第11話 四聖女
澪もだいぶ落ち着いてきた様で、私の頭の方も混乱が少し和らいできたので、私と紗良の子供、四聖女を紹介することにした。
(まだ、四聖女については、私の子供と言うより、同級生の友達感が強くて、ここも整理しておきたいのよね)
「ねえ、澪とはこれから協力し合っていかないといけないから、私達の子供達の能力も説明しておくね」
澪は少し複雑な表情を見せながらも、微笑んで、頷いた。
(そう言えば、澪は「女神同士で子供を持つのは反対」って言っていたっけ)
私は長女の琴葉に目を向け、彼女の表情が少し自慢気な顔をし、自己紹介を始めた。
「私はね、今は禁書の聖女と言われてるんだよ」と澪に手を振り、スマホを見せる。
「禁書の聖女って、すべての禁書を扱える聖女なの?」と澪が尋ねると、
「違うよ、すべての禁書を扱えるのは紗良ママだけ。私はねママたちの1回目の転生から、夢咲学園への21回目の転生まですっと一緒に転生を繰り返してきたの」
「えっ、そう言えば700年前の転生で一緒に転生したけど、転生先では姿見なかったわよね」
「えへへ、私は特別なのよ。一般的には神は地上界に転生するときは、人として転生することが多いと思うけど、私は人か蜘蛛どちらかで転生しているんだよ」
「えっ、そうなの、だから姿を見なかったんだね」
「そだよー、蜘蛛の時は私は特別なお仕事をしていたんだよね」
紗良に目配せをして、話しを続ける琴葉。
「今はスマホにデータを書き込んでいるけど、昔は必死にメモを取りママたちの記録を残してきたんだ」
澪は少し浮かない表情になった。「えっ、それってただの日記じゃないの?」とたずねた。
琴葉は自慢げに語り出した。
「そうでしょ、そうでしょー。ただの日記に思えるでしょ。日記の部分は『創世神話』として出版されているけどね。それ以外に、ママたちの行動をある程度予測できたり、ママ達の未来に起こることも高確率で予測できるんだよー。そして…」
琴葉は澪に、ちらりと自慢げにスマホを見せて、少し貯めてから話し出す。
「行動や未来予測は私だけが持っているオリジナルの『創世神話』は書き記してくれるんだよ」
「私にも創世神話があればこんなことには…」と澪が呟いたが、琴葉には言葉が届いていない様だった。
琴葉の自己紹介が終わり続いて琥珀の紹介だ。
「澪、この子も2700年前の転生で一緒だったから知っているでしょ、私達の2女琥珀よ」
私は琥珀の瞳を見つめ、深く頷きました。その瞳には、2700年の時を超えた絆が静かに宿っているようでした。
「天界と夢咲学園で一緒だったし、改めて自己紹介って言うのも照れるよね」
琥珀は澪に手を差し出し、澪はその手を握り握手した。私と紗良は、二人の様子から昔を思い出し、寄り添うように見ていた。
(そう言えば、天界では琥珀はいつも澪姉ちゃんと言って後をついて歩いていたわね。女神同士の子作りには反対していたけど、澪は澪で琥珀がどんな悪戯をしても頭を撫でて可愛がっていたもんね)
少し照れながら琥珀は自己紹介を始める。
「私はね陽彩の聖女 琥珀と呼ばれる様になったんだよ」
澪は琥珀の瞳を見つめ、にっこりと微笑みました。その笑顔には、長い時間を一緒に過ごしてきた仲間への深い信頼が感じられました。
「憶えているよ、琥珀は天界の時と今も全然性格が変わらないね」
澪は琥珀の瞳を見ながら尋ねる。
「でも、二つ名は初めて聞いたわ、あの頃はまだなかったもんね」
琥珀は少し照れたように笑い、陽彩の聖女の意味について話だす。
「この二つ名は、西暦1250年の時の転生後に付いた二つ名なんだよ。私はね、鼓舞によって軍隊に実力以上の力を授けることができるんだ。それに、手足のように陣形を作り、軍隊の状況が手に取るようにわかる。それが私の能力、陽彩の聖女と呼ばれる所以だよ」
意外そうな表情をし琥珀を見つめる澪。自慢げに微笑む琥珀。
「そう、だから陽彩なのね」
と、満面の笑みを澪は浮かべた。その笑顔には、琥珀の成長を誇らしく思う気持ちがにじみ出ていた。
琥珀の自己紹介が終わり、残りの聖女は夢咲学園で初めて会った二人だった。
「あなた達、女神の星の屑で作れる子は4人までだけど、この先他の女神と子をもうけたいと思っても、もう作れないのよ」
私と紗良を見て、呆れたように苦笑いを浮かべました。その表情には、長年の友人に対する深い理解と親しみが感じらた。私は澪にウィンクを送った。
「へへへ、だって私と紗良ちゃんは永遠に一緒だからね」
私の横で頬を赤らめている紗良に、澪が声を掛けた。
「ところで、聖女たちは落雷のダメージが全然ないみたいだけど、それはどうして?」
「そうね、聖女は神の一部のような存在なんだ。だから、人に転生した時に最後を迎える時は、その苦しみや痛みはすべて、その聖女の母となる私たちが代わりに受け取ることになる」
紗良の答えに澪は驚いた。
