表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
織田家のアナザー・ジャパン  作者: 青い水


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/78

第17章 甘雪建国

遊び人の群青さん、良いお手並みです

 ほどなくしてこの地に新しい国が生まれた。国名は甘雪、日本政府はカンセツと読ませようとしたが、誰もそれに従わず「アマユキ」と読んだのでそれが正式名称になった。中国語ではガンシュエグオらしいが、どうでも良い。ウラジオストックには港が建設され、函館との間に航路が開かれた。


 日本は、かつての金だった清に使節を送り、日本国王織田信吉からの国書を渡した。そこにはこうあった。


「新興国の甘雪と日本は友好国である。友好であって朝貢ではない。日本は助力はするが過度な指導はしない。ましてや併合することは決してない。貴国が甘雪に侵略することがあれば日本が守る、と言うかと思うだろうが、それを言うと戦になるので言わない。しかしただ指をくわえて傍観するかというとそうでもない。あくまで助力の範囲内で助ける。日本の助力は手厚い。さまざまな贈り物を甘雪に施すであろう。その贈り物を甘雪の人々は有効に使うであろう。貴国にも、我が友好国甘雪との友好関係を望みたい。もちろん我が国とも。私がついた餅を持たせた。ご賞味あれ。 信吉」



「おい、やったな、信吉、ロシア撤退しちゃったよ。」


「かつて派遣したくノ一がその後も残って尽力してくれたおかげだよ。甘雪という国名も彼女にちなんでだそうだ。」


「異国から来た建国の母か、ロマンだねえ。」


「ときに青水よ、太平洋のヨーロッパ勢だが、今後どう動く?」


「1640年か。あまり詳しいことは検索しないとわからんのだけど。」


「おまえさ、ときどき挟む検索って何だよ?」


「あ、気にしないでね、禁則事項だから。」


「まあいいや、でどう動くんだ?」


「うんとだね、おまえらがイギリスを叩いた分、オランダが浮上したかな。ポルトガルがオランダに押されて落ち目、スペインは本国が徐々に傾きつつあるけれど相変わらず1位だな。太平洋の彼方の国を抑えているから強い。」


「なるほど。マニラ総督府は日本の侍傭兵団の活躍で現地民の抵抗にずいぶん悩んでかなり弱体化したけど、侍傭兵団はある程度金を稼ぐと日本に戻ってきてしまったからな。現地のコネを活かして南蛮物の商いとかやってるよ。特にバナナという果物を扱って大儲けをした者がいるらしい。」


「ルソンの現地民は総督府を追い出して独立したがっているのか?」


「帰国した侍衆に聞いたら、それなりに不満を溜め込んでいるらしい。でもその反面、支配が長く続いてしまったので、それが普通と思って順応している者も少なくないとか。キリスト教の熱心な信者もたくさんいるらしいし。」


「そうか、それにしてもスペインの血脈、黄金の泉のような太平洋の彼方の国、興味があるんじゃないのか?」


「それはもう。」


「だったら行ってみないか?スペイン人が行けるんだから日本人だって行けるだろう?おまえたちの船、どのくらい進化した?」


「あ、そういえば造船所にしばらく行ってないわ。あした行ってくる。」



 造船所の所長は図面を見ながら首をひねっていた。造船所には、耐用年数が迫る艦船がたくさん係船していた。ここで解体される改造されるか判断され、海軍には常に新しい船が配船される。かつては尾張に集中していた造船所も、いまでは日本全国に分散し、迅速な配船が行われている。


「信吉だ、久しいの。」

「あ、信吉様、いかがいたしました?」

「最近の船がどんなものなのか見に来た。」

「日々進化はしておりますが、最近気になることが。」

「はい、15年前に天竺で鹵獲したイギリスの船ですが、ずいぶんと日本の船と違いましてな、漕ぎ手なしで帆だけで進む。そしてやたらと重い。長さと幅が同じ日本の船と比べましても倍ぐらい重い。そして船倉が深い。少し浅くなるとすぐに乗り上げてしまいます。とりあえず研究結果をまとめて、それから実際に図面を書いて組み上げてみました。」

「ほう、どうだった?」

「大失敗でございます。進水させたらすぎにぶくぶくと沈み始めましたので、甲板から帆柱やら何やら重そうなものをすべて切り離して海へ捨て、甲板ギリギリの喫水線で持ちこたえました。その船は解体されて焚火の蒔になったのでございます。」

「ふむ、なるほど。となると、ヨーロッパの船をもっと調査せねばならんな。しかし戦を仕掛けて鹵獲するわけにもいかん。うーむ、どこかから買うか。どこから買おう?イギリスはあんなことがあったので気まずいな。スペインも同じ理由でやめておいたほうがよかろう。となるとオランダとポルトカルか。よし、金竜旋風に相談してみよう。」


「よお、斑鳩の、久しいな。」

「お久しぶりでございます、信吉様。」

「さっそくだが、オランダとポルトガル、いま金竜旋風が注力しているのはどっちだ?」

「オランダでございます。シャムのバンコク、クメール王国のプノンペン、東インドのマラッカ、そして同じ東インドのバタビアに忍びを潜入させております。」

「おお、なかなかの布陣だの。」

「オランダはイギリスと同じく東インド会社というものを作りましてな、会社と言っても強力な武力を併せ持つ実力組織でして、そろそろポルトガルからこのあたりの利権を奪うことになりそうです。」

