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織田家のアナザー・ジャパン  作者: 青い水


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第33章 そろそろいったん帰還しよう

なんだかメキシコは波乱の予兆。北のご一行は順調みたいです。


「え?あんたたちなの?」


 アカプルコに潜入して1週間が過ぎたころ、鋼火の元に日本から増援が送られてきた。


「よろしくお願いしまーす!」2人揃ってぴょこんとお辞儀したのは双子、そして子ども。

「なんで、子どもが?」

「子どもじゃないもん。くノ一だもんん。」ユニゾンで返事。

「あんたらいくつなんだ?」

「15歳。」

「訓練は済んでいるのか?」

「まだ途中だけど、残りは現地でって。」

「現地って、私が訓練するのか?」

「わかんなーい。何も言われてないもん。」


 鋼火は混乱するとともに怒りがわいてきた。なんで、なんでこんな目に遭わされる。私はこれまでしっかり成果を上げてきたじゃないか。絵会話帳も開発したし、ハワイの義務学校も軌道に乗せた。なのに、なんでメキシコくんだりまで飛ばされて、こんなガキのおもりをさせられるんだ?何の仕打ちだ!「クソッ!クソッ!」知らぬ間に声を出してしまっていた。怒りにもだえる鋼火を双子のくノ一はポカンと見ていた。


「はぁ、怒り狂ってもどうにもならない。冷静になろう。とりあえず拠点へ行こう。付いて来な。」


「さて、それでは落ち着いたところで自己紹介と行こうか。私は鋼火、日本の長崎から来た。九州の金竜疾風の里は長崎だからね。私の祖母は天竺でイギリスの陰謀の秘密を見つけ、日本が海上封鎖でイギリス海軍を降伏させたときの功労者さ。その後長崎へ行って、って、そんな長い話はいらないか。とにかく私は長崎からハワイへ行って、なんか無駄な苦労をさせられたあとで、義務学校を作って子どもたちに日本語を教えていたのさ。楽しかった。そしたら何と、急にメキシコへ行けという話になって、1週間前にここに来た。」

「私はミナ」、「私はルナ」、「2人合わせてミナルナでーす♡」

「おいっ!」

「あ、ごめんなさい。私たちは奥州の仙台から来ました。スペイン語は習ったので大丈夫。アブラモス・エスパニョール!義務学校を卒業する前に母がコネを使って金竜疾風の里に私たちを売り込みに行ったんです。うちの娘たちは特別なんですとか言って。そこで実技の試験を受けたら、受かっちゃった。」ミナは無邪気に語った。

「才能があるんだって。」ルナは無邪気に(いやもういちいち無邪気にはいらないだろう、こいつらはいつも無邪気だ)言った。

「実技試験の結果はどうだったんだ?」疑わしそうに鋼火が尋ねる。

「格闘がウ、剣術がイ、槍術がイ、弓術がア、射撃が特ア、基礎体力がウ、筆記がア、碁や将棋での作戦能力は2人ならア、別々だとウ」

「ほう、その見た目の割にはなかなか。射撃がすごいのか。銃は持ってきたのか?」

「上下二連回転式の小型燧銃。ピストルって言うんだって。」ミナは自慢げに得物を取り出した。

「特注で連射できるんだよ。」ルナは片手に持って狙いを付けてみた。

「じゃあ、明日からさっそく諜報活動を始めるとして、とりあえず服を買いに行こう。その改造忍者服ではこの町で目立ちすぎる。」

「やったー!ドレスだ、ドレスだ!」



 タタヴィアの集落へはまず紫影が単独で行くことになった。男が行くと警戒されやすい。特に奔吾は強面で身体もごつい。その身にポルトガル人の血が流れているからだろう。奔吾の母親はマカオで踊り子をしていた。祖母も同じくマカオの踊り子だったが、あるときポルトガル人の水兵と一夜を過ごしてしまい母を身ごもった。一夜を過ごした翌日に出港した水兵は,自分が父親になったことなど知らない。


