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織田家のアナザー・ジャパン  作者: 青い水


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第57章 ブレナー峠を越えて

ブレナー峠、中世のころにはよく盗賊が出たそうです。なので商人などは護衛を雇う、ってまるで異世界ものみたいですね。

乗合馬車は郵便馬車とも呼ばれ、手紙や書類を運ぶ手段でもあった。乗客数は10人程度。スピードは10km/hで現在の自転車より遅い。ヴェネツィアからリンツまでだと、10~15日ほどかかるので途中何度も馬を取り替えなければならず、乗客は宿泊しなければならない。とはいえ、旅路は退屈なものにはならない。馬車はまず西へ向かう。パドヴァで休憩したあとヴェローナへ向かう。


挿絵(By みてみん)


「わあ、ヴェローナだ!」ミネルネの歓声。

「ロミオとジュリエットだ!」カイアがうっとり目を閉じる。

「ロミオとジュリエットごっこしよう!」夢火と夢水がはしゃぐ。

「バルコニーないかな?」カイアが本気で探し始める。

「あった!あそこが良さそう。」

「俺がロミオな。」と夢水。

「じゃあ私が..」と4人の娘が一斉に声を上げた。

「くじ引きにするか。」


挿絵(By みてみん)


 ヴェローナを出るとアルプスを越えてドイツ語圏に入ることになる。標高1370mのブレナー峠を通るが、険しい地形を克服するためにぐにゃぐにゃと曲がりくねった道が特徴で、パノラマのように広がるアルプスの景色を楽しむことができる。この峠を越えて数多くの商人や芸術家がイタリアとドイツ語圏を行き来してきた。ゲーテがヴァイマルの公職を辞してこの道を通ってイタリアへ行くのは、56年後の1786年である。


挿絵(By みてみん)



 馬車は峠を越えるとインスブルックの町に入る。馬車はインスブルックの石畳の道をゆっくりと進み、ホーフブルク宮殿が姿を現す。この宮殿は、白と金を基調とした壮麗なバロック建築で、ハプスブルク家の権威と富を象徴している。通りには商人や市民が行き交い、騒がしい市場の声が響く。馬車を降りた一行は、インスブルックの賑わいと美しい街並みに目を奪われた。遠くに聖ヤコブ大聖堂の壮麗な鐘楼が見える。ハプスブルク家の富と権威を間近に感じ、一行はこれから向かうウィーンの任務に新たな緊張を覚えるのだった。


挿絵(By みてみん)


 インスブルックを出た馬車の次の目的地はザルツブルクである。ザルツブルクはザルツカンマーグートと呼ばれる広域地域の中心都市だが、どちらにも「塩(Salz)」が付くのは、この地域が岩塩採掘地であることを示している。カンマーグートというのは君主の私有地を意味し、ハプスブルク家が岩塩を採掘する土地であることを示している。ザルツブルクは「塩(Salz)の城(Burg)なのだ。1730年、まだモーツァルトは生まれていない。


 ザルツブルクを出た馬車は、ようやくリンツへ到着した。ヴェネツィアを出てから2週間かかった。リンツからはやっと船の旅だ。ドナウ川のざわめき、いや違うな、ドナウ川のささやき、良さそうだがやはり違う。ドナウ川のさざなみだ。さざなみって何だ?ただの波ではないのか?ちなみにこのワルツの原題はルーマニア語なので読めない。だが有名になったドイツ語のタイトルはシンプルに »Donauwelln »だ,ドナウの波だ。英語にすれば »Waves of the Danube »、「さざ」は付いていない。ひょっとしてあれか?「さざ」を付けないと船酔いするかもという訳者の弱腰か?まあ良いだろう。一行は美しい夕焼けに見送られてリンツを出発した。ウィーンまでは5日ほどの旅になる。一行の中に船酔いする軟弱者はいない。


挿絵(By みてみん)



「おい、信太郎、ウィーンへ送り込んだ連中、大丈夫かな?」


「ヴェネツィアまで運んだ船長は、何事もなく無事に到着と。」


「船旅はな。問題はヨーロッパの陸上だ。」


「まあ、わが国際スパイ組織にとっても初めてですからね。」


「無駄に字数を取るからそれやめれや。」


「はい。」


「そもそも言語は大丈夫なのか?」


「イタリア語はスペイン語からの応用で。」


「ドイツ語は?」


「バタビアでオランダ人から学ばせました。」


「そのオランダ人はドイツ語ができたのか?」


「ドイツ語もオランダ語も似たようなものだと。」


「本当か?信じられんな。俺、2外はフラ語だったからわからんけど。」


「は?ニガイ?フラゴ?」


「アー、気にすんな。」


やっとウィーンに到着しました。いったい何が待ち受けるのでしょう?まあハプスブルク家が関係してくることは確実です。

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