第41章 ラナの挑戦
ラナが新たなくノ一として参入です。
1670年、イギリス人の冒険家ウィリアム・ステイロンは北アメリカのメキシコ湾岸を探索していた。フロリダは長らくスペイン領とされてきたが、スペインが撤退したいま、現地民やメスティーソが細々と暮らしているだけだった。ステイロンはノートに、「フロリダ:入植可」と記した。しばらく西に進むと、海岸線沿いに小さな集落がぽつぽつ散在していた。家の作りから漁業を生業にしている現地人と想われた。「フロリダ以西沿岸部:入植可」とステイロンは記録した。さらに西に進むと、フランス人が入植しているルイジアナに入ってしまう。トラブルを恐れてステイロンは引き返しかけた。そのときルイジアナ方面から銃声が聞こえた。それも複数回。どうやら戦闘が行われているようだ。何だろう、フランス人の内輪もめか?それにしては規模が大きい。まるで戦場だ。ステイロンは興味を駆られて銃声が聞こえる方向へ進んだ。
「Allez-y ! Vaincre les barbares !(進め!蛮族どもを打ち倒せ!)」サーベルを振り上げた将官が叫ぶ。その配下の兵は約10名。そしてその銃口が向けられた先には、制服を着た赤褐色の兵士たちがやはり銃を構えていた。ざっと見た限りで30人はいる。フランス軍の劣勢は明らかだった。
「降伏しろ、白人ども!おまえたちの負けは決まった。命は取らない。ここから出て行けば許してやる。」赤褐色の兵士たちのリーダーが片言の英語で叫んだ。
将官が何か言おうと頭の中で英語の文章を考えている間に、部下の兵士たちは武器を捨てて手を上げていた。ステイロンに気づいたリーダーは、「おまえも武器を捨てて手を上げろ。」と促した。巻き添えだ。ステイロンは武器を捨て手を上げた。そして言った。
「俺はこいつらの仲間じゃない。フランス人じゃなくてイギリス人だ。」
「だが白人だ。白い災厄だ。
「おまえたちは何だ?どこの軍だ?」
「われわれは西アメリカ国だ。国軍だ。」
「西アメリカ国だと?」
「ああ、そうだ。1665年から国がまとまり、メキシコとの国境も画定した。白い災厄が入り込む隙はない。」
「わかった。わかったからこのまま帰してくれ。西アメリカに入る意思はない。」
「良いだろう。帰ってホワイトメンに伝えろ。西アメリカ国は強国だと。」
逃げ帰る途上でステイロンはノートを取り出し、「入植可」をバッテンで消した。
ハワイの真珠湾に立派な軍港が誕生した。日本海軍の軍艦や駆逐艦がたくさん停泊している。軍港の向かい側の入り江には商港があり、輸送船や客船が停泊していた。ハワイの各島々へ渡るための小型や中型の船もここに係留されている。天馬と安寿は帳簿を見ながらテキパキと部下たちに指示を出していた。
「安寿様!」ラナが小走りで近づいてきた。
「安寿様、私、里の訓練を終えました。金竜疾風のラニです!」誇らしげに胸を張る。
「よく頑張りましたね。」
「はい。これから西アメリカ国のサンモニへ向かいます。紫影さんたちが最初に潜入したところです。いまは立派な港があって、ハワイから2~3日で到着できます。」
「現地では何を?」
「日本から2人来るので合流して、東部からの白い災厄の状況を調査します。」
「無茶はしないのよ。最近は銃の性能も良くなっているから。」
「はい。では行ってきます。」
サンモニの港にはかなり大きくて立派な宿屋が建っていた。付近にはさまざまな商店もあり、食べ物や雑貨が売られていた。ラナは興味津々で見て回った。そのとき、双子の女性が近づいてきた。
「ラナちゃんね?」
「はい。ハワイから来ました。」
「私たちはミナとルナ。金竜疾風よ。よろしくね。」
「はい、よろしくお願いします。」
ラナを支えるのは20歳の大人になったアイドル双子。




