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創世神話Ⅰ 女神たちが紡ぐ三千五百年物語  作者: ゆみとも
第一章 神婚の儀

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第14話 創世神 オーディンの領域

「ふー、終わったね」


私は、『創世神話』の3D映像を見終えて深いため息をついた。

3,500年の神の記憶と18年の高校生の記憶が混ざり合い、まるで二つの魂が一つになったような感覚だった。


紗良ちゃんも見終えて、頭の中の整理ができた様ですっきりした顔で、そして、私を非難した。


「星愛ちゃんのあの怒り方、ゼウスパパに上から目線で話されただけで、怒り爆発しちゃうなんて、普通じゃないよね?しかも二神の神能を同時に使うなんて…星愛ちゃんらしいと言えば星愛ちゃんらしいんだけどね…でも、普通じゃないよね?」


「ほんとよ、あれはないでしょ」と琥珀ちゃんが大笑いする。


それを見ていた澪ちゃんが、

「あんたたち、いつの間にかちゃん付とかになっているけど、やっぱ、18年の歴史より3,500年の歴史の方が、長いから、呼び名も変わっちゃうね...」


その様子を見て私から一つ提案をした。


「私達って神の名前と、人の名前と色々あるけど、私達の家族に新たに6人加わるんでしょ。

それに、銀鏡星にいけば日本の夢咲学園スタートだし、夢咲学園の日本の名前で呼び合わない?」


「さんせーい」と6人が笑顔で笑って賛成した。


碧衣ちゃんが腕を組みながら真面目な顔で呟いた。


「そうね、アテナ様、ニケ様、ヘカテ様、アストレイア様、フローラ様、ルキナ様の名前も考えないとね…」


私は涼しい顔の碧衣ちゃんを見て、からかいたくなり、茶化すように言った。


「何で六神は様付けなの?これからは私達家族の一員になるんだからね。それも、あなた達の妹になるんだよ...」


ふと私は思い出したように、澪ちゃんに気になっていた疑問を投げた。


「ねえ、澪ちゃん、3月末の新月の魂抜きやってないでしょ、それに、もう返したんでしょ?青木さんと、深井さんの魂…」


澪ちゃんは下をうつむき、恥ずかしさで耳まで赤くなりながら、小さく頷いた。

まるで心の重荷を降ろしたかのように安堵の表情を浮かべた。


「やっぱりね、なんか春休み後半は吹っ切れたように私達と遊んでいたから、ひょっとして自分でけじめをつけたのかなと思ってたの…」


私に続き紗良ちゃんが、「私も、そう思っていたよ。本当に良かった…」

紗良は澪ちゃんを抱きしめて喜んでいた。


「さあ,これから始まる試練の前に、汚れた羽根を純白の羽根に戻しましょうか?」


私は澪ちゃんの頭に手を乗せ、神能の『光の浄化』を発動した。


澪ちゃんは私のいきなりの行動に驚いていました。


「えっ何々、いきなり頭に手をのせて何をする気なの?ちょっ、説明して頂戴!」


「私ね、21回の転生ではいつもテイアのお腹に宿っていたのよ。ほら、お腹に宿るときって神核むき出しでしょ。テイアの神核と私の神核が触れ合っているうちに、テイアの神威と神能が使えるようになったのよ」


そっと、澪ちゃんの頭の上に手を乗せて、今度は澪ちゃんも黙って受け入れた。


「光の浄化は、澪の心の傷を癒し、神気の色を純白に戻す力なのよ」


柔らかい、白い光が澪の頭から足先まで優しく包み込み、神気の色がみるみる純白に変わっていく。


「はいこれでおしまいね…」


ずっと魂抜きでの件で神気の色を気にしていた瑠璃ちゃんが目を輝かせ、手を叩いて感激の表情を浮かべた。

まるで長年の願いが叶ったかのようだった。


「凄い,凄い,やっぱ星愛ちゃんの神能は凄いね…」


澪ちゃんは頬を赤らめ、紗良ちゃん、琥珀ちゃん、碧衣が私の顔を見て噴き出していました。


(えっ、私、ひょっとしたらどや顔になっていたの)


そんなほのぼのもここまで。


私はゆっくり後ろを振り向き白い塔を見て、気持ちを引き締めた。


私達は『星降る白い塔』を目指し歩きだした。

足元に映し出される星空が静かに輝き、まるで未来への道を示しているかのようでした。


澪が歩きながら私に聞いてきました。


「ねえ、星愛ちゃん、ここって、天界でも、人界でも、ましては冥界でもないよね。

空間の狭間みたいな場所なの?それとも、神々の集う場所なのかしら?」


「うん、ここはね、創世神オーディンの領域なのよ。

空間の狭間をオーディンの力で作り出した、特別な領域なの。

天界の法則も地上界の理も、冥界の掟も通用しない特別な場所よ。


例えば時間、ここの1日は地上界の1秒とかね。


私と紗良ちゃんは20回目の転生を終え、宇宙神としての試練を受ける資格を得たからだと思うのだけれども、20回目の転生が終わった後、オーディンに呼び出されて、連れてきてもらったの。

そして、あの星降る白い塔を譲り受けたんだよね、ね、紗良ちゃん」


「そうだね、そして試練を受けて合格すれば、あの白い塔を好きな場所に具現化出来て、私達の神殿にすることが出来るんだよ」


頭の後ろに手を回し歩いていた瑠璃ちゃんが話に加わってきた。

「ねえ、試練、試練って言っているけどさ、何で私達までここに連れてこられて、それに、転生した時の人としての記憶を取り戻すって言っているけど、具体的にはどんな試練になるのさ...

