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46 解呪への道

 翌日。

 私はレオンとともに占い師の元を訪れることにした。昨日の事件で、間一髪のところで私を救ってくれたお守りへの感謝を伝えるためだ。


 店に入ると、占い師は私たちを見るなり、微笑みながら迎え入れてくれる。


「ちょうどよかった。お手紙を出そうとしていたところでした」


 その様子に、何か進展があったのだろうかと胸がざわつく。

 いつものソファに腰を落ち着けると、まずお守りが壊れてしまったことを伝える。占い師は私の話を聞きながら眉をひそめ、事件の詳細に顔を曇らせた。


「ずいぶんとひどい目に遭われましたね……。ですが、お守りが役に立ったようで何よりです。それは災厄から身を守るために作られたものですから」


 なるほど。でも正直、あの威力のすごさには驚いた。あれだけのお守りを作れる目の前の占い師は何者なのだろうかと思ってしまう。

 とはいえ、今はヨハンのことで友好関係を続けておかないといけない。今は何も聞かないのが身のためだろう。


 そんなことを考えていると、レオンが次の話に入ろうと、占い師に問いかけた。


「それで?手紙を出そうとしていたということは、なにか進展があったんじゃないのか?」


 レオンの質問に、占い師はうなずく。


「えぇ。ヨハン様の件で、ようやく解呪の方法がわかりました」


 その瞬間、私たちは顔を見合わせる。


「本当ですか!? それなら、すぐにでも――」


  思わず声を上げる私を制するように、占い師が静かに言葉を重ねる。


「――ですが、解呪にはある代償が伴います」


 代償――

 その一言に胸がざわつき、不安が広がる。


「代償とは?」

「解呪によって、ヨハン様の人格や感情は元に戻ります。ただし、術によって歪められた期間の記憶が消失してしまうのです」


 記憶の消失……。その重大さに、言葉を失う。

 しかし、心のどこかで、むしろそのほうが彼にとって救いなのではないかと思う自分がいた。


「……むしろ、そのほうがいいんじゃないか?」

 

 レオンも同じことを考えていたようだ。彼の言葉に私も思わず深く頷いた。


「私もそう思います。特に私を襲った時の記憶なんて……ヨハンに覚えていてほしくないですから。解呪の後は、事故で記憶喪失になったとか偽装するのは無理ですか?」


 占い師は少し困ったような顔を浮かべた。


「私では偽装はさすがに……」


 その言葉が終わる前に、レオンがすかさず口を挟む。


「それに関しては俺に任せてくれ」


 レオンに考えがあるようで、力強く言った。


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