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ユキヤに休みを出し、フウマは調べ事に専念していた。ユキヤが言った、ヤマトの前の討伐状況を知りたかったのだ。この中央神殿にある資料は読みつくした。フウマが知らないことはない。もしも当時の書物があるとしたら…フウマは望みをかけて王城へと出向いた。王城にある特別資料室。限られた者、そして国王陛下から直接許可を得た者しか入れない。
「さて、許可が取れるかどうか。国の最重要事項が山とある場所だからなぁ。」
フウマが国王に事情を話し、頼み込むと意外過ぎるほどあっさりと許可が出た。
「は、よろ、よろしいのですか?本当に?」
思わずフウマが確認すると国王が答えた。
「君とは長い付き合いだからね。それに、16年前のあの少年の疑問なんだろ?調べてやればいいさ。あの子には大きすぎる借りがある。国民、騎士たちを代表して、少しでも借りを返したい。討伐に関しての協力は惜しまない、私と君との約束だ。ただし、後ろ暗いことが記載された書もある。それらは見なかったことにしてくれよ。まぁ、ぶっちゃけ、先代以前のやったことなど私には関係ない。」
この国王は、先代国王に比べると国民たちの声をよく聴き、必要と思えば視察にも行く。自分にとって都合の悪いことなどほぼ無いのだろう。フウマは王に礼を述べ、カギを受け取った。
一人で資料室に入る。そのずっと奥。本棚で隠されるようにして特別資料室の扉があった。カギを開ける。2重扉だ。最初の扉をしめてカギをかけるともう一枚のドアにカギ穴が現れた。魔法がかけられた扉のようだ。フウマがカギを開け扉を開くと、古い資料特有のにおいとともに大量の資料が見えた。綺麗に並べられた資料は古くなりすぎて朽ちかけている物もある。
「これは…少し期待が持てるかもしれないな。どこから手をつけるかが問題かな」
適当な資料を開いてみる。先々代の国王の時代か、新しすぎる書だ。これよりずっと古いものをと探す。かなり古い資料を手に取った。万が一にも傷つけるわけにはいかない。机に置き、慎重に開く。え?とフウマは思わず声をだした。その資料はピタリ、魔導士長ヤマトの時代のものだった。焦らず最初から読んでみる。驚きの事実が書かれていた。
「これは!この話が本当なら…魔導士長ヤマトが愚者などとんでもないデタラメ!彼は、彼は逃げ出した先代魔導士長の代わりに急遽魔導士長に立候補、魔獣を封じるために奔走しただと?こんな勇敢な魔導士がなぜ、愚者に仕立て上げられたのだ!?」
フウマは怒りを通り越し、呆然となった。大型の魔獣に結界を壊され、たくさんの魔獣が外に出てきた。ここまでは知っていた。しかし、この時の魔導士長はヤマトではない。魔導士長ミキト・火炎術師2のミキトとは?初めて聞く名前。2つ紋の火炎使いなら、実力はイオリと同程度と考えられる。長になるには十分な力だ。ヤマト氏をはじめ他の仲間とともに立ち向かっていれば、結果は変わっていたのではないか?フウマは資料を読み返した。