「えっ、じゃあ聖女4人引き連れて転生して最期を迎える時は、自分の苦しみと4人分の苦しみを感じることになるの?」
紗良はゆっくり頷いた。
「でも、私と星愛でいつも一緒に転生しているから、半分ずつになるから3人分の苦しみだね」
そして私はサラの話しに言葉を足す。
「実際には琴葉はいつも連れて歩いて、それに、目的にあった子を一人だけ連れて転生していたから、二人分の苦しみかな」
私は碧衣の瞳を見つめ頷くと、碧衣も頷き自己紹介を始める。
「澪さん、私は夢咲学園では弓道部副部長の田中碧衣」
澪は碧衣を見つめ、その瞳に好奇心を宿しました。彼女の表情には、碧衣に対する興味と尊敬が感じられました。
「碧衣さんは紗良と二人で夢咲弓道部クールビューティーペアで有名だもんね。でも、まさか親子とは思はなかったよ」
碧衣は微笑んで「私達家族はみんな肉体の年齢は18歳で止めているし、そうそう、澪も18歳止めにしているの?」
澪は少し照れくさそうに頬を赤くしながら、碧衣の言葉に深く頷きました。その表情には、18歳の外見に対する愛着が見てとれました。
「そおね、この年齢の外見が一番好きなの」と澪は答えた。
碧衣も微笑んで頷き、自己紹介の続きを始めた。
「琥珀が攻めの要なら、私は差し詰め、守りの要と言っていいわね。私は『碧盾の聖女 碧衣』(へきじゅんのせいじょ あおい)と呼ばれているの」
澪の瞳が好奇心を宿す。
「私の能力は癒しと鉄壁の統率。私を守るものすべてに癒しを与え、彼らを疲れ知らずの状態に保つ。さらに、私を守る者すべてから情報を集め、最適解を瞬時に導き出し、敵対するものに対して効果的な布陣を組むことができるんだ。そして、その情報をすべての者に伝えることが出来るの」
澪はしばらく考えてから尋ねる。「すべての物って言うからには、兵士以外にも、あなたに与する自然のものすべてを含むということなのかしら?例えば、風や木々、大地までもが、あなたに従うということ?」
碧衣は澪の質問に深く頷き、その瞳に静かな確信が宿る。
「その通り。風や木々、大地までもが、私の声に耳を傾け、私を守るために動くの。それが碧盾の聖女の力なんだ」
「チートだね…、攻める方はたまったものじゃない」
澪は碧衣の言葉に満足したかのように微笑み、その瞳には未来に対する期待が浮かんでいるようだった。
そして澪の目は瑠璃へと移り話しかける。
「瑠璃ちゃんは夢咲学園では人の子としてでも、その神気の強さは溢れていたはね」
瑠璃は少し照れくさそうに頬を赤らめながら、澪の言葉に深く頷きました。その表情には、自分の能力に対する自信と謙虚さが感じられました。
「今の人としての転生先が巫女と言うことも関係していたのかな。私の隠れた能力と少し反応していたみたい」
振り返る様に澪に答え、澪の瞳がキラキラと輝き、瑠璃の能力に対する深い好奇心が表情に表れていた。その表情は、まるで子供が新しいおもちゃを見つけたかのようだった。
「それって、神秘的な力と言う事かしら」
瑠璃は澪の瞳を見つめ答えます。
「人の子風に言えば、浄化と魔法の持ち主っていうところかな。でも、実際にはもっと深い力があるんだ」
その言葉を聞き澪の瞳は輝きだします。
「えっ、ていう事は創造神である私は森羅万象の理の中で物を創造するけど、瑠璃ちゃんは理を無視して自身の周りにある物から瑠璃ちゃんのイメージを練って、それを形に出すっていう事よね。魔法使いと一緒と考えていいのかしら」
澪のキラキラとした視線を感じ、瑠璃は少し照れくさそうに頬を赤らめながら、ゆっくりと答えた。
「そうですね、それでいいと思います」
キャッと声を上げ、澪の瞳は瑠璃に釘付けになります。瑠璃は自己紹介を続けた。
(あらあら、澪ちゃんったら、燥いじゃって。でも、分かるよ、意外と神には神能があるけど魔法を使えるのは少ないのよね)
「私は『浄創の聖女』と呼ばれているの。文字通り魂の浄化と創造を得意としているんだけど、澪の創造は森羅万象の理から想像し、その理を理解すれば人の子でも再現できるでしょ」
うんうんと澪は頷きながら、「私はその一部を人に教えるという形で売って、地上界で生計を立ててきたの」
瑠璃は微笑んでから続きを話します。
「私の創造は、森羅万象の理を無視して、自分の周りにある物から何が作れるかイメージして創造物を作り出しているの。たとえば、私が水は油のように燃えると思えば、水に火をつけることもできる」そして、瑠璃は澪の瞳を見つめ次を話します。
「澪さんの創造は設計図を渡せば人の子でも作れる創造だけど、私の能力は私のイメージから生まれるもの。だから、決して他の人が再現できるものではない。それに、私と私の家族だけにしかその能力を使うことが出来ないから、この点も澪さんの創造とは違うところなんだ」と瑠璃は話し、自身の自己紹介を終えました。
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