77
会議では魔導士長から今回の結果が連絡された。
「よって、怪我人3名をだし、長く討伐に協力してくれたエリ、リンが今後の討伐辞退を申し出た。この臨時討伐では増えた魔獣を再度討伐し魔獣数を減らしたい。」
魔獣の成長、250年前の魔導士長ヤマトについても語られた。そこで疑問をもつ魔導士が現れた。シュリだ。
「250年前の騒動の真相は理解しました。餌を求め、森の奥から強い魔獣が続けて出てきたことも納得できます。でも変じゃないですか?今回、大型が森から出てきたのは15年近く前。中型に遭遇してからもすでに5年です。大型を真似して出てくるのなら、もっと早い時期に出てくるのが自然な考え方では…」
みんなが確かに、とシュリの意見に納得する。魔導士長が答えた。
「そう、私もシュリと同じことを思った。大型討伐はもう一昔前になる。だがな、ユキヤの話しを聞いてこうも考えた。成長し、賢くなった魔獣たちはこちらの様子を見ていたのではないか、と。」
魔導士長が、ここからは自分の予測だと念を押して話し始める。
「あの時のドラゴンは魔導士と騎士が協力して倒した。周りの小型魔獣もすべて殺したはずだ。森の奥に住む魔獣は、ドラゴンの死骸を見て、ある程度は人間の強さを学んだはず。成長した魔獣は知能も上がるらしいし、人間と出会わないように警戒をしていたのかもしれない。そして、人間というご馳走が失態するのを待っていたとしたらどうかな?」
完璧だと思っていた人間が、中型のベアに苦戦をしたり、遭難して動けなくなった。
「人間の弱さを見つけ出し、前回の遭難場所を集団でマークしていた可能性は十分考えられる。そして今回、同じ場所に降り立った私たちを攻撃。魔獣は倒せたが、我々人間も重傷を負った。これは魔獣に弱みを見せた事になる。」
ユキヤも言葉をかける。
「あの場所を人間が苦手な所だと知って待っていたのか、そこははっきりとはわからないです。でも確実に、魔獣たちは行動範囲が大胆になっています。思い出して下さい。最初に見つけたベアは、普通なら遭遇しないで済むくらい森の深い所でした。あのベアは僕が風の情報で見つけ出した。」
「そう、そして俺が雷で森の手前まで呼び寄せた。覚えている。苦戦したからな。」
ケンヤがユキヤに続いて話した。あの時はまだ、人間を警戒し、無理に鉢合わせしないよう行動していたのかもしれない。
「今回のモンクは、明らかに我々が通る場所を住処にしていた。我々が最終的にはモンクの群れを撃破したから、その情報を聞き、再び警戒を開始するかもしれん。反対にこのくらいの群れで行けば人間は苦戦する、と学習した可能性もある。今回の討伐は賭けだ。向こうが警戒を強めていれば問題なく討伐が進むだろう。逆なら苦戦する。この前提を加味して、もう一度討伐参加の可否を決めてくれ。もちろん、この後参加を取り消しても誰も責めたりしない。」
魔導士長の話が終わりお開きとなった。