「会社と言うからには物を売ったり買ったりするのだろうな?」

「はい、それはもちろん。」

「ならばオランダから軍艦を買いたい。手を貸してもらえるか?」

「承知しました。潜入中の忍びどもに伝えましょう。」

「おぬしら、伝えると言うが、どうやって伝えるのじゃ?」

「鳩を使うのでございますよ。鳩は最大で250里を飛んで文書を伝えますから、中継所を用いれば海外でもすぐに情報を交換できます。」


「オランダ語というのは発音が難しいわね。口の形が変わりそうよ。」

「まあたしかに、やたらと気合いを入れるときのハッみたいな音が多い。」

「バタビアの東インド会社、けっこう大規模なのに、私たち3人で大丈夫かな?」

「潜入箇所が増えたからな、回せる人手も限られてるんだろう。」

「人もたくさん住んでるし、薬もよく売れるから、活動は順調だけどね。」

「順調だけど、群青のやつ、きょうも賭場と酒場に調査に行ってるぞ。遊びたいだけじゃないだろうな?」

「でもあいつ、あの性格と話術でけっこう良いネタを拾ってくるじゃん。」


 賭場

「よーし、勝った!次もう1回勝ったらおまえらにたらふく飲ませてやるからな。」群青は賭場で背後に従えた取り巻きに言った。

「群青さん、がんばれ!」


 酒場

「さて、それでは皆の衆、今宵もヘリュッキッヒ、懐あったか、無敵のおいら、好きなだけ飲んで食ってもヘーンプロブレーム!乾杯!」

「乾杯!群青さん、いつもありがとうな。」

「なーに、友だちじゃねえか。ところで最近、会社はどうだ?忙しいか?」

「なんか上の方はバタバタしてますね。マラッカがどうのこうのって。俺たちオランダ語があまりできないからそれ以上はわかんないですけど。」

「そうか、まあ会社の番兵だからな、そんなに首を突っ込まないほうが良いぞ。」

「はい、でもこのごろ珍しい立派な服を着た人たちがよく出入りするんですよ。」

「ほお、どんな服だい?」

「上が平べったいつばなし帽をかぶって、ゆったりとした綺麗な上着を着て、ズボンの上に派手な腰巻きを巻いている。」

「ほう、どこぞの王族か貴族様かな。」

「見たことがない服なのでこの国の人ではないでしょうね。」


「おい、紅影、これは大きいネタかもしれないぞ。ジョホール王国が会社にときどき来ているようだ。」

「なんですって?何をするつもりなのかしら?」

「わからん。ともかくこのことをマラッカに知らせよう。」


マラッカの拠点

「南天、バタビアから連絡よ。ジョホールが動き出したみたい。」

「そうか、オランダとつながるか。」

「大規模なドンパチがあるかもしれないわ。警戒しながら調査を続けましょう。」

「町中にジョホールの工作員が放たれているだろうから、桜花も気をつけろよ。」

「ええ、このことはプノンペンにも知らせて、シャム経由で日本にも報告しましょう。」

「おーい、南天と桜花、日本からの通信があったわ。信吉様が軍艦の値段を知りたいそうよ。バタビアの東インド会社が直近の営業で軍艦を売却したときの詳細を調べろとのことよ。」

「バタビアか、ならば群青に連絡だな。あいつ、東インド会社につてがある。」


バタビアの拠点

「おい群青、東インド会社で軍艦が売られたときの書類を調べなさい。」

「え、でも俺は中に入ったことはないぜ。」

「夜遊びで人脈ができてるんでしょ。」

「現地人の番兵とかだけだからな。経理の事務官なら、紅影、おまえが色仕掛けで。」

「は?いやよ、面倒くさい。あんたが失敗したときのために取っておくわ。何とかしなさい。」

「まあ、何とかやってみるか。」


酒場

「やったな、ヤン・ステーテンさん。初めての賭場でこんなに勝つなんて、あんた賭け事の才能があるんじゃないか?」

「群青のサポートがあったからだ。ハルテリーク・ダンク!」

「まあ、いつも桁違いの金の計算をしてるあんたにとって、こんなのは小銭だろうけどな。」

「計算しているのは私の金ではないよ、群青。」

「でかい軍艦とか、いくらぐらいするんだ?」

「軍艦か、そうだな、装備にもよるけど、2万ギルダーはくだらない。ということは、銀貨7000~8000枚に相当するかな。」

「すごいな、そりゃ賭場で稼げる金じゃない。帳簿見たことがあるのか?」

「ああ、見たというか、私が付けた。確か売却相手は...。」

「相手は?」

「言って良いのかな?まあいいや、もう終わった商談だし。この界隈の王国でな、ジョホールという。会社と特別な関係にあるそうで、1万ギルダーという破格の価格で販売した。」

「へえ、そりゃずいぶんとお得な買い物で。」

「軍艦のような特別な商品は相手によって値段が違うものなのだよ。」

「なるほどね。で、どうだい、旦那、勝負に勝ったことだし、これからきれいどころが揃っている店にくりだそうぜ!」

挿絵(By みてみん)


これから少しオランダと仲良しなのかな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