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進み始めてすぐにいつもの魔獣軍と遭遇。イオリが登場する間もなく狩る。ユキヤは不安になってきた。天龍を信用してないわけではないのだが、本当に何かがいるのか?そんな時、正面からざわりと強めの風が吹いた。瞬間、ユキヤが呟く。
「うぅ臭い。血の匂い?正面から。ウルフっぽいけど、わからない…」
魔導士長がみんなに警戒を促す。いつでも戦える準備を全員が整えた。続けて風に乗ってきた獣臭。風が帰れとユキヤに訴える。
「獣臭が、ひどい匂い。風が帰れと言い出した。でも正体がわからない。ウルフじゃないみたいです。」
そしてついに、以前転落した付近に付いた。
「これは…?いったい何がウルフを食ったんだ?」
何者かに食われたウルフの骨と肉片、あたまが転がっている。10匹ちかいウルフの死骸。ひどい匂いだ。
「ユキヤ!何か風は言ってないのか!?聞いてくれ!こいつは早いこと倒さないとヤバイやつだぞ」
だんまりを通していたエリがユキヤに詰め寄る。ざわりと風が吹いた。ユキヤが叫ぶ。
「気づかれた、こっちに向かってきてる!早い、逃げ切れない!!」
木々がざわざわと揺れ、サルに似た姿の魔獣だった。キラーモンク?いや、違う魔獣だ!
「何だこいつは?見たことないぞ。モンクもうちょい可愛いだろ!?」
討伐経験が長いエリが叫ぶ。風の声。ユキヤには正体がわかった。
「モンクが森の奥で変異したんだ!集団がきます!」
先手必勝とケンヤが雷を放つ、しかし
「かわされた!気をつけろ!動きが早いぞ!!」
こちらに向かって突っ込んでくる。イズミが結界を張るが、バリンと大きな音がして結界が破られた。
うぅ!とうめき声をあげイズミが地面にひざをつく。隣にいた新人魔導士がとっさに雷を放ったがまたもやかわされる。森の奥から仲間のモンクたちが出てきた。魔導士長が結界をはり声をあげた。
「こいつら、集団でここの魔獣たちを餌にしていたんだ。地形が変わって森の奥から出てきたわけか。」
結界を割られた衝撃から、イズミはダメージをおい動けない。雷も通じない。ならば!
「全員焼きます!みんな下がって!」
イオリがかけ声と同時に広範囲に火炎を放った。
衰えを知らないイオリの火炎。先頭にいたモンクは炭になる。群れの何匹かも火だるまだ。
「火炎の者、打ってくれ!!」
魔導士長の合図でみんなが炎を放つ。いける!全員が思った瞬間、リンが突然倒れた。頭から出血している。何があった!?エリの悲鳴。
「ちくしょう!!後ろをとられた!」
油断した。後ろの崖の上にも仲間がいた!音もなく1匹はすでに崖から降りてリンを攻撃し、隣にいたエリに馬乗りになって牙をむいている。近すぎて魔法で攻撃ができない!仲間たちがすごい速さで崖を下る。ユキヤがとっさにエリに被さるモンクに体当たりした。モンクと一緒に地面に転がり落ちる。ユキヤは素早く風でモンクを巻き上げた。イオリが崖にむかい火炎を放つ。よけようとしたモンクが1匹、火だるまになり暴れながら魔導士達の上に落ちてきたが、魔導士長が結界を張りみんなを守った。
ユキヤが風で巻き上げたモンクにケンヤが一撃。とどめを刺した。焼けた匂いを嗅ぎ、クロワシが集まり始める。魔導士長が隊列を素早く確認し指示を出す。
「雷の者、クロワシを頼む!結界師は結界を!」




