宇宙の星が降臨したかのようだった。

そのあと、祭壇が強く光を放ち、青白い光が空間を包み込むかのように広がった。

まるで神々の力が目覚めたかのようだった。


「あっ」


一言だけ言葉を残し、私と紗良、澪、琥珀、琴葉の5人が突然意識を失い、膝から崩れるように倒れた。

光が5人を包み込み、まるで眠りに誘われたかのようだった。


「星愛!」


咄嗟に瑠璃が私の肩に手を回し私を支えたが、澪や琴葉が寄りかかる様に倒れてきた。

碧衣も同様で紗良を支えたが、残されたものが崩れ、2人で5人の頭が床に打たないようにすることだけで、手一杯だった。

碧衣が5人一度に倒れ、心配になり瑠璃に問いかけた。


「瑠璃、これってどうなっているの?」


瑠璃は直ぐに5人の神気を見て、乱れた様子が無いことを確認した。


「大丈夫、5人とも無事よ。寝ている状態と一緒だと思うよ」


神気は人で言うバイタルサインと同じで、体内の気の流れを見て体調を予測することが出来るのです。


「でも、これはどういう状況なの?」


碧衣が瑠璃に聞くが、当然知る由もない。


「私にも状況が呑み込めない、取り敢えず倒れた5人を楽な姿勢にしましょ」


瑠璃と碧衣は5人を楽な姿勢に寝かし様子を見守った。





私は夢を見ていました。


転生前の天界での記憶。


「ねえ、澪ちゃん、本当に私達についてくるの?」


そう、これから私と、紗良、琴葉、琥珀は転生門の神殿に入り、4回目の人への転生を経験しようとしていました。


転生門とは、門をくぐると、神の姿が神核となります。

そして、夜、天より神核となった神は地上界に舞い降り、乙女に宿り、人として生まれ変わるのです。

そして人生で徳を積み、人として亡くなった時、神核は転生門に帰還し、神として天界に戻る。

転生門は神が人として経験を積むためのシステムなのです。


そして、神としての徳を積み重ねやすいのが転生なのです。

一人の人の魂の転生先を決める仕事の徳が1とした場合、その1億倍の徳がもらえるのが人への転生です。


それだけ高い徳がもらえると言うことは、転生には高いリスクが伴うという事なのです。


人界での生活は神としての記憶は封印されるため、神能を使うことはできません。

人として生きる中で、苦しみや悲しみを経験する。

でも、その経験こそが私達を強くするの。


そして、人として亡くなるときの苦痛による精神崩壊のリスクが高く、その記憶があると神核を傷つける可能性が高いので、人としての記憶は転生門に戻るときに神核の奥に封印されます。


また、転生中に、自殺、意味のない虐殺、人の魂を破壊する禁忌を犯した神は、不死の身体となり、3000年の間、人として人生を歩むことになります。


でも、人に転生している時は禁忌の記憶が無いので、禁忌を犯す可能性もあります。

ですので、人への転生を選ぶ神は好奇心で転生するくらいで、20回転生して、宇宙神になろうとする神は私達だけです。



「じゃあ、今回の1回だけ、私も安全性を確認するために経験するのはありでしょ?」


澪は気楽な表情で笑って見せます。


「ねえ、紗良、私達が転生した後に、澪が追いかけてくると思うの。

あの子、好奇心が強くて、転生門を強行突破してくる可能性もあるわ」


「私も、そう思う。だったら、一緒に転生門に入れば、同じ年代、同じ場所に転生することになるし、それに、一緒なら、澪が危険に直面しても、私達がすぐに助けられるわ」


紗良が提案してきたので、私も同意して頷いたのを見て紗良が澪に語り掛けます。


「澪は創造神として、人の文明を発展させる大切な仕事がある。

そんな澪が転生で危険にさらされるのは、私達としても心配よ。

でも、澪の決意を尊重する。私達が澪を守るわ」


「大丈夫よ、それに、

私も創造神として、人の文明を発展させてきたけど、人として生きる経験をしてみたくなったの。

あなた達が転生を繰り返す姿を見て、私も一緒に試練を乗り越えたいと思ったのよ」


と澪は笑って見せた。

その笑顔には、不安と期待が混ざり合い、まるで新たな冒険に踏み出す少女のようだった。


「じゃあ、今回の1回だけ、私も安全性を確認するために経験するのはありでしょ?」


澪は気楽な表情で笑って見せます。


「ねえ、紗良、私達が転生した後に、澪が追いかけてくると思うの。

あの子、好奇心が強くて、転生門を強行突破してくる可能性もあるわ」


「私も、そう思う。だったら、一緒に転生門に入れば、同じ年代、同じ場所に転生することになるし、それに、一緒なら、澪が危険に直面しても、私達がすぐに助けられるわ」


紗良が提案してきたので、私も同意して頷いたのを見て紗良が澪に語り掛けます。


「澪は創造神として、人の文明を発展させる大切な仕事がある。

そんな澪が転生で危険にさらされるのは、私達としても心配よ。

でも、澪の決意を尊重する。私達が澪を守るわ」


「大丈夫よ、それに、私も創造神として、人の文明を発展させてきたけど、人として生きる経験をしてみたくなったの。

あなた達が転生を繰り返す姿を見て、私も一緒に試練を乗り越えたいと思ったのよ」


と澪は笑って見せた。

その笑顔には、不安と期待が混ざり合い、まるで新たな冒険に踏み出す少女のようだった。


(澪、来ちゃ駄目なの!もう、その笑顔が見られなくなるから…その手を離して!)


