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織田家のアナザー・ジャパン  作者: 青い水


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第51章 大きな動きが始まりそう

ラナちゃん、寒いロンドンでどんな服着てるのか気になる。

「失礼、よろしいかな。」紳士は楽屋のドアをノックする。

「はい、どなた様でしょうか?」夢児が出てきた。

「私は“ピカデリー・ガゼット”というパンフレットを作っているリッチモンドと申します。」

「ジャーナリストの方ですか。」

「そんなたいそうなものではありません。噂話のネタ提供屋です。」

「どうぞお入りください。」

「では失礼して。」

「あら、お客様?」ラナが後方から声をかける。

「失礼、私この子たちのマネージメントをしてるラナと申します。」完璧なカーテジー。

「これはこれは、よろしくお願いします。」紳士は恭しくお辞儀をした。

「ジャーナリストさんが私たちに何の用なの?」夢羽がレモネードを飲みながら尋ねた。

「お二人のことを記事にしたいのです。」

「わー、書いて書いて!」

「ではいくつか質問をよろしいですか?」

「何でも聞いて。面白く答えるから。」

「お二人はどちらからロンドンへ?」

「えーと、羽衣の里。」

「それはどこにあるのです?」

「インドの彼方の中国を越えてアムール川を下って...」

「ベーリング海峡の向こう側を南下して温泉に入ると...」

「たまに熊が出るから逃げないと危ないよ...」

「逃げてると迷子になって...」二人の掛け合いは永遠に続く。

「わかりました。とても遠くからですね。」

「はい、とても遠くからです。」二人のハーモニー。男女なのでユニゾンにはならない。

「ラナさん、あなたはインドの方?」

「いいえ、でも近いような遠いような、でも海は渡りますかね。」

「わかりました。野暮な質問はやめましょう。」

「でも、みんなあっちの新大陸のほうから来たのですよ。」

「そこで産まれたわけではないけどね。」と双子のハーモニー。

「新大陸ですか。最近いろいろとキナ臭いらしいですね。」

「そうですか?豊かで楽しいですよ。魚もよく釣れるし。」ラナは思い出していた。

「大規模な海戦があったとか。」

「ああ、ありましたね。イギリスがコテンパンに負けた。」夢児は容赦ない。

「2000人も将兵が捕虜になったのです。」

「美味しいご飯が食べられると良いですね。」夢羽が微笑む。

「食べられるんじゃない?あそこ食材が豊富だから。」ラナはまた思い出していた。

「なぜ西アメリカとメキシコは我が軍を不意打ちに?」

「攻撃する気満々だったから迎撃したのでは?」ラナはさらに思い出していた。

「われらが植民地を次々と奪っていたからです。」

「でもねえ、あんな非道を放置できなかったんじゃないのかな。」

「非道、ですと?」

「ええ、リッチモンドさん、奴隷貿易ってご存じ?」

「いや、寡聞にして。」

「説明するのが面倒くさいし、これ作者も何度も書いているので正直勘弁して欲しいんだけど、三角貿易なの。イギリスから工業製品、銃とか織物とかを船に積んでアフリカの西海岸へ行きます。そこに悪者仲間の奴隷商人が待っていて、捕まえて集めた黒人さんたちとその工業製品を交換します。で、黒人さんたちはギュウギュウ詰めの船でカリブ海まで運ばれるんだけど、途中で半分くらいお亡くなりになります。死体はサメの餌。あのあたり、サメが増えたらしい。そして生き残った元気な黒人さんたちはカリブ海のプランテーションに送られて死ぬまでサトウキビ作り。奴隷商人は黒人さんとサトウキビを交換して、イギリスに戻って大儲け。イギリス人のスイーツは奴隷さんたちの涙で作られたというお話。」

「なんと、そんなことが?」

「王立アフリカ会社の関係者とか植民地経営者に聞いてみれば何かわかるかもよ。」

「わかりました。秘密裏に調査してみます。貴重な情報、ありがとうございました。」

「グッバイ、ロード・リッチモンド!」


「あの人ちゃんと動いてくれるかな?」夢児は不安そうに見送った。

「貧乏貴族って、わりとやるときはやりそうよ。」夢羽の判断に根拠はない。



「イギリス人の宣教師を入国させて布教を許せですと?」メキシコ政府は不満そうだ。

「白き災厄を招き入れろというのですか?」西アメリカは怒りに震えている。

「はい、捕虜の皆さんに改心してもらうためです。」安寿は穏やかに言った。

「イギリス人は清教徒です。カトリックとそりが合わない。」メキシコはますます不満だ。

「白人は信用ならない。捕虜を扇動するかもしれない。」西アメリカは警戒している。

「ハワイで実績があるのです。捕虜が改心しました。いまは戒めを解かれ島民たちと仲良く働いています。すべては蜂蜜の聖女のおかげなのです。彼女が属する“真理の友人たち”という教団は奴隷廃止の運動にも携わっていて、アメリカにもその教えを広めようとしています。アメリカ東部の白人たちは、やがてアフリカの黒人を奴隷に使うでしょう。そうなる前に奴隷貿易そのものを潰さなければなりません。2000人の捕虜にはその意味を理解してもらってから国に戻り、奴隷廃止を訴える声を上げて欲しいのです。日本はこれからアフリカ西部に向けて艦隊を送ります。奴隷貿易の本部を潰すのです。たいした戦にはならないでしょう。標的は現地に滞在する数人のイギリス人とその協力者だけです。軍の仕事と言うより警察の仕事ですね。アラビア海のほうから回りますので、両国の協力は不要です。いかがでしょう?ご協力いただけますか?」


 安寿の熱意に西アメリカ国もメキシコも折れた。アメリカ大陸でも蜂蜜の聖女が活躍することになる。その活動にハワイからもかつての戦友だった元捕虜も加わることになった。


安寿は粉雪さんの血を引いてるせいか長い演説が似合うね。

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