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翌朝、魔導士を乗せて馬車が出発した。馬車の中は正直うるさい。ミサキ、アユミ、ナオと同乗だ。
「ねぇねぇ!お菓子持ってきたからあげる、はい。ナオ!回復師なんだからユキちゃんが怪我したら即回復してよ!私は入れないんだから!」
とにかくしゃべるわ食べるわ。夫のナオをみる。涼しい顔でハイハイと流している。
「あの、ナオさん。アユミさんっていつもこんな感じなんですか?家でも?付き合うコツって?」
ユキヤは小声でナオに聴いてみた。8割聞き流して、2割返事することがコツ、あとは慣れとさらりとナオが教えてくれた。さすがはアユミの運命だ。扱い方に慣れている。ちなみに子供達にはとても良いお母さんらしい。自分が辛い想いをしたからだろうか?
ミサキは渡されたキャラメルを手に、どうするかを考えている。ミサキはキャラメルが苦手。静かにポーチに入れた。
馬車はグングン進み、いつものテントに到着した。夕食を済ませて今夜はすぐに横になる。
「魔獣の成長に関して、説明できたみたいだな。今回も気を付けて入れよ。」
天龍に会うのが目的だった。ユキヤは会議でシュリが話したことを質問してみた。
「あぁ、ほぼ当たりじゃないか?成長した魔獣は賢い。デカいクロワシの死体を何日も森に放置してただろ?だから警戒をしていたんだ。5年前?あのクマは偶然風に告げ口されて、お前達に見つかっただけ。その証拠に完全体にはなっていなかった。」
やっぱりそうか。育てば育つだけ強く賢くなり、人間の動きを観察する。
「じゃあ、あの進化したモンクも森の奥から偶然でてきただけ?」
天龍の見解をきいてみた。
「サルの宴会な。実は魔獣の中でサルが一番賢い。道具を使うほどの知能がある。弱いけどな。」
「道具って武器を使うってこと!?この前は何も使ってなかったけど?本当に道具を使えるの?」
ユキヤはさすがに驚いたが、それでも天龍に聞いてみる。
「宴会が忙しくて、戦う予定じゃなかったんだろうよ。モンクの力では森の奥には進めない。だから群れで生活して、ある程度まで成長したら、生活しやすい所に引っ越す。あの崖にきたのはエリアの取り合いをしなくていいことと、程よく人間が来るからじゃねぇかな。」
確かにウルフやベアにはあの崖は暮らしにくいだろう。
「サルは成長してもあの程度だ。15年前、クロワシが森の出口で餌を見つけた。まぁ今回は、魔導士が圧勝だったからな。用心深く餌の動きを観察しながら小物を食っていた。大型は森の奥を陣取っているから出てこないが、中型程度なら餌を探しに森をうろつく。気を付けろ、魔導士を食らうと魔獣は…」