…その手は、冷たい空気に溶け、指先から感触が消えていくようだった。





一方、アテナの祭壇の前で意識を失わなかった碧衣と瑠璃。

不安な瞳で5人を見ながら尋ねる碧衣。


「ねえ瑠璃、この5人どうしようか?」


瑠璃も5人を見つめてしばらく考え話し出す。


「身体の神気は今も正常な状態を維持しているね。

恐らくは祭壇の意思で5人の意識を奪ったと思うの。

だから、祭壇から離れない方がいいと思うのだけれども…」


瑠璃も自分と同じ考えだったことに安心した表情の碧衣。

白い大理石の階段を指さして、瑠璃に声を掛けます。


「ねえ、瑠璃、いつ意識が戻るかは分からないけど待ちましょうか?」


瑠璃が頷き、二人で階段に腰掛け、眠る5人と祭壇を眺めていると、祭壇の本が輝き、青白い光が空間を包み込むかのように広がった。

そして、3D映像が浮かび上がり、目の前で意識を失っている、星愛、紗良、澪、琥珀、琴葉の5人が、転生門の前に立って話している映像と声が流れ始めた。

まるで、過去が現在に蘇るかのようだった。


碧衣が映像を見ながら驚きの声を上げる。


「えっ、何これ、まさか、5人の意識を映し出しているの?」


瑠璃も驚いた表情で画面を見つめた。


「うん、どうやらその様ね。

転生門があるっていう事は展開で、澪もいるっていう事は…」


瑠璃は不安な表情で映像から目を離さずに碧衣に話す。


「映像は多分、紀元前700年ね。

あの頃は私達が生まれる前で、澪がいるって言うことは、澪の最初で最後の転生をした時、

そう、紀元前700年の転生門前でのやり取りを再現しているのだと思う」


碧衣も不安な表情を隠さずに呟くように話す。


「まさかここで、澪ちゃんの悲劇を見ることになるなんて……」


瑠璃は映像と寝ている5人をじっくり見て考え込んでいる様だった。

そして確信が持てたのかゆっくり話しだす。


「これは多分、創世神話の700年前の記録を再現しているのだと思う」

……

「そして、ここにいる5人の意識は、映像の中の自分に憑依し、転生の記録を体験しているのだと思う」

……

「だって、ここに寝ている5人の神気が映像に合わせて反応しているから。

まるで、過去の自分になって、その時代の記憶を追体験しているかのようだわ」

と瑠璃が説明した。




創世神話の記憶の中では


(えっ、これって本当に夢なの?私、このシーン憶えている。

澪がいるということは紀元前700年の転生のシーンだ)


転生門の前に立つと、青白い光が門を包み込み、まるで宇宙が私を呼びかけているかのようだった。

私と紗良は手を強く握り合い、互いを見つめた。

私は自分に言い聞かせる意味を含めて、みんなに転生の意味を伝え、意志を固める。


「宇宙神になるためには、20回もの転生を経験する必要がある。

それは長い旅路だけど、私達は一緒に乗り越えるわ。」


(この転生はしては駄目よ!澪を連れて行っては駄目なの!

澪は創造神として、人界で文明を発展させる使命があるし、この転生で澪は3,000年の刑を受けることになるのよ。

そんな未来は、想像しただけで胸が締め付けられるの。

紀元前700年の私!心の声が届かないの!?)


私の心の叫びは、紀元前700年の私には届かず、物語は進んでいく。

私は、過去の転生を再び経験することになった…


転生門の前で、私達は手をつなぎ合い、決意を新たにした。

人への転生を選ぶ神は、好奇心で転生するくらい。

でも、20回転生して、宇宙神になろうとする神は、私達だけ。


転生門の青白い光が、私達を包み込み、まるで未来が微笑みかけるかのようだった。


暗い夜空は、星も月も隠れ、深い闇に包まれていた。

しかし、5つの神核が輝き、その光は闇を切り裂くかのように鮮やかで、まるで、神々の決意が夜空を照らすかのようだった。

5つの神核が地上へと舞い降り、新たな命が宿ることを告げていた。



ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

初めての投稿ですので、いただいたご感想や評価は次回作品づくりの大きな力になります。

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今日は22話まで投稿予定です。引き続き楽しんでいただけると嬉しいです!

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