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創世神話Ⅰ 女神たちが紡ぐ三千五百年物語  作者: ゆみとも
第一章 神婚の儀

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第13話 明かされる謎、神の緊急集会②

「さて、ここからは私達調査団が深海の空間歪みから出てきた地球の悪魔族を3名捉え、詰問して得られた話になりますが、3人とも同じ話をしているので信憑性は高い内容です」


 ゼウスがこの集会に私達を招集した理由はこれからの話しに隠されていると確信し、私と紗良は神席で顔を見合わせ、頷きました。


「銀鏡星は地球とまったく同じ地形で、地球の邪神の温床と同じ位置に拠点を築き、彼らはオーストラリア大陸を目指し南下していく計画を立てている様です。そして、海洋生物の生態が少し異なるようで、大型の海洋生物が確認されている様です。ここまでが今わかっている、銀鏡星での邪神の動きになります」


ここで風羽は一旦話を切り全体を見渡し、話しを続けます。


「ここからは夢咲学園が調査した内容です。まず、銀鏡系は大型の生物が生き残っていることから生態系は異なるが、銀鏡系の我々の拠点がある島では人間は存在し、文化レベルは地球より、1,000年以上遅れているであろうという事。様々な武器を使用し、大型生物との住み分けはできていてるであろうということ。但し、これは私達が拠点を置いた場所を中心にした情報なので、銀鏡星についてはこれから本格的な調査が必要と考えています」


風羽は一礼して下がり、ゼウスと立ち位置が変わる。


「私達は文化の1,000年以上の遅れの原因は2つあるとみている。

一つは大型の生物が生存していること。これは主に、恐竜のことを指している」


神々の席から驚きの声が上がり、

「旧約型生物が生存するのだとしたら、その生態系の頂点には何が立っているのか?」

という声が飛び交う中、私と紗良はこそこそ話しを始めた。


「紗良!恐竜がいるってよ!私、絶対に乗ってみたい!あ、でも恐竜ってペットにできるのかな?

『恐竜と暮らす私』って、なんか素敵じゃない?」


「ウォ、ホホン」恫喝するような咳払いで、

一瞬に静まり返る神座の神たち。


私はゼウスの方を見ながら、「なんか、ゼウス、こっち見ていない?そんなに大きな声で話していないんだけどなあ…」


紗良は顔を赤らめ、私の手を握り、人差し指を口下で立てた。


「しっ、静かにして星愛ちゃん、あなたにとっては弟かもしれないけど、私にとってはお父さんなの」


ゼウスの視線は神々の反応を一瞥し、『娘と星愛の絆』を確かめるかのようにじっと見つめていた


上空の映像には500万年前の人類誕生のイメージが表示される。


「さてここから重要な話だ、地球では人類が500万年前に誕生し、進化を遂げてきた。

そして人類の願う気持ちが具現化して、形を成したのが神なのである。

人類が星に語り掛けた祈りが量子共鳴を起こし、宇宙を彷徨う意識の欠片を集めて神核化した。

そのプロセスは星の胎動と呼ばれ、現在も続いている」


 風羽が立体投影を拡大すると、原初の神の姿が《量子の海》から顕現し、その瞳には無数の人類の祈りが光の糸となって絡み合っている。


星の胎動で生まれる神々の姿が、夜空を彩る銀河のように広がる。

「人類が神に創造されたのではなく、人類の祈りが彷徨える魂を集めて神を具現化したのであった…」


紗良が私の手を握りしめながら、「星愛ちゃん、私たち神は人間が生み出した存在なんだね。でも、その人間を私たちは守っている。まるで親子みたいな関係だと思わない?」と囁く。