「こんにちは!」絵会話帳を携えて紫影が集落を訪れた。「日本から来たんです。」


あらかじめ絵会話帳に仕込んだ地図や絵日記を見せながら紫影は説明した。思ったより友好的に迎え入れられた。紫影は室内を見て、長い槍がないか確認した。武器らしいものは何もなかった。ただ気になったのは、大勢が暮らしているらしいその家には女の姿がなく、男しかいなかったことだ。10人ほどいただろうか。女も子どももいない。老人から若者まですべて男だ。男たちはニコニコしていたが、だんだんそれがニヤニヤに変わって行くのに紫影は気づいた。「そうか、そう来るか。」紫影は部屋を見回し、脱出経路を捜した。背後の出入り口はもちろんすでに男たちによって封鎖されている。残るは明かり取りの天井の窓だ。ガラスはない。簡単な板で開閉する仕組みだ。男たちが股間をたぎらせて少しずつ距離を詰めてくる。「バカめ!」紫影は煙玉を投げると同時に跳躍して明かり取りの窓を蹴破り脱出した。「そんなにたぎっているなら燃えな!」紫影は懐から何かを取り出すと家屋に投げつけた。爆発音とともに炎が上がった。粘着爆弾だった。ここに来る前に紫影は蜂蜜を材料に作っていたのだ。銀天と奔吾が駆けつけたとき、出入り口から逃げ出した者は誰もいなかった。


「あちゃあ、やっちまったな!」

「汚らわしいことを仕掛けようとするからだ。」

「まあ、仕方あるまい。」



 アー組はアラスカ海の沿岸を進み、半島の付け根に到達した。現在のアンカレッジから南東へ4~500mほどの場所である。村人たちが言っていた「アレウト」と「ユピック」らしい部族の集落では、友好的に迎え入れられ、日本のことをについていろいろ興味深そうに質問された。特に漁業について興味があるらしく、釣り竿や網について詳しい説明を求められた。エルニカのチュクチ語は彼らには全く響かななかった。その代わり、彼らは絵会話帳にはすぐ馴染み、驚くほどの適応力で受信だけではなく発信までこなせるようになった。仕掛け網の話をしたら、彼らは驚くほど精巧な絵を描いて、自分たちの仕掛けにどのような改良点があるか尋ねてきた。残念なことにアー組一行に魚魚に詳しい者はおらず、集落の人々の期待に応えることは出来なかった。


「誰も漁業に詳しくなかったわね。」

「俺の管轄は山と平野だからな。」弦矢はいつも偉そうだ。

「私、海と川も行けるんですけど、飛び込んで泳ぐ派なんです。」

「あんたはむしろお風呂派では?」と雪菜は笑った。



 べー組は半島の付け根あたりから右折して大陸を南下し始めた。ここに来るまで集落を3つ発見し、接触して交流を深めた。オムリーネのチェチュク語をある程度理解できた部族もいた。顔つきも似ていた。種族的に近いのだろうか。一行が遮光器を身に付け、新しい毛皮の外套を着ていたので、有能なハンターと認められ、狩りの話題で盛り上がった。巨獣を氷山に縛り付ける作戦は多くの村人の興味を引き、説明のために描いた絵をみんなが欲しがった。


「さて、たくさんの村人と交流も出来たし、どんな部族が住んでいたかもわかったわ。そろそろ船に戻りましょうか?」凍雨は髪を束ねながらみんなに問うた。

「そうだな。船で詳しく報告をしてから、これからの方針を考えよう。」

「私考えたんだけど、すごく熱いドゥーシェを浴びて、我慢の限界になったら冷たい海に飛び込むのってどうかな?きっと気持ち良いよ。」オムリーネが突拍子もないことを言う。

「冷たい海で我慢の限界になったらどうする?」犬嵐がニヤニヤして尋ねた。

「そのときはまた熱いドゥーシェに」

「すぐ戻れないだろ。今度は飛び込むわけじゃないんだ。」

「そうか。泳いでそれから縄ばしご、地獄ね。」オムリーネは心底ガッカリした。


メキシコの物語に興味が尽きませんが、ごめんなさい、本業が忙しくなるので、これから更新が遅くなります。毎日は無理です。1週間に5回ぐらいになると思います。見捨てないでください。

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