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織田家のアナザー・ジャパン  作者: 青い水


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第18章 信吉の隠居、甘雪の強化

若いときに子どもを作っちゃうと後がつかえるから早く引退しなければならない。やっちまったなあ。でもセカンドライフで楽しめばいいか。


「おい、紅影、すごいネタを掴んだぞ!」

「なんだ群青、酒臭いぞ。」

「そんなの関係ねえ。軍艦の値段とその販売先を掴んだんだよ。」

「何?その情報の入手先は?」

「ヤン・ステーテン、れっきとした東インド会社の経理担当官様だ。」

「でかしたな、群青、さっそく日本に連絡だ。」


「ようこそ尾張へ、オランダ東インド会社バタビア支部局長ヘラルト・ファン・フリース殿。」

「織田信吉公、このたび閣下に拝謁を賜りたいへん光栄に存じます。」

「いやいや、面を上げてくだされ。今日は五分五分の立場で商談じゃ。はっきり言おう。軍艦が欲しい。」

「なんと?でも日本には立派な軍艦がありますよね。」

「西洋の軍艦が欲しいのじゃ。かっこいいからのう!」

「かっこいい、でありますか?」

「うむ、それが大事。かっこいいものが欲しい。」

「しかし軍艦はかなり値が張りますよ。」

「適正価格ならかまわんよ。」

「ヨーロッパでの商談では1隻30000ギルダー、これは銀貨11000枚に相当します。」

「ほう、お高いのう。でも、それふっかけた場合じゃろ?」

「いえ、適正価格ですが。」

「おかしいのう。ジョホール王国へは10000ギルダーで売ったらしいが。」

「え?そんなはずは。一体何を根拠に?」

「おたくの経理担当官が言っておったぞ。ヤン・ステーテンといったか。それを聞いた者もたくさんおる。きれいどころなどもな。」

「く、わかりました。10000ギルダーでお譲りしましょう。ただし、ジョホール王国が軍艦を買ったお話しは他言無世にて。」

「了解した。ジョフォウだかニョハルだかの話は忘れた。」

「お買い上げ、ありがとうございます。」


「びっくりしたぜ、粉雪、まさかおまえが結婚して子どもを産んでたなんてな。」

「驚くほどのことでもないさ。18歳でこの地に来て早10年、もう28歳だよ。子どもの1人や2人いるのは当然だ。」

「まさか旦那が竜之介とはね。」

「樺太生まれの日本人と中国生まれの日本人、通じるものがあったのさ。」

「子どもはかわいいか?甘やかしてるのか、甘...」

「それ以上言ってだじゃれにしたら雪乃に代わって私が成敗する。てゆうか、凍吉、おまえ何しに来たんだ?」

「いちおう輸送船の護衛に志願した。護衛と言っても道中は平和そのものだったけどな。」

「日本からの支援物資は非常に助かっている。この国はまだ若い。隅々まで栄養が行き渡っていない。子どもたちの教育にも教材が必要だ。でも日本語で教育するわけにはいかない。自分たちの力でやり遂げることに意味があるんだ。」



「なあ信吉、そろそろ隠居せんか?息子の信高ももう20歳だろ?」


「そうだなあ、1645年になって俺も37歳、っておい!まだ30代だぞ。」


「後がつかえてるんだよ。子ども作るのが早すぎたんだよ!」


「くっ、引退したら何しよう?」


「諸国漫遊がお約束だが。」


「俺、船酔いするから無理。」


「じゃあ、娯楽省の仕事でも手伝ったらどうだ?おまえ好きだろ、演芸とか?」


「お、それは楽しそうだな。なら明日にでも引退するわ。」



 信吉の退位と信高の即位が翌日発表され、祝典では父子2人がついた餅が振る舞われた。信吉は翌日派手な服装で大阪へ旅立った。行き先は演芸場で、全日本娯楽公演のネタ見せを監督する。信吉は餅をつきながらの掛け合い漫才を提案しようと思っているが、元国王であっても厳格な合議制なので採用されるかどうかはわからない。


 信高は、各上級学校の校長を集めて話を聞こうとしていた。上級学校は15歳で入学、18歳と20歳で卒業(甲)と卒業(乙)がもらえる。いま開校しているのは、軍隊学校、商業学校、工業学校、教育学校、医学薬学学校、海洋学校、外国語学校、農林学校、水産学校である。信高が校長たちに相談しようとしているのは、父の信吉から託された演芸学校の設立についてである。歌舞音曲は上級学校で教えるに値するか。