風羽が立体投影を拡大すると、銀鏡星の夜の映像が映し出される。

静かな丘陵の森林が映る映像が、そして遠くの大地に見える点在した灯り。


「銀鏡星だが神が存在しない星だということが分かっている…」とゼウスが言い終えたところで、コロシアム神殿がどよめく。


「ねえ、紗良ちゃん神が存在しないって、どういう事、魂は、輪廻転生もないの?」


紗良はじっと父の顔を見て、考え込む。


 会場の騒めきに反応したかのように、一斉に森林の鳥が飛び立ちカメラが追う。

空には、月が二つ輝いていた。


 紗良が目を見開いて叫ぶ。

月の女神としての本能が、あの二つのうちの一つの光が月ではない何かであることを察知したのだ「えっ、あれは月じゃない!」その声には驚きと恐怖が混じっている。


私が紗良の手を握りしめながら、「いくら月の女神の紗良が言う事でも、どう見たってあれは月が二つでしょ」と応じる。


 空に浮かぶ二つの月の映像が映し出され、二つの月の光が交差し、その部分が青白く輝く。

 ゼウスが掌を天へかざし、『沈黙の概念』が空間を支配した。今日の緊急集会で幾度と繰り返される空間支配。過去にそんな会議はあっただろうか、いやない。それだけこの会議が重要なのだ。

 ゼウスは『沈黙の概念』を維持しながら、この真相を伝えることが、この先の神々の未来を決める、と覚悟を固めた。


「銀鏡系では人々は星を信仰し、星に祈りをささげてきた。それが、二つ目の月の正体だ」


 会場のざわめきを他所に、3D立体映像は、祈りを捧げる人々。亡くなった者の魂が量子の欠片となり、祈りの共鳴で片方の月に集まっていく様子が映し出される。

 カメラが月をズームアップすると、細かい量子たちが陽炎のように揺らめいているのが分かった。

神々は量子の欠片が揺らめく光景に言葉を失い、その瞳には己の存在の根源を問う深い驚きが映っていた。


ゼウスが力強く低い声で、語り掛けるように話し始める。


「地球では人々の祈りが神を創造し、また神に届き、神が魂を導き、人類の発展に貢献してきた。

だが、銀鏡星では魂は導かれず、転生することすら許されず、地上を彷徨い、力を失った魂は地上に留まれず、量子の欠片となり信仰する星の輝きとなり、いずれ光りを失い魂が土へと姿を変えていく…」


ゼウスの目が炎を宿し、その視線に確かな覚悟が映る。


「そして、邪神たちは量子の欠片を闇のエネルギーに変換し、その力で空間の歪みを拡大させようと目論んでいる。もし、そのような事態に陥れば、地球と銀鏡星の重力波干渉場が崩壊し、量子蒸発で両方の星がブラックホール化するであろう…」


ゼウスの握った拳に白い光が宿り、その光が空間を照らす。


「断固として、邪神の企てを阻止せねばならん...」


 会場の神々が一斉に立ち上がり、その瞳に量子の輝きが宿り、邪神の企てを阻止する《不撓不屈の覚悟》が映る。

会場全体が拍手と歓声で包まれ、新たな物語の幕開けを感じさせる。


私は目を輝かせ紗良の両手を握り話し出す。


「ねえ、ねえ、紗良ちゃん、凄いよ、凄いよ、邪神討伐よ」


紗良は冷静な顔で私の瞳を見て、


「私達は転生女神って言われているけど、転生した人間に神としての記憶は持たせられないし、ましては神能も使えないの。だから討伐なんて、私達には無理だと思う」


会場の興奮と、討伐の話しで盛り上がる会場。


「うぉっほん、静かにせよ、これからが大切なことだ。誰がいいかと思う、討伐隊は...」


会場は急に静まり返る。それは、神のある事情により答えられない神が殆どだった。


「私達神は神能で異界移動を持つもの以外天界にしかとどまれない。異界移動の神能を持つ神は《時空の裂け目》を守る《守護の役割》を担っているか、夢咲学園の運営や諜報活動で手一杯なのだ。依り代や使いでは力不足。人に転生しても神の神能は使えず、神の記憶すら持てぬ…」


「どう思う?星愛に紗良」


 いきなりこちらに視線を向けるゼウス。視線が鋭く私達を見据え、その瞳に確かな覚悟が映る。

会場の神々の視線が一斉に私達に向けられ、その瞳には不安と期待が入り混じっていた。

空間は重苦しい沈黙の概念に支配された。


「ブツブツブツ…」


注目を集めているのにお構いなく、私はあることに腹を立てていた。


(あの弟、普段は『おねーちゃん、おねーちゃん』って甘えておきながら、こういう時だけ『星愛に紗良はどう思う』なんて偉そうに…。私を妹扱いしているみたいで、腹立たしい!)


