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織田家のアナザー・ジャパン  作者: 青い水


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第36章 アカプルコ郊外の戦い

双子の初めての戦闘です。やるときはやるよ。


「信高~!」


「何だよ、隠居はせんぞ。」


「あのさ、北から赤道近くまで、アメリカ大陸の西沿岸部、かなり調査したじゃん。」


「おう、みんな頑張ってくれてるし、船も速くなったしな。」


「そこでだ、ハワイ以外にも港を作ったほうが良くないか?」


「まあ補給とかいろいろ便利だしな。」


「作れそうな場所の候補は?」


「まず紫影たちが上陸したサンモニ付近だな。」


「あそこは大事だな。真ん中あたりだしな。」


「アー組が探索したアラスカ湾のどこか。」


「アラスカ半島の根元とその南方2000キロ、おまえらの数え方だと500里あたりにも1つ欲しい。」


「あとは、今後のために、ベーリング海峡の南方にけっこう大きな島があるので、そこにも作っておくか。」


「島の港は海軍の基地に出来るから大事だな。燃料倉庫とか武器弾薬庫とか」


「ハワイはなかなか調子が良いぞ。マウイ島やオアフ島など周辺の島も全部1つになった。いまは義務教育も受け入れられた。」


「それは良い話だ。冬眠は満足しているか?」


「火山の影響で豊富な湯量の温泉ができた。大流行だ。」


「アリューシャン諸島とか、もっと調べるといっぱい温泉が出そうだな。」


「お、良いことを思いついた。温泉を掘りまくって裸の付き合いで仲良し作戦!」


「きらびやかね、ここ。金銀でピカピカじゃない。」

「鋼火さんのドレスもピカピカで素敵!」

「や、やめろ!こっぱずかしいわ。西洋宴だから仕方なく着てるだけだ。」


挿絵(By みてみん)


「Señorita, ¿puedo presentarme?(自己紹介をしてもよろしいか)」

「お、おう。シ・セニョール!」

「私はスペイン海軍少佐のホセ・ガンビロスと申します。」

「私はコウカだ。ええと、苗字はキンリュウだ。」

「セニョリータ・キンリュウ、夜会でこんな素敵な方に出会えるとは光栄です。」

「(歯が浮きそうだ)コウカで良いですわよ。」

「コカ!カタルーニャの甘い菓子のような響きだ!香りだけでは我慢できません!」

「(おいおい,近いってば)ほっほっほ、甘いか辛いかは食べてみてのお楽しみね。」

「私は美味しいものは大事にとっておくタイプなので楽しみが増します。」

「(こいつ、食う気満々だな)お国のお話を伺いたいわ。まだ行ったことがありませんの。」

「はい、では静かな東屋へ行きましょう。ここは人が多すぎる。」

「(まあ煙玉もあるし大丈夫だろ)はい、よろこんで。」


「まあ、スペイン王国はそんなに栄えてらっしゃるの?」

「かつては、です。ここ100年で威光は地に落ちました。」

「それはまたなぜですの?」

「憎き隣国たちのせいです。陰謀、策動、裏切り、卑劣な奇襲。」

「まあ、なんてことでしょう!」

「特に許しがたいのはオスマンとフランスです。」

「どちらも初めて聞く国ですわ。」

「オスマンはイスラムの大帝国です。異教徒です。地中海沿岸を幅広く占領し、遠くはアラビアや黒海まで支配して,その勢いは止まりません。」

「まあ異教徒ですの?¡Ira de Dios!(神の怒りを)」

「そしてもうひとつ、フランスは同じカトリックの国でありながら、こともあろうにその宿敵プロテスタントの国々を支援し、ついには我が国に牙を剥きました。この戦いで我が杭は多くの領土を失い...(悔しさに唇を噛みしめる)。」

「大変な目にお逢いになったのですね。辛い(良い)話を聞かせていただきました。」

「コウカ、また会っていただけますか?」

「ええ、それはもう。月が燃える晩にでも。おーっほっほっほ!」



 ハワイ本島と周辺の島々の間には中型の船が入港できる簡易的な港が作られた。物資の運搬だけでなく人の流れもこれいよって意訳的に増えた。火山が活発なハワイ島には大規模な温泉施設が作られ、オアフ島やマウイ島からも多くの人々が訪れて、裸の付き合いで友好を深めた。入浴後は、風通しの良い休憩室で安寿が考案した果実牛乳を飲むのが入浴客の楽しみになった。


