表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の子  作者: 前田ミク
6/236

魔導士長が部屋を出た後、すぐに中央神殿に勤める神官補佐官がやってきた。今夜はこの神殿に泊まるようにと魔導士長に言われたため、二人はそれぞれ宿泊用の部屋へ通された。。窓を見れば、夕日はすでに沈みかけている。ミサキは疲れもたまっていたことから、ありがたく宿泊させてもらうことにした。

夕食後、ミサキは用意された部屋でのんびりしていた。何ともあわただしい日だった、不安を口にしていたユキヤのこともとても気になる。明日は朝一番に帰路につこう。


突然、ドンドンとドアを乱暴にノックされる。返事をする間もなく魔導士長が訪ねてきた。

「えぇ!?魔導士長?一体どうされたのです?」

驚いてミサキが尋ねると、早口だがしっかりとした声で魔導士長がかえした。

「明日、王城で緊急会議が開かれる。風の知らせを受けた2人にも参加を要請する。国王参加の会議になるようだ。よろしく頼む。急ぐのでこれで失礼する。」

あまりにも急な話。そして反論の余地も無し。国王も参加の会議って…

「はぁぁ~~!??」

ミサキの叫びと同時にドアがまた、勢いよく開いた。そこにいたのはサクラだ。

「ねぇ!私はお城の会議とか出たくないんだけど!ってか、私は出られないわ!悪いんだけどあなた、一人で行ってくれないかしら!?」

オイオイ!なんちゅー勝手な、そんなこと僕も一緒だし!

「そんなこと言われたって、僕だって出たくないですよ!押し付けないでください。しかも僕は直接風の知らせを聞いたわけじゃないんですから。サクラさんはもう絶対参加ですよ。」

サクラの元気がどんどんなくなっていく。

「え~、そんなぁ。緊急会議の原因が私だってばれたら絶対パパ不機嫌だし…会議室で説教とか?絶対にやだなぁ~」

…ん?パパ?会議室で説教?

「サクラさんのパパギミは、魔導士さん?それともお城の??」

「うーん…えっとねぇ、私のフルネームは湯上沢(ゆかみさわ) (さくら)。父がね、城の防衛騎士団の団長してるの。会議に来ちゃう」

そうだった、子供の頃、確かに聞いたことがある。貴族の家に竜の子が産まれたと。つまりは、だ。

「君、貴族のお嬢様だったの??え?本当に!?」

「こんなところで嘘ついてどうするんですか!?本当に本当です。だから嫌なのよ、会議参加。」

空から降ってきたこの人が、実は貴族のお嬢さん…

この時ミサキは学んだ。貴族の娘は必ずしも淑女ではないのだ、ということを。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