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ケンヤが優しい顔でユキヤに話しかける。
「ユキヤ、ありがとな。エリを助けてくれて。あいつとは付き合い長くてさ。命がありゃ何とかなる!」
エリは左2本、右1本の指が食いちぎられていた。顔もひっかかれている。感染症が心配だが、命に別状はないそうだ。リンも、頭部の傷は緊急手術で縫合された。首は骨に異常はないとのこと。一安心だ。
「いや、結局倒したのはケンヤさんだし。僕はこの通り、体が大きいので体当たりは自信があります」
気が付いたら体当たりしていたユキヤ。お礼なんて言われるとくすぐったい。軽く会話した後、ユキヤは疲れていたこともあり眠ってしまった。
「お疲れさん。苦戦したみたいだな。助けてやれないのが歯がゆいぜ。あの場所で宴会していたのはサルだったんだな。」
「天龍!ありがとう。注意してくれなかったらもっと大変だったと思う。」
ユキヤは天龍に感謝する。そのまま、気になっていたことをきいてみた。
「ねぇ、結局あの魔獣はモンクが成長したもので間違いないの?近年変じゃない?そもそも中型や大型の魔獣ってたまにしか遭遇しないんでしょ?多くない?」
「お前たち人間の言う大型ってのはあのドラゴンの事だろ?あいつはただのクロワシだよ。ドラゴンなんて存在しねぇ。中型はパンパンに肥えたクマだしな。まぁクマはそもそも図体がデカいし強いから中型なんて呼ばれてるけどよ。みんな普通の魔獣だ。」
ユキヤがビビりながら質問する。
「いやまって、ちょっと待ってください。てかさ、普通の魔獣がなんでああなるの!?強さも半端ないし!そもそも原型が無くなってる、モンクも原形がなくて分からなかったし!」
天龍がまぁまぁとなだめる。
「いいか、風は嘘をつかない。7歳のお前に風が教えてくれただろ?森の奥からでてきたって。そのままさ。ドラゴンの研究でも証明されたんだろ?一部の魔導師はまだ信じてなさそうだけど…特別な個体が生まれるわけじゃない。餌や仲間を求めて森の奥深くに入った魔獣が、偶然、餌の宝庫を見つけちゃった感じかな。森の奥深くに何があるかはお前たちは知らないだろ?お前たちが偵察している場所は俺にいわせりゃ森の玄関口。その奥に進むのは魔獣ですら簡単じゃない。成長しきった魔獣が暮らしているからな。」
天龍のいう事が本当ならば、森の奥には大型がわんさかいる、という事になる。
「だが奴らは表にほとんど出てこない。森の奥の生活に順応しているからだ。ごくまれに、獲物や番を追いかけてお前たちの探索区域に出てくるやつがいる。あのドラゴンだ。1匹が外に出て、偶然、人間という餌を見つけた。はい!問題です。外に出て餌があったら他の魔獣はどうするでしょうか!?」
ユキヤは思わず固まる。どうにもこの天龍、徐々に話し方が…何?ついにクイズかよ。
「まぁ、俺も~って出てきちゃうかなぁ」
ユキヤが答えると明るい声で天龍がピンポンピンポーン!
「あのさ天龍、マジで死活問題で!!ピンポンじゃないから!!!」
さすがにユキヤがブチ切れた。




