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「そうか。スバルちゃんは、オレに遠慮したんだね。失敗。高校進学の話しをしたときに、もっとしっかり聞くべきだった。スバルちゃんはオレに遠慮とかしなくていいんだよ。もっと頼ってもらいたい。ただの彼氏じゃない、俺は君の番なんだ。君の目標は俺の目標。これからは遠慮とかなしね。」
スバルは申し訳なさそうにうつむいている。
「とにかく旅行から帰ったら、奨学金とか全部返済しちゃうから。お金の話はこれでおしまい!どこで暮らしたいかの話しに戻そう。」
スバルの意見は王都は嫌だ、南の故郷にはとても帰れないとのこと。ユキヤの意見は、スバルがいればどこでもいい、となった。
「これから西地域を見て、今後もいろんなところを旅行して、ここだって場所を探しましょう。スバルちゃんの看護実習が終わるまで、まだ何年かあるし。場所が決まったら試しに暮らしてみて、問題なければ家を購入って感じかな、と思っている。」
二人であれこれと話す。旅行中、あられちゃんの世話はマリが引き受けてくれた。
「マリさんにもお土産買って帰らないと。ねぇ、マリさんってなんか好きな物あるの?」
スバルがあぁ、と言ってからマリさんの意外な好物を教えてくれる。
「実はマリさん、お酒が好きなんです。」
「マジで!?いける口だったのか!意外だ。すごく意外だ。」
「しかも結構たくさん飲んでも酔わない、ざるって呼ばれているんですよ。好きなお酒はイモ焼酎だって。」
こりゃまた、結構な酒好きだな。
「わかった、お土産は酒とつまみにしよう。」
そんなこんなで3時間ちょっと。終点の駅についた。西地域のほんの入り口。トリトだ。
「この続きの線路が作られてるね。何年かしたら西地域の中心地まで汽車が走るみたいだよ。」
ユキヤの話しにサクラが質問。
「ねぇ、なんで線路って西行きが真っ先に作られたの?」
そうか、スバルは知らないのか、とユキヤは簡単に説明する。
「西地域は地形が平らで、観光業も盛んなんだよ。だからまぁ、言い方悪いけどお試しに作るには最適だよね。今の時期なら海のレジャーかな。海水浴とか、観光船もあるみたい。」
「海かぁ、見たいなぁ。でも牧場も行きたいし、あ、浴衣のお店!これ快適です。違う柄で、もう一枚欲しいなー」
スバルが上目遣いでユキヤを見た。
「浴衣を買うのは最後にしましょう。荷物が増える。最初に海に行ってみませんか?俺も内陸産まれ、内陸育ちの内陸住まいだから海って間近で見たことないかも。けど、やっぱり最初は腹ごしらえしません?」
駅近くの商店街。軽食が食べられるお店に入る。食事をしてから海をめざす。風に乗り、いつもの移動手段だ。海水浴や遊覧船観光で海沿いには土産物屋がたくさん軒を連ねていた。貝殻のアクセサリーショップをみつけ、スバルまっしぐら。貝殻で装飾されたバッグが売っている。
「あ、カワイイ!これっていくらするのかな!?」
値段をみてスバルがバッグを商品棚に戻した。




