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竜の子  作者: 前田ミク
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雷使いが戦う間に、火炎使いが怪我人を集める。リンは頭頂部から額までを爪で切り裂かれている。エリは両手を噛みちぎられて大出血の上、モンクに倒されたときに頭を打っていた。イズミは結界を破られた衝撃で腕の骨が折れた様子、衝撃と痛みからか立ち上がれない。

ユキヤが風に乗り、結界の中に逃げ込んできた。体当たりの後、受け身が取れなかったため、ユキヤは顔面血だらけだ。

「ユキヤ!お前怪我は深いのか?」

「鼻血だけで軽症。余裕で動けます。」

運よく地面が柔らかかったためにクッションになったようだ。サオリと魔導士長がリンとエリに回復魔法をかけるが、二人とも重傷で完全には治せない。

「出血は止められたがな。二人とも場所が頭と首だから、私達だけではどうにもできん。エリの指は3本も食いちぎられているし、感染症が心配だ。イズミ、お前もすぐには動けんだろう?」

瞬時に張った結界を破られると、術者には凄まじい衝撃があるらしい。イズミは座り込んだ状態で手をつき、やっと体制を保っている。

「怪我人が優先だ。撤退しよう。こちらの準備不足だ」

魔術師長の判断で引き返すことなった。

ユキヤがエリを、ケンヤがリンを背負って歩く。イズミは他の男性結界師に肩を貸してもらい何とか歩いている。途中でリンの意識が戻った。少し休もう、と魔導士長が指示し、みんなが腰を下ろす。

「リン、大丈夫か?俺だ、ケンヤだよ、わかるか?」

長年討伐に参加している仲間だ。ケンヤが心配しているのがよくわかる。

「う…急に頭に衝撃が、首が痛い…」

念のためタオルとテーピングで首を固定していたが、やはり痛むようだ。エリも意識はあるが、いつもの勢いはない。


また、歩き出す。崖の登りに来た。ケンヤがロープを固定し、一人ずつ上に上がる。ユキヤが真っ先にイオリとサオリ姉妹を連れて上がった。この2人がいれば大抵の魔物に対抗できる。ケンヤがロープで上がる魔導士を補佐している間に、ユキヤが怪我人とイズミ、魔導士長を連れて上がった。下りより時間はかかったが怪我人なく上がることができた。


ポーションを飲み、ケンヤとユキヤがまた背負って歩く。日々の体力作りがここで生きるとは、ユキヤも驚きだ。大結界が見えた。シュリと新人の結界師カズが騎士学生のテントにいる学校医に連絡してくれたらしい。その場で応急処置だけして馬車に乗りテントをめざした。

テントでリンとエリは感染症を起こさないように点滴を受けている。イズミはとにかく安静にして休むようにと睡眠導入剤を処方され、ぐっすりと眠っている。

そして、もう一人のけが人は…

「いたたたぃ、もう少し優しくしてよぅ!」

わりぃなと笑いながら、ケンヤはユキヤの顔の擦り傷を消毒する。ばんそうこう貼って終了。テントに帰ってから自分の顔を見て、ユキヤは本当に驚いた。

「うぅ、ひどいよぅ。こんなに絆創膏だらけなんて。鼻血だけだと思ったのに…」

ケンヤが爆笑している。広範囲の浅い擦り傷。この緊急事態に、誰も治療などしてくれない。ユキヤはもう泣きそうだった。

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