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「結界を強化して!風を呼びます!!」
回復師も結界に協力する。ユキヤが集中すると景色がゆらりと揺れた。魔導士達がいる結界を中心に強い竜巻が巻き起こる。小型魔獣は風圧に耐え切れず体が引きちぎられる。
結界越しに見た魔導士達、目は回るし血だらけの臓物は飛ぶし、もう吐きそうだ!おえぇぇ!すでに負けた者もいる。ユキヤの体力切れがおとずれ、風が収まる。素早く雷使いが3頭のベアを打った。
疲労でユキヤが座り込む。汗だくで息を切らしている。サオリがタオルとポーションを渡してくれた。
「あり、ありがとう、はぁはぁ、あれ?長は??」
魔導士長フウマ。魔導士みんなのあこがれ、信頼のおける人。後ろで豪快に吐いていたのはその人だった。ケンヤが必死に問う。
「長、酔ったんですよね?風に酔っただけだよね!?」
ナオが冷静にタオルと水筒を渡して介抱する。病院勤めが長いだけあり手際がよくみんなが助かる。魔導士長は言葉をこぼした。
「最悪だ!俺はしばらく肉は食えん!!」
出口に向かい歩く。ユキヤはポーションだけでは回復できずケンヤと若手のカズが肩を貸している。
「歩きにくーい、ひざが笑うよぉ。」
ユキヤの言葉を聞き、カズがすかさず反応。
「どっちの笑いですか?アハハハかイヒヒヒ?」
「どアホゥ!まだ結界内だぞ!ふざけたら食われるぞ!!」
ケンヤに怒られる新人。ユキヤが笑いながらケタケタケタって感じかな、と答えてやるとカズは嬉しそうに笑った。結界の外ではミサキとアユミが馬車を準備して待っていた。ユキヤの姿を見て二人が驚く。
「ユキヤ!何があった!?怪我は?」
ミサキがすぐに反応。ユキヤが笑いながら答える。
「力を使いすぎて疲れただけだよ。安心して、父さん。」
ミサキの表情がフッと柔らかくなった。
馬車に乗り、騎士学生のテントに到着した。今夜の野外ご飯はバーベキューと塩むすび。よって、魔導士の大半が塩むすびのみを爆食するという珍事が起きた。アユミが大きなカルビの串を咥えて話しかける。
「なになに?みんなダイエットでもしてるの?ね~ぇみんな、肉食べちゃうよ!ホルモンも焼けたよ~」
おえぇぇぇぇ!!そんなもん食えるか!!人の気も知らないで、肉食って死んじまえ!魔導士一同からの暴言のオンパレード。
「なによぉ。なんなの?なんかあったの?ねぇナオ~!?」
風って怖いんですよね~。そう言ってナオはホルモンを食べた。ミサキが学生に指摘する。
「これちょっと焼きすぎじゃない?火が強いのかも。ホルモンが硬いよ?」
学生たちがあわてて炭の火加減を直し始めた。