転生の記憶を再体験でもするの?」


紗良がにこりと笑い、

「よくわかったね、瑠璃ちゃん。

ここでは宇宙神にちなんだ、人として経験した記憶を追体験するのよ。そして、あなた達も便乗して宇宙神になるのよ。

でないと、人としての寿命が来たら天界に戻ることになるし、私達は宇宙神だからこそ、銀鏡星でも表立って動けるようになるの」


澪ちゃんが「えっ、紗良ちゃん、私も宇宙神になるの?」と少し驚いた様子で聞いてきた。


「当たり前でしょ、だって、私達が宇宙神になって産む予定の女神はみんな宇宙神になるしね。ここで宇宙神になれば、地球の神として受けていた呪縛も解除できるでしょ?」


「えへへ、うちゅうしんかあ…悪くないわねえ…フフ

ねえねえ、星愛ちゃん、神殿まであるということはどんな宇宙神になるかは決まっているの?」


「うん、私と紗良ちゃんはね、二人の家庭を築きたくて宇宙神目指したんだよ。

宇宙神になることで、永遠の愛を紡ぎ、宇宙の平和を守れるんだって、オーディンに教えてもらったの。ねっ、紗良ちゃん」


「うん、オーディンが言っていた、いま『永遠の愛を紡ぐ女神』が宇宙の崩壊を防ぐために神核を失い、不在のままなんだって。

私達が永遠の愛を紡ぐ女神になることで、宇宙の平和を取り戻せるんだよ」


琴葉ちゃんを除いたオーディンとの話を知らない4人は興味津々で聞き入っていた。

私は紗良ちゃんの説明に試練の内容を付け足した。


「そうそう、試練はね永遠の愛を紡ぐ女神に必要な、情熱愛、信頼愛、献身愛、完全愛の層が星降る白い塔に形成されて、それぞれの層ではその層に合った転生が選ばれ、それを疑似体験するみたいなんだよ」


