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翌日の早朝、ユキヤは天龍に会うため魔の森近くのいつもの場所に出かけた。座って少しするといつも通り天龍が現れた。
「おぉ息子。来たか。さて、何の話をしようかな?そういえばフウマとの話は進んでいるのか?」
ユキヤはフウマが記録改変をしていること、自分も手伝っていることを話した。そして魔獣の魔力遺伝についてわからなくてここに来たと説明。天龍があぁなるほど、と答えてくれる。
「魔導士を食って魔力を手に入れた後、一番最初に産まれた子供が魔力を引き継ぐ。しかしこれも個体差があってな。子が産まれました、じゃあ魔力を半分ずつねってわけじゃない。親に多く残ることもあるし子供にほとんどの魔力がわたることもある。そして魔獣はすぐに成長して子を産めるようになる。その繰り返しだ。魔力を強く受け継いだ子孫は、当然強くなり、他の魔獣を押しのけてエサを食い続ける。大型になりやすいわなぁ。」
なるほど、そういう仕組みか。あれ?まてよ。
「ねぇ、それってメスの場合だよね?食べたのがオスだったら?オスは産めないじゃん。どうなるの?」
「オスの場合はそいつが一生持ち続けるから、子孫に魔力は引き継がれない。ただ、魔獣って雄雌の判断がつかないんだよ。ぱっと見一緒だろ?全部の個体がマタグラさらしてくれてりゃわかるけど。」
風の精霊ともあろうお方がなんちゅー下品な!!驚きでユキヤは口をパクパクさせてしまった。
「魔獣ってのはオスの割合が少ないんだ。メスが7割、オス3割かな?もっと少ないかもしれない。1匹のオスが複数のメスとウハウハして、そんでがばがば増える。ったくよう、ヤルことだけはしっかりだから減りゃしねぇよな。」
もうユキヤは耐え切れない。天龍様!おやめください!!
「息子、お前はきちんと一人に決めろよ!ヨソで愛人作るなんざ、魔獣と変わらねぇ。わかったか!?」
「お前に言われなくても俺はスバル以外は眼中にねぇんだよ!!」
自分の声で目が覚めた。夕方を通り越して夜じゃないか!時間は…21時。なんか疲れたな。帰って風呂入って寝よう。あ、メシ食わなきゃ。
ユキヤのくたびれ果てた夏の1日だった。帰りながらユキヤは考えた。オスの魔獣は子供に魔力が遺伝しない。7歳の時に見たドラゴンはオスだった。魔獣は寿命が永く、100歳をこえる個体なんてざらにいるらしい。最長でどの位の年月を生きるのか。もし、200年以上生きることが可能だとしたら、あのドラゴンがヒロミ魔導士長を食ったクロワシだったとしたら?…いや、あの資料には鳥型の魔獣としか書かれてなかった。クロワシだったかも定かではない。しかし可能性がゼロではない以上はフウマに相談してみようと思った。