「ちょっと、星愛。星愛ってば、こんなところで腹を立てないで…」


 必死に肩をゆする紗良だが、私の神衣が白からピンクに変わるのを見て、席を離れる。

周りの神々も神々の約束に従い、『兄妹の争いには介入しない』と決めているかのように、神席を離れ、静かに場を去り始めた。


業を煮やしたゼウスが大きな声で問いかける。


「お前らは、どう思うんだ!」


周りの神々はいっせいに目を瞑り、手で目を隠す。

神衣はヘスティアの炎で覆われ、その炎が怒りの膨張と共に深紅に変化する。同時に、私の身体からテイアの光が放たれ、会場全体が眩しいほどの真っ白な光に包まれる。


蜘蛛に転身して星愛の肩に乗って、記録を残していた琴葉の呟きが創世神話に残っていた。


「ママったら、また始めちゃった…」


そして、真っ白な光に包まれ続ける会場に私の声だけが響き渡る。


「そんなの簡単な事よ。私と紗良は21回目の転生を経て、神として覚醒できる18歳で仮死状態になる。

そして神婚の儀を行うために、私と紗良の神殿に召喚され、宇宙神になるための試練を受ける」


…………


「見事、パスして神婚の儀で紗良と私は女神をお腹に宿す。女神同士は女神しかできないからね」


…………


「お腹の子供は宇宙神として出産する。宇宙神は時間と空間を超越し、並行世界や異次元にも行けるのよ。ただし、地球の天界と冥界は地球の神の領域だから、そこには行けない。もうここには帰れないっていう覚悟が必要ね…」


私はここまで話し、落ち着きを取り戻す。

光りの放射と炎の放出を止めて弟君に聞く。


「で、弟君よ、私達のお腹に神核を預ける女神には心当たりあるのかしら?神核を宿すためには純粋な神気を持つ女神が必要なのよ」


ゼウスが私達のお腹に神核を預ける女神に心当たりあるのかと問われ、その瞳に確かな覚悟が映る。


そして、合図とともに女神が中央に現れる。


女神アテナ(戦術神、星愛の姪で紗良の腹違いの姉妹)が中央に現れ、その瞳に確かな覚悟が映る。


女神ニケ(勝利の女神、アテナにいつもついて歩き、星愛と紗良の戦いの記憶を共に乗り越えた盟友がアテナに寄り添い、その眼差しに確かな信頼が宿る。


女神ヘテカ(冥府の女神、月の女神として紗良の大親友)が微笑み、その瞳に確かな安らぎが映る。


女神アストレア(正義の女神星愛、紗良の大親友)が真っ直ぐに立ち、その瞳に確かな正義が宿る。


女神フローラ(豊穣の女神 澪の妹)が優しく微笑み、その瞳に確かな豊穣が映る。


女神ルキナ(出産の女神、星愛の姪)が微笑み、その瞳に確かな生命が宿る。


いずれの女神も私と紗良がともによく知った女神で、戦いと安らぎ,正義と豊穣が融合し、国一国を回すためには十分な家族になれそうだった。


「あと,創造神の澪が揃えば完璧なのにね」寂し気に呟くと、後ろで聞いていた風羽が応える。


「安心したまえ。澪については試練の日までに、間に合うようにするよ」


自信あり気に笑う,風羽だった。



ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

初めての投稿ですので、いただいたご感想や評価は次回作品づくりの大きな力になります。

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次回更新は7月23日を予定しています。引き続き楽しんでいただけると嬉しいです!

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