そして私は得意げに各層の試練の予測をしてみた。


「ここからは私の予測だけど、情熱愛の試練でアテナの神核が得られるかな。

だって、知恵と戦略の神で冷静な知略を立てるけど、私生活ではアテナちゃんは面倒見が良くて、琥珀ちゃんとニケちゃんは色々な事をみっちり仕込まれていたよね」


すると、ニケちゃんの名前が出たからか琥珀が手を上げて話に加わった。


「じゃあ、ニケちゃんの神核は差し詰め信頼愛かしらね。

だって、彼女いつも勝利をもたらし、ゼウスやアテナ姉さんに絶対的な信頼を得ていたからね」


「うん、うん」と頷き瑠璃ちゃんが続きます。


「そうしたら、ヘテカちゃんの神核は献身愛っていうところかしら。

彼女、冥府の使いとか、魔法使いとかいろいろ言われて、恐れられている一面はあるけど、ああ見えて信じる者は必ず幸せにしていたからね」


碧衣が冷静に話します。「じゃあ、完全愛はアストレイアの神核になるわね。何となくレイアちゃんの正義感を思い出すと完全と結びつくと思うは」


ニコニコ笑顔でみんなの話を聞いていた琴葉は、スマホの創世神話のもう一つの機能、予測結果を見て呟きます。「みんな、良い読みしているね」


二人の話を聞いている間に塔の入り口に到着した。

私、紗良ちゃん、澪ちゃん、碧衣ちゃん、琥珀ちゃん、瑠璃ちゃん、琴葉ちゃんの7人は塔を見上げる。


全部で5層構造になっている塔の面積は東京ドームほどの大きさで、窓はなく、星柱形状の真っ白な外壁を持つ塔で、その大きさに私達は目を奪われた。


星柱形状の外壁には6つの頂点があり、それぞれに入り口が設けられていた。


澪ちゃんが目を丸くして、

「なんて、大きな塔なの...建築面積が東京ドーム1個分くらいありそう…信じられない」と呟いた。


7人は静かに息をのんで、白い塔を見上げ、改めて気を引き締めた。

まるで未来への道が目の前に開けるかのようだった。

私達は入り口の前に立った。

大きな開き扉の上には青地の銘版が掲げられ、銀色の古代ルーン文字で、

『汝の知識を信じよ、しからば、幾重にも広がる道が見えるであろう』と書かれていた。


「これって、アテナちゃんがいいそうな言葉よね」と私は呟いた。


「そうね、アテナの神核って青だったでしょ。ひょっとして、アテナの入り口だったりして」とサラが微笑みながら私の瞳を見た。


その時、白い塔の屋上が白く輝き、小さな星の粒子が2本の流れを作り、私と紗良の左手薬指を包み、白く輝き収縮した。

見ると私の指には金色の星紋が刻まれた指輪が静かに輝き、紗良の指には銀色の星紋が刻まれた指輪が明るく光っていた。

まるで宇宙の星が指輪に宿ったかのようだった。


サラが頬を赤らめ「えっ、嘘でしょ」と呟き、


 私も目を少し潤ませ、私が紗良ちゃんを抱きしめた。

他の5人も目を潤ませ、まるで長い旅の終わりを迎えたかのように私達に抱き着いてきた。

そして、その温もりは、未来への希望を感じさせるものだった。

私と紗良が抱き合い、額を合わせると、私達の身体が白く光り、入り口の扉が外側に開いた。


紗良は「ねえ、星愛、これって、私と星愛の結婚をオーディンが認めるっていう意味だよね」


「そうだね、これで神婚の儀を受けるための試練の条件が整ったという事になるかしら。神婚の儀は、永遠の愛を紡ぐ女神となるための最初の試練で、指輪は愛を紡ぐ女神の力を引き出す鍵でもあるのよ」


そして私達7人は扉の中へと入っていった。


『星降る白い塔』の地上層は、中心に大きな白い像が4体、その周りを4体の白い像がかため、

さらに外側を6体の白い像が取り囲んでいた。


6体の像からは白い道が伸び、その脇を小川が流れ、適度な池と花が散りばめられている空間だった。


私達はそのうちの1本の白い道を歩いていく。


琥珀が辺りを物珍しそうに見廻し呟いた。


「中は、昼間のように明るいし、美しい景色が広がっているね」


澪が好奇心の目を向けて中央の天井に輝く球を指す。


「あの光る球体が太陽の代わりをしていて、中の植物が元気に育っているんだね。

他には...」と珍しい物を探す目になっています。


碧衣が指した先に円柱状の筒が天井に向かって伸びていた。


「澪ちゃん、あれって、エレベーター?」


澪がエレベーターに駆け寄り目を細めて観察しています。


「まだ稼働していないみたいだね、多分、試練を通過しないと動かないのかな」


よく目を凝らしてみると、各白い道のわきに100メートル間隔に《透明の筒》が配置されているのが見えた。

丁寧に張り紙がしてあり、透明の筒は試練の道標で、試練を通過すると光を放ち、エレベーターが稼働する仕組みらしいです。


(何となく、オーディンの性格がうかがえる貼り紙だな。でも、貼り紙って何よ…)


そして、中心まで来ると像の正体がはっきり分かった。

外側の6体はアテナ、ニケ、ヘカテ、アストレイア、フローラ、ルキナ。

内側の4体は真ん中の像を守る様に、琴葉、琥珀、瑠璃、碧衣の像。

真ん中の像は星愛、紗良、澪…。

そして古代ルーン文字でルミナスと書かれたまだ見ぬ神の像が立っていた。


紗良が「古代ルーン文字は神々の言葉で、ルミナスという名は宇宙の光を象徴しているのよ」と言った。


私はオーディンの深い洞察力に驚きを隠せなかった。


「オーディンはここまで知っていたんだ」と呟いた。


創世神オーディンはアース神族の最高神で、星降る白い塔の全てを見通していたのかもしれない。


突然、琴葉のスマホの創世神話のアプリがルミナスの像に反応し、光を放ち、ルミナスを照らした。そして琴葉はスマホを見ながら私達に告げた。


「ねえ、ルミナスは宇宙の崩壊を防ぐために、神核を失った永遠の愛を紡ぐ神のことだよね...

でも、この創世神話の予測では、神核は無事と言ってるよ」


琴葉が告げた瞬間、地上フロアには柔らかな風が吹き、草花が揺れ、小川の水がキラキラ光り、自然の命を宿した。

そして、エレベータの筒が輝きを宿し、私達はお互い顔を見合わせ、頷き、エレベータに向って歩きだしました。


私は歩きながら考えていました。

琴葉は禁書の聖女であり、その権能には私と紗良の未来予測と導き手の役割を担っている。

スマホの創世神話のアプリに表示された虹色の神核とルミナスが『永遠の愛を紡ぐ神』という言葉には、それなりの信憑性があると思いました。

私は琴葉を見ながらみんなに話しました。


「そうね、その虹色の神核はルミナスの物で、神核が無事であり、今回の試練と大きくかかわってくるかもしれないわね」


と琴葉を見ながら私が話すとサラが続きます。


「ルミナスの像も意味があり、復活を意味しているのかもしれないね」


「ルミナスは宇宙の崩壊を防ぐために神核を失なったと思われ、不在のままだったけど、今回の試練がルミナス復活への鍵になるのかもしれないわ」と私は自身の考えを言葉にした。


そして私達はエレベーターの前に立つと、透明のドアが静かに開き、光が内部を照らした。

私達は中に入ると、ドアが静かに閉まり、エレベーターは静かに上昇し、第一層に到着した。



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