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織田家のアナザー・ジャパン  作者: 青い水


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第43章 海賊の洞窟

キューバ事変、いや事変と言うほどのこともないか。


「¡Eh! Tú, suelta el arma.(はい、そこのあなた、銃を捨てなさい!)」ミナとルナは二連燧ピストルで左右から男を威嚇した。


 男に銃を突きつけられていた黒人は頭を抱えてしゃがみ込んで震えていた。ラナが駆け寄って抱き起こした。言葉が通じないので絵会話帳で「もう大丈夫よ」と伝えた。ミナとルナは男を拘束し、事情を聞いた。


「この人に何をしようとしていたの?」

「人?人じゃない、こいつは俺の奴隷だ。」

「人じゃないですって?」

「ああ、俺はこいつを市場で買ったんだ、100ペソでな。」

「市場で人を買うなんて。」

「イギリス人が年に1度アフリカから連れてくるんだよ。」

「なんてことを...」

「スペイン人の旦那がいなくなったので、俺がこいつを使って畑をやってる。」

「この人は私たちが連れて行くわ。」ミナが男をにらんだ。

「あんたは島から出てもう帰ってこないで!」ルナがピストルで男を促した。


「この人はメキシコ政府に保護してもらいましょう。」ミナが言った。

「保護してくれるかな?」ルナは懐疑的だ。

「もし断られたらハワイに連れて行くわ。」ラナが微笑んだ。


「ミナ~!ルナ~!」遠くから手を振りながら紫影が呼んだ。

「あ、紫影さん、お久しぶり!」

「この子が新人の?」

「はい、ラナと申します。ハワイから来ました。」


「おい、やめとけって!」遠くから銀天の声が聞こえた。


 行ってみると奔吾が巨大な爬虫類と対峙していた。ワニだ。奔吾には分の悪い相手だ。奔吾の飛影乱舞はワニの固い皮には通じないだろう。そしてもし着地したときにその巨大な顎に脚を噛まれたら、逃れられずに水の中へ引きずり込まれてしまう。ラナは躊躇なくボウガンで粘着火弾を発射した。ワニの横腹に火弾が命中し、炎が上がった。ワニは横転しながら苦しみ、水中へ逃げようとした。そこに2発目が追い打ちをかける。ワニの頭が燃えた。肉が焦げる匂いがあたりに立ちこめる。ワニは痙攣しながら絶命した。


「見た目と違ってずいぶんえげつない武器を使うのね。」紫影はしげしげとラナを見た。

「私に一番合う武器をって里の人たちが持たせてくれたんです。」

「おまえね、何でも体術で片付けようとするなよ。」銀天が奔吾を責める。

「1度、メキシコ海軍の船に戻りましょう。」紫影が促す。

「この人の保護を頼まなくっちゃ。」



「この人の保護を頼めるかしら?」紫影は船長に言った。

「了解いたしました。」

「この船に兵士は何人乗っているの?」

「航行要員を除くと70名です。」

「ならばこの界隈のプランテーションを回ってメスティーソを説得して、奴隷にされた人々を保護してちょうだい。こんなことが許されて良いはずはないわ。国の恥になる。」

「了解しました。さっそく小隊を組織して作戦を決行します。」

「私たちはこれから海賊の掃討に向かいます。」


6人は海岸線を進むことにした。海賊なので船を停泊させる場所が必要だ。海岸線を進んで行けば海賊の基地にたどり着くはずだ。


「ねえ、あそこ、怪しいんじゃない?」ルナが海に突き出した岩山の絶壁を指さした。

「怪しいわね。陸地から行けないし。」ミナが望遠鏡で確かめた。

「私、ちょっと見てくる。」ラナが服を脱いで海へ駆け出した。

「あ、ちょっと!」紫影が呼び止めようとしたが、ラナはもう泳ぎ始めている。

「何だ、あいつ。人魚みたいだな。」銀天が望遠鏡でラナを追う。「潜ったぞ。」


 しばらく待っていると、ラナがイルカの背に乗って戻ってきた。一同は目を丸くした。まるでポニーに乗って遊ぶ牧場の少女のように、イルカに乗って海上でジャンプしてはしゃいでいる。


挿絵(By みてみん)


