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織田家のアナザー・ジャパン  作者: 青い水


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第59章 ヴァンパイア事件

1725年にセルビアで本当にヴァンパイアが出たという報告書が書かれ、新聞に載って大騒ぎになったらしいよ。


「なんか町が騒々しくない?」ミネが珍しくソロで言った。

「みんながやがや引きつった顔で噂話してる。」ルネもソロ。

「ちょっとこれ見て!」夢火が新聞を持ってきて広げた。


「セルビアとハンガリーにまたもやヴァンパイア出現!○月○日、ベオグラードとブダペストのオーストリア大公国総督府にセルビアの○○村とハンガリーの○○村でヴァンパイアが目撃されたという報告が地元警察から上げられた。オーストリア軍の軍医と地元の司祭が現場に赴き調査中。それぞれの村では、7人と13人の犠牲者が出ている。」


「は?何だ?ヴァンパイアって?」夢水が仰天している。

「ほら新聞のこの箇所、血を吸う者(ブルートザウガー)って書いてある。」と夢火。

「吸血鬼というわけか。」夢水は納得。

「そんなお伽噺の魔物に警察や軍が出動するとはね。」カイアはあきれ気味。

「何かの疫病の可能性は?」夢火はきょうは冷静。

「調べてみましょうか?」カイアは気乗りしない様子で言った。

「手がかりを集めよう。調査中だからまだ詳細はわかっていないはず。」と夢火。

「現地に行くのは避けられないか。どっちに行く?」カイアは諦めた。

「ハンガリーが近い。そっちにしよう。」夢水はリーダーっぽく決めた。

「ハンガリーの現場近くで聞き込みをしようよ。」夢火は絵会話帳を取り出した。

「調査団の軍人さんや軍医さんと遭遇したら怪しまれるよね?」とミネルネ。

「疫病の可能性を心配して調査に来たって言えばいいよ。」

「そうだ、修道院の推薦状も持って行こう。」



 ハンガリーのボルゴ村は、ブダペストから東へ200km、ルーマニアの国境付近にある。ブダペストには金竜疾風の潜入員がいるので、拠点を訪れて情報を共有しておく。彼らもヴァンパイア事件のことは当然知っていた。しかし、自分たちの管轄ではないと放置していたのだった。それにここに馬をは3人しかおらず、ロシア関係の仕事で手がいっぱいらしい。一行はブダペストで馬を借りて先へ進むことにした。馬は並足で1日に50km程度しか進めないので、現地までは4日かかる。宿がない場所も通るので何度か野営になるだろう。途中の聞き込みでは、当初心配したほどのことはなく、ドイツ語は良く通じた。さすが「オーストリア・ハンガリー・二重帝国」だ。聞き込みの結果は、住民たちが本当に恐れており、ヴァンパイアの撲滅を心底願っているということだった。ヴァンパイアの存在を疑う者は誰もいなかった。


「ヴァンパイアは本当にいるのかしら?」夢火は少し不安そうだ。

「いても別にかまわないだろ。」夢水が強気に言った。

「どうして?」

「攻撃してきたら返り討ちにしてやんよ。」夢水は銃を抜いた。

「死なないんじゃない?不死者って言うくらいだから。」

「死ななくても潰せば良いだけ。」と言いつつ夢水も少し不安になった。


 ボルゴ村の教会に近づいてきた。死体は教会の墓地に埋められている。教会の裏の墓地のほうから言い争う声が聞こえた。


「胸に杭を挿して首をはねて火をつけるんだ!」

「そんなことは許せん。まずはしかるべき場所に移して解剖だ!」

「そんなことをしている間にまた動き出して犠牲者が出る!」

「死体に関しては大公国の規則に則って処理されなければならない。」

「杭を打てー!」「首をはねろー!」「火をつけろー!」


 村人たちと軍人や警察官だった。言い争う集団にミネとルネが割って入った。


「はーい、ちょっと待ってくださいね!」

「その喧嘩、私たちが預かる!」


挿絵(By みてみん)


「何だ、君たちは?」軍医が訝しげに尋ねる。

「ミネでーす!」

「ルネでーす!」

「2人合わせてミネルネでーす!」

「何をしに来た?」

「ヴァンパイアの調査に。」ミネルネは潔い。

「それはわれわれの仕事だ。素人は帰れ。」

「でもうまくいってないじゃないですかー。」

「私なら、ね!」


 2人は跳躍すると同時に忍具の蜘蛛糸を屍に投げて首と腕を縛り、木の枝に飛び乗ると交差してまた跳躍し、死体を操り人形のように起き上がらせた。動き出した死体を見て村人はパニックになり蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。村人がいなくなると、2人は不死者とみられるその死体を糸で拘束したまま木にぶら下げた。そして軍医に言った。


「どうします、これ?」


 そのとき雲が切れて月が顔を出し、青い月光が死体を照らした。死体が不器用にカタカタと動いた、と思ったら、それは獣のような声とともに戒めを引き裂き、風のように森の中へ姿を消した。


「お、おまえらなあ。」顔を紅潮させて怒る軍医。

「あはははぁ...」気まずそうな双子。


 そのとき森の中から銃声が聞こえた。「いかん、効かない!」夢水の声。かけつけると夢水がくないで怪物の攻撃をしのいでいた。どうやら弾丸は効果がなかったようだ。「夢水、下がって!」とカイアが叫ぶとボウガンに火弾をセットして狙いを付ける。粘着火薬の矢が放たれ、怪物の身体が炎に包まれ、最後は灰になった。


なんか燃やしてしまいましたよ。

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