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竜の子  作者: 前田ミク
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緊張してか枕が違うせいか、ミサキは一睡もできなかった。寝返りをゴロゴロとうち、気が付いたら朝。29年生きてきて、魔獣討伐にも参加したことのない自分が、よもや国王参加の会議に呼ばれるなんて考えたこともなかった。

魔の森から離れているこの土地は、国王制をとっている。財政や政策に関しては国王を中心に貴族が行う。そのため神殿は財政や政治的なことには一切ノータッチ。今回の会議では、国が抱える騎士団員を借りうけることと、大掛かりになるであろう魔獣退治の増加予算を何とかしてぶんどらなくてはならない。

「どうなるんだろう、在籍魔導士の総動員出席とかもありえるのかなぁ…」

独り言をつぶやきながら、ミサキは会議に参加するためにローブを羽織った。


確認が取れてない今、事を大事にするのは時期尚早だろう。緊急会議の参加者は人数が絞られて、静かに会議室へと通された。参加を許された魔導士は魔導士長フウマと魔獣退治に参加経験がある二つ紋の雷使いエリ、そしてミサキとサクラの4人。あとは国王サイドの人間。もちろん騎士団員に関する話しがあるためサクラの父親も参加だ。挨拶もそこそこに、国王が問いかける。

「早速だが魔導士長、大型が現れたのは確かなのか?ちなみに、この城にある文献によれば前回大型が現れたのは250年前と書かれていたが。間違いないか?」

フウマは手元の資料を素早く確認しながら答える。

「おっしゃる通りです。約250年前に大型の魔獣が現れ、討伐の魔導士や騎士団員だけにとどまらず、一般の民にも犠牲がでました。被害は甚大で、結界の修復にも苦戦したため、数年間にわたって魔獣の襲撃を受け続けたと書かれております。」

討伐経験者の雷使い、エリが魔導士としての意見をのべる。

「発言します。私たちが普段、討伐において狩る魔物は主に小型。ワーウルフやデスワーム、モンクやクロワシと呼ばれる魔獣です。非常に早く繁殖するため、かなりの数を狩り取ります。私の経験では一度だけですね。中型とされる魔獣のブレイクベアに遭遇したことがあり、その丈夫さに苦戦しました。その際魔導士に怪我人はでましたが犠牲者はいません。大型については見たこともなく、強さについても想定出来ません。以上です。」

不機嫌な表情の騎士団長が問う。

「風の知らせというが、サクラ、本当に間違いないんだな?現在力を発動している風使いはお前と7歳の少年の2人だけと聞く。他の証拠は一切ない、責任重大だぞ?」

こちらも不機嫌なサクラが返す。


「人間とちがって風は嘘をつきません!それでも信じられないなら誰か騎士の方が森を覗いてきたらいいじゃないですか。魔導士を疑うのなら自分たちで確認して来て下さい!」

全員がエェッという顔で、場が静まり返った。

「ゴホン、あ~、今朝方、結界の外からという条件で魔の森を観察してくるようにと、魔導士を3人送り込みました。力のある者たちです。結界越しであればもし、大型と遭遇しても逃げられるでしょう。とりあえずその帰りを待ちたいのですが。大型魔獣については文献も少なく実際に見たことがないので、こちらとしても何とも意見しにくいところです。」

魔導士長の言葉で、会議再開となった。


エリ・31歳・二つ紋の雷使い

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