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風に乗り、スバルを連れて神殿まで帰ってきた。そのままスバルの部屋に行く。
「ユキヤ君…どこから見てたの?」
「学校の屋上。オレ、視力は2・0だから。スバルちゃんが出てきたのすぐわかったよ」
スバルはクスっと笑ってユキヤをみる。
「違うよ、でも…そうか、じゃあ私が意地悪されてるのも見ちゃったのかぁ。私、嫌われてるの。嫌がらせされたり悪口言われたり。先生にも相談したけど…まぁとにかくあんな感じかな」
静かにスバルの話しを聞いていたユキヤが話し出す。
「スバルちゃんに悪い所なんてないのに、何を悪口にするんだろう?謎。」
スバル、思わず爆笑。ユキヤにはスバルの欠点すら可愛く見えているらしい。
「生徒がガキで、先生がクソって、そんな学校にわざわざ行く意味って何?資格ってさ、あの高校でしかとれないの?」
ユキヤの素朴な疑問。スバルが今の学校を選んだ理由を話す。
「資格を取るだけなら他の学校でも取れるの。高卒資格があれば専門学校に入れるけど…お金がかかるかな。今の高校なら5年間でとれちゃうし、学費もそんなに高くなくって。」
スバルの両親は漁師をして生計を立てている。兄弟もいて、スバルの下に弟が2人。母親は出産後に体調を崩し、現在は投薬治療を受けながら漁師の手伝いをしているらしい。そのため、経済的な余裕はなく、スバルの学費は奨学金を借りながら払っている。今スバルは2年生なので、あの学校を卒業するまでまだ3年もある。
「アホくせー!!あと3年もあのガキやクソと一緒に生活するの!?やめて!スバルちゃんが穢れる!!」
そうは言われてもスバルにも譲れないことがある。
「でも!でも私はどうしても看護師さんになりたい!今はつらくても、頑張って医療が行き届いてないところで人の役に立ちたいよ!」
「じゃあ別の学校に編入だな。それから看護大学に進学。資格をとって医療現場で働いて、経験を積んでから離島や無医村に引っ越して働く。俺は将来の夢とか特になくて、中卒で魔導士になった。夢に向かって頑張るスバルちゃんを応援したい、俺が君のスポンサーになるよ。俺の大切なスバルちゃんをあんな学校には任せられない!もしスバルちゃんに何かあったら俺、あの学校破壊しちゃいそうだしね。」
スバルは遠慮した。ユキヤが命をかけて稼いだお金を自分の学費に使えない。
「わかった。じゃあとりあえず貸すことにする。編入に関しては俺はわからないから自分で調べてほしい。神殿の事務さんに頼もう。スバルちゃんが悪いことをしたんじゃないし、堂々と話せばいいよ。」
ユキヤの押しは強かった。マリに話すと、神殿の事務方が学校と話し合いをしてくれた。手続きに関してユキヤはド素人。事務員さんに任せた。
スバルは成績も素行も問題ない。急ではあるが単位のこともあるため5月中に編入試験と面接を受け、6月から新しい学校に行くことが決定した。今度の学校は私立、制服や持ち物など一式新しく購入になる。事務方と一緒にスバルは急いで持ち物を準備することになった。




