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織田家のアナザー・ジャパン  作者: 青い水


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第49章 芸はロンドンでも身を助ける

ロンドンもパリも臭かったなあ。あ、これは実体験です。パリでは犬の糞を踏んで最悪だった。あと警察に職質された。"Qu'est-ce que c'est?"ってシェイバーを指さされて、「お、フランス語で何て言うんだっけ。えーと、Une machine de rasirer.と適当なことを言ったら、"Ah, rasoir!"と教えてもらった.ラゾワールはパリのおまわりさんに教えてもらったフランス語単語として記憶に刻まれたのでした。


「紳士淑女の皆さん、遠方からやってきたわれら双子の芸を篤とご覧あれ!」

「私は夢羽、兄は夢児、生まれは羽衣の里!」

「重力のない世界です。」

「ほら、こんな風に。」夢羽は優雅に2回転宙返りを決めた。

「宙を舞いながらボールを操ります。」

「お気に召しましたらおひねりもよろしく!」


挿絵(By みてみん)


 夢羽と夢児の芸は大観衆の喝采を浴びた。おひねりが箱の中に投げ入れられ、たくさんの観客が握手を求め、賞賛の言葉を述べた。その中に襟付きのシャツに黒くて短い上着の男性がいて、「奥様がお話しをしたいとおっしゃっているのでここにいつか来てください。」と告げて2人に住所が記された紙を渡した。


「偉い人じゃないの?」ラナははしゃいでいる。

「コーンスタッド伯爵夫人。まあ偉い人だろうね。」夢児は冷静だ。

「明日行きましょう。」夢羽は腹を空かしている。


「なんかあまり美味そうなものがないな。」夢児は献立表を見て呟いた。

「黒パンとか食べたくない。」ラナも顔をしかめた。

「このミートパイっての、少し期待できるかも。」夢羽は腹を空かしている。



「斑鳩の、久しいな、いや初めてだな。」信光が笑う。

「お初にお目にかかります。頭領の斑鳩です。」

「何代目になるんだ?」

「7代目です。」

「私も形だけの国王になったので来ることもなくなっていた。」

「それでも金竜疾風は織田家の忍びです。国の形が変わろうと。」

「情報を知りたい。イギリス人の捕虜のことだ。」

「ハワイの捕虜は懐柔できたようです。安寿様が拘束を解きました。」

「そうか、それは良い報せだ。」

「メキシコは...,宗教上の理由がありまして。」

「メキシコはキリスト教国であろう?」

「宗派が違うのでございます。同じ宗教でも宗派が違うと、むしろやっかいで。」

「そうか、そうかもしれんな。」

「その反目ゆえにメキシコの捕虜は打ち解けようとはしません。」

「西アメリカはどうだ?」

「西アメリカはキリスト教国ではないし、そもそも白い厄災の撲滅が国是の国。」

「期待できないな。まさか捕虜を処刑とか。」

「さすがに安寿様たちとの盟約があるのでそれはありませんが。」

「ハワイがそれほど上手くいったのはなぜだ?」

「蜂蜜の聖女のおかげだとか。」

「なに、蜂蜜の聖女とな?」

「キリスト教の宣教師で、捕虜を信仰の力で改心させたそうです。」

「ううむ、ならばその力、メキシコと西アメリカでも発揮してもらいたい。」



「コーンスタッド伯爵夫人様、夢羽と夢児、お招きに預かりはせ参じました。」

「楽にしてください。お会いしたかったわ。」

「われら流浪の民なれば、いつこの町を去らねばならぬのか、それもわかりません。」

「なんと、居場所がないのですか?」

「はい、流れ者が居場所を得るのはなかなかに難しいのでございます。」

「ならば私が所有するメイフェアの屋敷を使いなさい。」

「そんな!よろしいのですか?」

「はい、あなたたちのような愛らしい兄妹を路頭に迷わせておくわけには参りません。」

「私たちはどのようにしてその恩に報いれば良いのでしょう?」

「ライシーアム劇場で芸を披露してもらえますか?」

「あの立派な劇場でですか?」

「はい、私のお友だちたちにもあなたたちの芸を見せてあげたいの。」

「了解いたしました。必ずや喝采を勝ち取ってご覧にいれましょう。」

「期待してますよ。」



 ラナはそのころグリーン・パークという新しい公園を散策し、そこからピカデリーに出た。おこは壮麗な住宅が並ぶ上流階級の町のようだった。テムズ川の悪臭もここまでは流れてこない。町の一角で黒い帽子をかぶった男が何か印刷物を売っていた。


「グッド・アフタヌーン、ミスター。何を売ってるの?」

「パンフレットだよ。君は字が読めるのか?」

「はい、こう見えても学校出ているからね。」

「ほう、どこの学校だい?」

「ゴールド・ドラゴン・スクール。」

「ふむ、聞いたことがないが、なかなかリッチな名前じゃないか。」

「ミスター、パンフレットって何?」

「社交界のさまざまな話題を提供する情報誌さ。」

「へえ、売れてるの、それ?」

「ああ、上流階級は宴で気の利いた会話をするのが仕事だからね。」

「誰が書いてるの?」

「リッチモンド男爵とそのお仲間さ。」

「へえ、面白そう。一部ちょうだい。」

「はい、Thank you very much!」


ハイドパークに移動して,ラナはベンチに腰掛けパンフレットを読み出した。政治の情勢や植民地のこと、カリブの戦闘のことも書いてある。「敵の艦船に新装備!正々堂々と戦わない蛮族の艦隊。無念の敗北。捕らわれた英雄たち。」


「これ、使えるかも。」ラナはにんまりした。



はい、だんだんいろいろ上手くいきそうな展開になってきましたね。

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