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天龍の話によれば、7人の子供の鱗には小さいがそれぞれに特徴があったらしい。知らなかった。
「天龍は全部の特徴を覚えているんだね。スバルちゃんの鱗も、誰のかわかるの?」
スバルが天龍に自分の鱗を見せた。手足、お腹や背中にもある。さすがに服を脱ぐときはユキヤは後ろを向いていた。何となくね。
「5枚とも3番目の子供だ。けどその背中の鱗は最初の子供の鱗だ。ユキヤの鱗と同じ特徴がある。」
そうなの!?ユキヤもスバルも驚く。
「もしかして、この鱗がひきあって僕達が運命の人だったとか?」
ユキヤが聞くと天龍が笑いながら否定した。
「それはない。子供は7人しかいないんだぞ、魔導士は今…何人だ?20人どころじゃないだろ?鱗同士がひきあっていたら運命が何人も発生しちまう。それに魔導士同士じゃない番が何組もいるはずだ。」
あ、そうか。確かに…ユキヤ、何となく納得。
「風の力を示した子供は最初の子供だけだった。だからユキヤとサクラは同じ鱗だ。ユキヤの考えだとサクラもお前の運命の人だなぁ。ただ、火炎のスバルに1枚だけ風が混ざっていたのは驚いた。」
「サクラちゃんも同じ鱗!?いやいや、違うから、サクラちゃんは好きだよ、姉さんみたいな感じで。でもちがうから!!」
騒ぐユキヤを完全無視して天龍が話しを続ける。
「火炎に風が混ざったから爆発を起こせるんだな。俺と地龍のいいとこどりだぜ、クフフ」
ユキヤとスバルの頭に爆発炎上の言葉が浮かんだ。スバルはチーンとした顔をしている。
「おっと、お前らそろそろ帰れ。時間がやべぇぞ。じゃあな。」
二人同時に目を覚ました。テントの中は真っ暗だ。ユキヤは慌てて時計を見る。
「はぁ!?夜中の12時だ!!ひぇ~!スバルちゃん明日学校だよね!?」
テントも荷物もそのまま。ユキヤはスバルをかかえて中央神殿に向かった。神殿の庭に、魔導士長がたっていた。一瞬ウゲッと思ったが、何とはなくスバルに部屋に帰って休むよう指示を出す。
「天龍には会えたかい。新しい情報があったら、また教えて下さい。お疲れさま。」
魔導士長は神殿へと帰っていった。
フウマ魔導士長は、王城にある特別資料室の許可が取れたとのことで城に通っている。
スバルが夏休みを迎えた。
「西の旅行はいつ行きましょうか。スバルちゃんの補修がない日を教えてください。」
学費を払ってもらっているからと、律儀に通知表をユキヤに提出したスバル。成績は体育以外平均前後。
「あれだけドタバタしてこの成績は素晴らしい!頑張ったね、スバルちゃん!ん?…あ、体育。へぇぇ…」
ユキヤがニマニマしながら体育の欄を読んでいる。スバルはいたたまれない表情だ。
「私、運動がどうにも…今までも2以上取ったことなくって。その、すみません。」
ユキヤは大笑い。学園のマラソン大会もビリだったらしい。秋には学園祭の一環として運動会もある。
「父は長距離走の部員で、母も元気な時は足が早くて、リレーとか出ていたって。結構スポーツ夫婦だったの。二人ともスポーツ万能だったって!なんで私だけこうなんでしょう!?」
スポーツ…この痩せた体では。走る以前に体力自体がなさそうだ。
「誰にも得手不得手があるよ。得意を伸ばしていこう。看護師みんながスポーツ万能ではないさ。」




