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隣の芝生は青いのか?

作者: 麻栗鼠


わたしは遠藤みき、日本有数のお茶の産地のお茶屋の娘として なに不自由なく育てられてきた。


人は皆わたしの事を美人だと言うけれど自分ではよくわからない。

父親似とも言われるその父は、確かに目鼻立ちの整った顔をしていて、歳を取った今でも

イケオジだと思う。そしてとても優しい人で

わたしをこよなく愛してくれている。

中高とバレー部に所属していたわたしは、バレーに夢中で恋などする暇はなかった。けれど、大学に入ってからは、運動部には入らず大学生活を楽しんでいた。

そして何回目かの合コンで出会った人が彼だったの。バレーボールアスリートで有名なあの人に似てる、ちょっととぼけた顔をした彼は、名前も似てたんだ。

ユージっていう名前、でもサッカー部なんだけどね。

サッカーも凄く上手いから、Jリーグを目指したら?なんて言われてたみたいで、めちゃめちゃモテたんだよね。

美人のユリって彼女がいたらしいんだけど、

彼のお母さんが彼女のことが気に入らないとかで別れたらしいって噂があったけど、本当かどうかはわからない。

過去のことは知りたくないから、聞かないし。

でも、合コンをした時にはお互いフリーだったから意気投合して付き合うことになれたのは、ラッキーだった。

そして彼はJ リーグを目指すことなく公務員の道を選んだ。彼の父親と同じ道を。

卒業したら結婚しようねって決めていたのだけど、わたしの両親がとても喜んだのは、その頃大手有名企業が沢山倒産していた時期だったから、公務員人気が高かったからなんだと思う。

わたしも就職していたから婚前旅行にフランスへ行ったりして誰もが羨むような生活をしていたの。

それから、一年後に素敵な結婚式場で結婚式を挙げ、ハワイへ新婚旅行へ行った。

美男美女カップルともてはやされて、順風満帆そのものだった。

みんなが私達のことを羨んだ。



その後暫くして妊娠しているのがわかって家を建てることに決めた。

彼は建築学科を専攻していたから、自分で設計をして資材も全て拘った家を建てることが出来たのも、わたしの父が100坪のお茶畑を

譲ってくれたからなんだけどね。

彼の勤務先は、わたしの実家に近かったので彼の両親も長男なのに快く合意してくれた。

赤ちゃんが産まれる前には新居が完成する事になっていた。

何もかもが上手くいって幸せだった。


そして出産予定の2ヶ月前には、引っ越し完了し、あとは赤ちゃんの誕生を待つばかり。

何もかもが上手くいき幸せだった。


予定日の一週間前の定期検診では、未だ産まれる気配がないので、また3日後に来るように言われた。


お腹の子の性別は、妊娠5ヶ月の時に教えてもらっていた。

男の子なんだって。

名前も決めてあるんだ、シュートだよ

だってユージは、サッカー好きだからね

素敵でしょ?


そして、3日後の検診へ行った。


何故か先生は、何も云わずお腹のエコーを見続けて

その後何か言われたような気がした。


何を言われたのか意味がわからない……


心音が聞こえない?って何?

どうして?

わたしの赤ちゃんに何かあったの?

ねぇ、先生どうすればいいの?

何とかしてください!

お願いだから!


分けがわからなくなって

泣き叫ぶわたしは、ユージに抱え

られて病室に連れて行かれた。


あと数日で産まれる予定だったのに、心音停止してるってどういう事なのか、わからない。赤ちゃんがお腹の中で死んじゃってるってこと?


そんなわけない、ある筈がない。

嫌だ、嫌だ、わたしどうしたらいいの?

泣きわめくわたしは看護師に注射され、意識が遠退いた。



目が覚めたわたしの横には、ユースケが真っ赤な眼をして付き添ってくれていた。

そして二日後には分娩するのだと告げられた。

赤ちゃん亡くなってるのに分娩って何?

何が何だかわからないよぉ。


でも、わたし信じることに決めたんだ!

赤ちゃんは生きてるかもしれない。

産まれるまで亡くなったなんて認めない。

絶対、絶対生きてるんだから!!


お願い!お願い!神様お願いだから

わたしの赤ちゃんを助けてください!



そして二日後、出産促進剤を打たれ、分娩した。

とっても綺麗な顔だね、シュートくん!

可愛いネ!大好きだよ♡



あれっ、どうしたの?

どうして泣かないの?


ねっ、お願いだから、泣いてよー

ねぇ、

目を開けて!!





何故?

どうしてわたしがこんな目に合わなきゃならないの!!

わたしが何か悪いことをしたの?


世の中には、折角産まれた子供を虐待する親もいるのに

納得出来ないよ!!

わたしなら、絶対そんなことはしない!

なのに、どーしてこんなことに……



順風満帆だった私の人生は闇に包まれた。


人はわたしのことを


天使ママと呼んだ


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