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雷の攻撃は、当たれば必殺の1撃になる。体力の消費も小さく、長時間戦うことが可能。しかし広範囲を攻撃するのには向いていない。地面がぬれていたり、相手が動かずまとまっていれば不可能ではないが、ワーウルフはバラバラに素早く動くのが特徴。本来なら火炎の力で周囲一帯を焼く方法がとられる。だがここには戦える炎使いはいない。
やるしかない、僕が頑張るしかない!ユキヤは大きな声で向こうの結界師に指示をだした。
「僕が竜巻を起こします!結界を張って下さい!いきます!」
ユキヤの掛け声の直後、周囲の風が渦を巻き始める。みるみるうちに巨大な竜巻になった。ウルフが全て飲み込まれていく。もう十分だ、ユキヤは風を止めようとした。
「あれ?え!どうして…上手くできない!」
止めようとすればするほど、なぜか風の力がどんどん強く、大きくなる。周りの声も聞こえない轟音。どうしよう、どうして!?
「大丈夫よ。落ち着いてゆっくりと力を抜いて。できるできる、大丈夫だからね。」
後ろから炎使いの女性の声がした。ユキヤは深呼吸をして落ち着き、力を抜く。風がみるみる弱まった。
風が収まってから景色をみる。草木が吹き飛ばされ、地面は大きくえぐれていた。向こうの仲間は?見ると結界師二人が必死の形相で結界を張っていた。僕は一体…何が起きたのかわからない。体がガタガタと震えてユキヤはその場に座り込んだ。
「大丈夫か!?8人ともよく耐えてくれた!すぐに行くから、もう少し待ってくれ!」
魔導士長の声がずっと近くで聞こえた。不思議に思い上を見上げる。張り出した崖や木の根っこで見通しが悪かった斜面が、スッキリとしていて上をがよく見える。竜巻にえぐられて崖の視界が良くなり角度も大きく変わっていた。用意していたロープをケンヤが下におろし、上に残っていた魔導士がロープにつかまりながら少しずつ下りてきた。滑落現場にみんなが降り立ち討伐団18人が全員揃った。
「フゥ、とりあえず怪我人をみんな治療しよう。怪我の無い者はポーションで体力を回復させて今後の動き方を決めようと思う。」
指示を聞きみんなが動き出す。ユキヤの足首もサオリが直してくれた。
「ユキヤ君、よく頑張ったわね。みんな無事に集合が出来てよかったわ。」
サオリが言葉をかけてくれたが、結局全員が崖下に集合となってしまった。ユキヤはうつむき落ち込んでいた。これまで風がコントロールできなくなったことなどなかった。自分は、魔力暴走をしたのか?
「みんな、私がこのルートを選択したせいで怪我人まで出してしまい申し訳ない。この道はもともと獣道であり、崩落の危険性は元から言われていたんだが、魔獣がどこに潜んでいるかわからない以上、どうしてもこのルートを確認する必要があった。晴天が続いたことで地盤を過信した私の責任だ。許してほしい。」
魔導士長が全員に向かい、頭を下げた。