「おーい、ラナ、何か見つかったか?」紫影が声をかけた。

「はい、中に基地がありました。」イルカと別れて地上に戻ったラナが答える。

「こちら側からは見えないのですが、大きな洞窟があって、海賊船が停泊しています。洞窟の中に小屋が7つありました。海賊の住居でしょう。」

「小屋が7つ、海賊は30人以上はいるな。」奔吾が推測した。

「さて、どうする?」紫影が腕組みした。

「海から行くしかないだろう。」銀天が言った。

「そうだな、そうしよう。」梵天は服を脱いで筋肉をみんなに披露した。

「みんな泳ぎは大丈夫?」服を脱ぎながら紫影は尋ねた。」

「ラナほどじゃないけどね。」ミナルナは声を揃えて答えた。」

「サメはいないだろうな?」銀天が不安そうに言った。

「いたけど何もしてこなかったよ。」とラナが平然と言った。

「おまえは人魚だから特別だったんだよ。」

「6人もいれば襲ってきたりはしないだろ。あっちも怖がる。」紫影は海に入った。

「行こうぜ。」奔吾がそれに続く。

「今度はサメに乗ってみようかな。」ラナは嬉しそうだ。


 岩山の洞窟は巨大だった。おそらく奥に陸地につながる秘密の通路もあるだろう。海賊船が停泊しており、港にはラナが報告したように小屋が7つ並んでいた。見張りに出ている海賊はいなかった。ここが発見されるとは誰も考えていないのだろう。


「さて、どうする?」銀天が尋ねる。

「火器は海に持ち込めないから置いてきたし。」ミナルナがユニゾンで言った。

「ボウガンも使えませんね。」ラナはあまり不安がってはいない。

「陸地から秘密の通路を捜せば良かったか。」紫影は少し後悔しているようだ。

「全部倒して吐かせれば良いだけだ。」奔吾は拳を手の平で叩いている。

「少数を誘い出して各個撃破だ。」紫影が決定した。

「では右から順に小屋を潰していこう。」銀天が同意した。

「隊を2つに分けて左右から攻めるのはどう?」銃がないのにミナルナは強気だ。

「そうだな、各個撃破に6人もいらんだろう。」奔吾が賛成した。

「よし、ならばミナルナに奔吾が付いて右へ行け。残りは私と一緒に左からだ。」



 小屋の大きさから推定すると、各小屋には敵が5~6人。計画通り、くないに紐を付けて小屋の出入り口の板に刺す。敵が出てきたら手裏剣か弓で倒す。外に出ようとした味方が倒れたのに驚いて敵が迎撃態勢を取ろうとしたら、手裏剣でさらに攪乱し、一気呵成に攻め込んでできるだけ音を立てずに切り捨てる。右の小屋は2分で無力化された。左の小屋も10秒後に片が付いた。次の小屋も難なく攻略できるかと思ったそのとき、真ん中の小屋から大男が飛び出して、「野郎ども、敵襲だ、迎え撃て!」と叫んだ。攻略中の小屋にはあと3人、無傷の小屋から15人、合計18人の敵を相手にしなければならない。人数はは3倍だが、金竜疾風の敵ではなかった。奔吾が飛影乱舞であっという間に4人を倒す。銀天が連射する矢は、乱射のように見えたが、的確に敵の頭部を貫いていた。意外なことにラナは白兵戦でもひけを取らなかった。舞うように忍刀を振るって次々に敵を切り倒す。紫影とミナルナは手裏剣を投げていたが、狙うべき敵がどんどん減って、手持ち無沙汰になってしまった。「おい、おまえ!」虫の息になった海賊の首領の胸ぐらを掴んだ銀天は、「奥にある通路まで案内しろ!」と締め上げた。



「あっけなかったな。」銀天は通路から戻って一息ついた。

「服を着て船に報告に行きましょう。」紫影は袖を通しながら言った。

「ラナとミナルナはどこに行った?」奔吾が尋ねた。

「少し海の友だちと遊んでから来るってさ。」着装を終えた紫影が答えた。


「やっほ~!」海のほうからミナルナのユニゾン。イルカに乗っている。

「やっほ~!」ラナはサメに乗っている。


ラナの魅力がどんどん増してきました。同じポリネシアンとしてあのモア....うぷっ、声が出ない...はい、その人にも負けませんね。

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