73
毎回驚かされるのはこのラクダ服。体当たりした肩は何ともない。すごい効果があるのは確かだ。
「ユキヤ、ビックリしたんだぞ。ベテランが3人も負傷でお前が体張って助けたと聞いた時、生きた心地がしなかったよ。でも、そうだな。お前は魔力が強いし、いずれは討伐に参加すると思っていた。よくがんばったな。お手柄だよ。」
ミサキに褒められると、やっぱり嬉しい。これから討伐が厳しくなる。内緒にしておこう。この二人には、どうか幸せに生きてほしい。俺の…両親だから。
「はい塗れたわよ、やだ本当にぷふふ、顔だけ見たらただのケンカ小僧じゃん」
おでこも頬も鼻の頭、あごまで擦り傷。俺の顔は重症だ。いっそのこと直してもらいたい。
「ミサキさん、笑ってないで治してよぅ!これ、ミサキさんならすぐ治せるでしょーよ!」
「断る。そのくらい自力で治せ。後はまぁ、鏡見ながら受け身の修行でもしなさい。愛の鞭だよ」
昔は小さなすり傷でも治してくれたのになぁ。サクラがパパっと作ってくれた夕飯を食べ、にぎやかな夜はふけていった。ユキヤは魔獣討伐のこれからを最後まで二人に話さなかった。リンとエリは参加メンバーから外されるだろう。それでも、自分の大切な人を守れるのなら。オレは、森に行く。
翌日の午前中にミサキとサクラは帰っていった。途中サクラの実家に寄るから、東神殿に付くのは夜だろう。静かになった部屋で少しのんびりして、時間を見計らいスバルに会いに行く。行先はいつもの喫茶店。扉を開くとマスターがおっと声をあげた。
「これはこれは魔導士さん、えらい男前になられて。大丈夫ですか?」
いつものコーヒーを注文する。客の少ない時間帯だから、安心かな。
「討伐でその、受け身に失敗して顔から地面に突っ込んだんです。あ、超軽症です。」
マスターが声をあげて笑った。
「カワイイ彼女は知ってるんですか?その…ふふ、その顔を」
笑いながら質問とか、失礼な。帰ってきてすぐに会ったと説明する。やがていつもの時間。外で学生の声がし始めた。スバルが喫茶店の扉をあける。今日は急ぎのため、スバルについて中央神殿に向かった。スバルの部屋。みゃ~う、と鳴きながらあられが走ってくる。
「あられ、ただいま。ほったらかしてごめんなー、ってかスバルちゃんに甘えてたから平気っぽいな」
あられを遊ばせながら二人で討伐後の話しをした。帰りが遅れた理由を話すとスバルが不思議な顔をする。
「天龍に会う時って、時間がおかしなことになっちゃうんですね。すぐ時間がたつ感じ?」
「そうなんだよね。まさか二日も寝ていたなんて…」
天龍と話していた時間は、長く見積もっても3~4時間ほど。でも目覚めたら2日もたっていた。
「不思議でしょ?これまでにも何となく時間が早く立つなって感じてたけど、今回はさすがに…ねぇ」
そもそも精霊に時間という概念ってあるのだろうか?詳しいことはイマイチよくわからない。




