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「ユキヤ君!無理は…しないで下さい。あられと一緒に、帰ってくるの待ってるからね!」
討伐は何が起きるかわからない。スバルは毎回、いつも見送ってくれる。
「大丈夫だよ。必ず無傷で帰ってくる。それとさ、スバルちゃんにはオレがいるから。学校で仲間がいなくても、ここには君の仲間がいっぱいいるから!それは忘れないでね。」
スバルは驚いた顔をしたが、ユキヤは何となく気づいていた。帰り道、スバルはいつも一人だ。休みの日にお友達といっしょに遊ぶ姿も見たことがない。スバルはみんなじゃないと言ったが、学校に友達はいないのだろう。
出発の時間だ。
「よっしゃー!んじゃ行ってきますわ!バリバリ倒してくるから」
馬車に乗ったユキヤをスバルは見えなくなるまで手を振り見送った。
いつも通りの快調な出だしだ。夜、布団に入り天龍と会話する。天龍が毎回ユキヤの夢に出てくるのは、波長を合わせやすいから、らしい。
「お前が生まれる前はフウマと話しをしたんだが。3回に1回くらいしか合わせられなくてな。お前は俺の力を強く引いているから合わせやすいんだよ。明日は気を付けてな。」
ついでにリンは必要に応じて水龍と会話しているらしい。起きたら聞いてみよう。
朝が来て、大結界の前。今回はイオリサオリ姉妹も参加で目の保養的なメンバーだ。初参加が3人で、1人は結界師のため今回はシュリと新人が結界の修復を担当。イズミは討伐に参加だ。ケンヤとリンはロープを持っている。今日はあの斜面付近を討伐するのだ。魔導士長がみんなに説明する。
「今回は斜面沿いをいく。本来なら地盤がしっかりとした秋が望ましいのだが、前回の討伐からしばらく期間が開いている。風の声も気になるのでこの道に決めた。各自がまず、自分の安全を確保するように!」
天龍が言うには、例の1泊野宿の場所から時々、大きな生き物の気配がするというのだ。今朝一番に魔導士長に告げると、すぐに騎士団からロープを追加で借りた。
いざ、斜面をめざして進む。風の知らせにユキヤは耳を澄ませた。魔獣が集まっている、沢山くらしてる、行かないで、さわさわと吹くそよ風からは大きな情報はない。一応ユキヤはみんなに知らせる。
「風の知らせは沢山いる、魔獣が集まっているしかないですね。」
魔導士長がユキヤに指示する。
「魔獣が集まっている、というのが気になるな。崖の傾斜がかわって魔獣たちの新たなコロニーが出来ている可能性がある。放置すれば奴らはまた進化する。ユキヤ、どんな情報でも聞き逃さないでくれ!」
前回ケンヤがロープを張って登った場所に来た。今回はこの道を下る。慣れた手つきでケンヤとリンがロープを縛る。
「みんな、配った軍手をはめてくれ、俺とリンが補佐に付くから2人ずつ降りよう。ユキヤ、長と女性陣を連れて降りてくれ」
ケンヤの指示で下り始めた。ユキヤも体を鍛えた甲斐があり自分に掴まってくれれば大人2人は抱えて風に乗れる。イオリサオリの美人姉妹を抱えて降りた。役得とはこのことか。ロープの本数が多いのとユキヤの稼働で20分とかからず降りられた。一行は森の奥へと進み始めた。




