第35章 スペイン王国の陰り
各地に港が出来て便利になりますね。
「信高~!」
「何だよ、隠居はせんぞ。」
「あのさ、北から赤道近くまで、アメリカ大陸の西沿岸部、かなり調査したじゃん。」
「おう、みんな頑張ってくれてるし、船も速くなったしな。」
「そこでだ、ハワイ以外にも港を作ったほうが良くないか?」
「まあ補給とかいろいろ便利だしな。」
「作れそうな場所の候補は?」
「まず紫影たちが上陸したサンモニ付近だな。」
「あそこは大事だな。真ん中あたりだしな。」
「アー組が探索したアラスカ湾のどこか。」
「アラスカ半島の根元とその南方2000キロ、おまえらの数え方だと500里あたりにも1つ欲しい。」
「あとは、今後のために、ベーリング海峡の南方にけっこう大きな島があるので、そこにも作っておくか。」
「島の港は海軍の基地に出来るから大事だな。燃料倉庫とか武器弾薬庫とか」
「ハワイはなかなか調子が良いぞ。マウイ島やオアフ島など周辺の島も全部1つになった。いまは義務教育も受け入れられた。」
「それは良い話だ。島民は満足しているか?」
「火山の影響で豊富な湯量の温泉ができた。大流行だ。」
「アリューシャン諸島とか、もっと調べるといっぱい温泉が出そうだな。」
「お、良いことを思いついた。温泉を掘りまくって裸の付き合いで仲良し作戦!」
「きらびやかね、ここ。金銀でピカピカじゃない。」
「鋼火さんのドレスもピカピカで素敵!」
「や、やめろ!こっぱずかしいわ。西洋宴だから仕方なく着てるだけだ。」
「Señorita, ¿puedo presentarme?(自己紹介をしてもよろしいか)」
「お、おう。シ・セニョール!」
「私はスペイン海軍少佐のホセ・ガンビロスと申します。」
「私はコウカだ。ええと、苗字はキンリュウだ。」
「セニョリータ・キンリュウ、夜会でこんな素敵な方に出会えるとは光栄です。」
「(歯が浮きそうだ)コウカで良いですわよ。」
「コカ!カタルーニャの甘い菓子のような響きだ!香りだけでは我慢できません!」
「(おいおい,近いってば)ほっほっほ、甘いか辛いかは食べてみてのお楽しみね。」
「私は美味しいものは大事にとっておくタイプなので楽しみが増します。」
「(こいつ、食う気満々だな)お国のお話を伺いたいわ。まだ行ったことがありませんの。」
「はい、では静かな東屋へ行きましょう。ここは人が多すぎる。」
「(まあ煙玉もあるし大丈夫だろ)はい、よろこんで。」
「まあ、スペイン王国はそんなに栄えてらっしゃるの?」
「かつては、です。ここ100年で威光は地に落ちました。」
「それはまたなぜですの?」
「憎き隣国たちのせいです。陰謀、策動、裏切り、卑劣な奇襲。」
「まあ、なんてことでしょう!」
「特に許しがたいのはオスマンとフランスです。」
「どちらも初めて聞く国ですわ。」
「オスマンはイスラムの大帝国です。異教徒です。地中海沿岸を幅広く占領し、遠くはアラビアや黒海まで支配して,その勢いは止まりません。」
「まあ異教徒ですの?¡Ira de Dios!(神の怒りを)」
「そしてもうひとつ、フランスは同じカトリックの国でありながら、こともあろうにその宿敵プロテスタントの国々を支援し、ついには我が国に牙を剥きました。この戦いで我が杭は多くの領土を失い...(悔しさに唇を噛みしめる)。」
「大変な目にお逢いになったのですね。辛い(良い)話を聞かせていただきました。」
「コウカ、また会っていただけますか?」
「ええ、それはもう。月が燃える晩にでも。おーっほっほっほ!」
ハワイ本島と周辺の島々の間には中型の船が入港できる簡易的な港が作られた。物資の運搬だけでなく人の流れもこれいよって飛躍的に増えた。火山が活発なハワイ島には大規模な温泉施設が作られ、オアフ島やマウイ島からも多くの人々が訪れて、裸の付き合いで友好を深めた。入浴後は、風通しの良い休憩室で安寿が考案した果実牛乳を飲むのが入浴客の楽しみになった。
「海で泳いでから温泉に浸かるの最高だよな。」
「ええ、そしてよく冷えた果実牛乳、完璧ね。」
「泉の冷水で果実牛乳を冷やすって、良く考えついたな。」
「学校の子どもたちが果実や飲み物を冷やしてるの知ってたからね。」
「子どもたちも大きくなったな。」
「ええ、義務学校が始まったとき、最年長の子は10歳、それがいまは13歳。」
「もうすぐ卒業だな。」
「素質がある子も多いわ。」
「そう言えば将兵採用試験、ハワイでも実施するのかしら?」
「さあ?でもやらないと不公平だな。」
「日本から船が来たら、質問書を託しましょう。」
「俺が直接行ってもいいけど。」
「そうね、もう3年も直接の報告をしていない。私も行きましょう。」
「ここに港を作るのか。」銀天は目を見張った。
「便利になるわね。ハワイまで2~日で行けちゃいそう。」
「ハワイにはデカい温泉があると聞いたぞ。」
「ほお、ならば励めよ、三助!」紫煙は奔吾の脇腹をどついた。
「何だ、こんなところに港を作るのか?誰も住んでないだろうが。」
「将来のためらしいわよ、弦矢。西海岸一帯の連絡を密にするんですって。」
「私、メキシコに行ってみたいな。」エルニカは遠くを見て呟いた。
「ふっっふっふ、最新式の鉄砲を持ってきたからな。」犬嵐は銃眼を覗く。
「あんた、それでセイウチでも狙うつもり?」あきれ顔で凍雨が肩をすくめた。
「この前は手も足も出なかったもんね。」オムリーネには気遣いという概念がない。
「でも、現地の人たちにこんなもん見せたら...」
「確実におねだりされるでしょうね。」
「だよなあ。やっぱ隠しておくか。」
「そうしなさい。」
「もうすぐ港の建設隊が到着するわね。」
「こんな島に港を作ってどうするつもりかしら?」
「さあ、信高様に何か考えがあるんでしょ。」
仕事の準備の合間にちょっとだけ書きました。2500字程度でも出せるときに出そうかと思います。