「必要ありませんな。」工業学校の校長が口火を切った。「歌舞音曲は教えるものではなく自然に湧いてくるものです。放っておいても沸いてくる。学校が教えるものではありますまい。」

「だが歌舞音曲には心を一つにして集団を動かす力がありますぞ。歌を歌って行軍すると力があふれ、怖じ気が消えます。」と軍隊学校の校長。

「同感です。歌舞音曲は子どもたちの情操と団体行動に有益です。」と教育学校。

「外国語を習得するには音楽の律動や旋律が不可欠です。あと外国語で歌唱すると学びが深まります。」と外国語学校。

「歌や踊りで病状が改善することがありますが、まだその仕組みは解明されておりません。」と医学薬学学校。

「歌舞音曲で購買を促すと格段に売れ行きが伸びるのは確かです。」と商業学校。

農林学校と水産学校は沈黙している。

「ふむ、先生方のご意見は拝聴した。どうやら賛成多数のようなので、演芸学校の設立を決定しよう。


演芸学校は後に「音楽舞踊学校」に改名された。



「おーい、信高、青水だ、よろしく頼む。」


「わあ、青水だ、本当にいたんだね、よろしくね。」


「おまえ船酔いはしないよな?」


「うん、全然大丈夫。海は大好き。」


「よし、ならば造船所で外洋船がどうなっているか見てこい。」



「信高さま、お初にお目にかかります。甘雪の使者黒田竜之介でございます。」

「うむ、良く来た。何か相談か?なんなりと申せ。」

「はい、我が甘雪は建国してから日も浅く、何かと日本のお世話になりつつ国としての体裁を整えているところです。アムール河口からウラジオストックまで、そしてそこに連なる日本海沿岸での地区は、開発も進み施設も産業も安定してきました。しかし、アムール河口以西、オホーツク海の湾岸地域は、まだ未開発で地形がようやく把握できたところです。国土の安全のためには、その湾岸地域から南西に引かれた斜線を国境として確定したいと考えております。」

「ほお、なかなかに骨の折れる事業だの。」

「ロシアがこのまま引き下がるとは思えません。やつらは冬でも凍り付かない港を建設して太平洋へ進出する夢を諦めてはいないでしょう。そうなると目を付けるのが、日本の領土カムチャッカでございましょう。あの半島の南端であれば、海流の関係で海も凍り付きません。」

「うむ、確かにあそこにはカムチャッカの玄関口、石黒港があるのお。」

「ロシアは大きく北へ迂回すれば陸路でカムチャッカに攻め入ることができます。われわれが画定しようとしている国境の北側をです。」

「そうなるとなかなかに難儀な戦になりそうじゃな。」

「夏に仕掛けるか冬に仕掛けるか。もしオホーツク海が凍っていなければ、樺太と蝦夷の海軍を出動させて海上から砲撃すれば、オホーツクに海軍を展開できないロシアは撤退するでしょう。冬の場合は五分と五分、どうなるかわかりません。」

「しかし兵站はこちらに利がある。十分に準備しておれば、ロシアも無謀なことはなかなかできまい。警戒を強めつつ態勢をしっかり整えることにしよう。」

「われわれ甘雪は、ロシアのカムチャッカへの領土的野心に対して直接の介入はできません。ただしこのたびの国境画定を成功させられれば、ロシア軍の進軍にとってささやかな障害にはなるでしょう。そこで信高様にお願いがあるのです。国境の防壁を築くための技術をわれわれに授けてください。現在の甘雪は堅牢な砦を作ることができません。砦や防壁を作る石垣の組み方もわかりません。」

「良かろう。工業学校に話を伝え、卒業生から10名ほど選抜して甘雪へ派遣しよう。」

「ありがとうございます。そしてもうひとつお願いなのですが、石炭を採掘する技術も授けてはいただけないでしょうか。妻の粉雪は、蝦夷地の訓練で石炭の採掘に触れたことがあるという話ですが、とてもおぼつきません。大規模な石炭の採掘は、今後の国境画定で北方に大きく広がる甘雪の人々に冬の生活を保証するための条件となります。」

「わかった。こちらは陸軍工兵部隊から専門家を7名派遣しよう。そして石炭を効果的に使うためにはレンガや熱に強い鉄が必要になる。これも工業学校に連絡して、窯業と製鉄の専門家を4名派遣しよう。お、そうじゃ。今回の訪問への送り土産として、石炭500トンを与えよう。かつて燧銃を運んだ輸送船で運んでやるぞ。」

「は、お心遣い、痛み入ります。」



甘雪はロシアの南下にどう対処するのか。そして清の動きは?

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