「海で泳いでから温泉に浸かるの最高だよな。」

「ええ、そしてよく冷えた果実牛乳、完璧ね。」

「泉の冷水で果実牛乳を冷やすって、良くえついたな。」

「学校の子どもたちが果実や飲み物を冷やして食べてるの知ってたからね。」

「子どもたちも大きくなったな。」

「ええ、義務学校が始まったとき、最年長の子は10歳、それがいまは13歳。」

「もうすぐ卒業だな。」

「素質がある子も多いわ。」

「そう言えば将兵採用試験、ハワイでも実施するのかしら?」

「さあ?でもやらないと不公平だな。」

「日本から船が来たら、質問書を託しましょう。」

「俺が直接行ってもいいけど。」

「そうね、もう3年も直接の報告をしていない。私も行きましょう。」



「ここに港を作るのか。」銀天は目を見張った。

「便利になるわね。ハワイまで2~日で行けちゃいそう。」

「ハワイにはデカい温泉があると聞いたぞ。」

「ほお、ならば励めよ、三助!」紫煙は奔吾の脇腹をどついた。


「何だ、こんなところに港を作るのか?誰も住んでないだろうが。」

「将来のためらしいわよ、弦矢。西海岸一帯の連絡を密にするんですって。」

「私、メキシコに行ってみたいな。」エルニカは遠くを見て呟いた。


「ふっっふっふ、最新式の鉄砲を持ってきたからな。」犬嵐は銃眼を覗く。

「あんた、それでセイウチでも狙うつもり?」あきれ顔で凍雨が肩をすくめた。

「この前は手も足も出なかったもんね。」オムリーネには気遣いという概念がない。

「でも、現地の人たちにこんなもん見せたら...」

「確実におねだりされるでしょうね。」

「だよなあ。やっぱ隠しておくか。」

「そうしなさい。」

「もうすぐ港の建設隊が到着するわね。」

「こんな島に港を作ってどうするつもりかしら?」

「さあ、信高様に何か考えがあるんでしょ。」



「いまからレジスタンスの救援に向かう。後方支援部隊が到着するまで持たせるんだ。おまえたちにとっては初めての荒事で危険な任務だ。気を引き締めて行け。」

「わかりました、鋼火さん。」


挿絵(By みてみん)


 アカプルコの町外れの瓦礫。スペイン植民地公安部隊によるレジスタンス掃討作戦が始まっていた。装備と人員で圧倒的に不利な状況にあるレジスタンス。銃も弾も足りない。


「あっちからも来るよ!」ミナは廃墟の壁に隠れた。

「武器が足りないみたい。」ルナはレジスタンスの集団を見た。

「くっ、増援が来ないと持たないな。」鋼火は矢と暗器の残りを気にしていた。

「敵に突撃されたら終わりかも。」ミナルナの顔に諦めの色が宿った。


挿絵(By みてみん)


 そのとき


「待たせたな!」落ち着いた銀天の声。

「俺が来れば100人力だ!」奔吾のうなり声が轟く。

「持ってきたわよ、日本からの贈り物!」紫影が華々しく現れた。

「中古だけどスペインの旧式よりはずっと高性能、レジスタンスに配るわよ。」


 補給を終えてレジスタンスの士気が上がった。スペイン公安の射程外から反撃し、次々と敵を倒す。リロードも速い。公安部隊の数はみるみる減っていった。敵のエリート兵がレジスタンスの弱い一画を狙って集中攻撃を加える。各所に戦死者が出た。「あいつらを無力化しろ!」紫影が叫ぶ。ミナルナが二連銃の連携で敵の小隊長を5人倒した。2人で2発ずつの4連射だから反撃できる敵はいない。敵の指揮官は焦った。軽くひとひねりのつもりの作戦がまさかの負け戦。神に救いを求めようとしたそのとき、紫煙のくないがカピタン・ガンビロスの額を貫いた。月が燃えるように赤かった。


「ありがとう、紫影、国境を抜けられたのね。」

「国境なんてあってないようなものだったわ。」

「なるほど、やはりスペインは弱体化してるのね。」鋼火はホセの話を思い出していた。

「兵装の更新も滞っているみたい。旧式の銃で射程が短い。」

「このままじりじりと敵を弱らせるべきね」


出勤前に早く目が覚めてしまったので、書きかけの原稿に挿絵を付けて,数行書き足して更新します。

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