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転落の衝撃で、しばらく動きが取れなかった。上から魔導士長の叫ぶ声が聞こえる。ユキヤはゆっくりと起き上がり周りを見る。6人が倒れていた。
「うぅ、だ、大丈夫か…全員、意識は…あるのか?」
年長と思われる男性に声をかけられた。上からの魔導士長の声もきこえる。
「大丈夫か!?怪我は?落ちた者の名を教えてくれ」
魔導士長の呼びかけに、声がだせる状態のユキヤが答える。
「魔導士長、ユキヤです。僕は左足首をひねったのと、体をあちこちぶつけたみたいです。えーと、あとダイキさんとセイア君も全身打撲みたいで、ハヤト君とナツキ君が足を骨折。あと…あとツバサ君が頭を打ったようです、意識はあります。」
結界師が2人、雷使い3人、風が1人。回復に秀でた者はいないが、結界師が回復術を使えるようだ。魔導士長の声が聞こえる。
「骨折はナツキとハヤトの2人、ツバサが頭を打ったんだな?そこにいるのは6人で間違いないか!?」
「僕を含めて6名で間違いありません。」
「ユキヤだな、ここからは下がハッキリと見えないんだ。ユキヤ、もし動けるなら周辺を飛んでみてくれないか。あと2人滑落したはずなんだ!」
魔導士長の言葉にユキヤは驚く。落ちたのは6人ではなく、8人だったのだ。
あと2人?結界師が骨折した二人の治療を始めたが、結界師自身も怪我をしている。もう一人の雷使いツバサは頭を打ったようだ。意識ははっきりしているが、動かしたくない。
「ユキヤ君、今、風に乗れそうか?」
結界師のダイキに確認される。足はひねっているし全身痛みがあるが、動けない程ではない。
「ここは崖の途中で、俺たちでは思うように動けない。不明の二人を捜してくれないか?ここは結界の中だ。ボヤッとしていたら、魔獣に食われるぞ。」
ユキヤは風に乗り、周囲を見渡す。草が茂り視界が悪い。その中でユキヤはローブを見つける。
「あぁ!いた、いました!女性が二人。意識がないです!魔導士長、どうしよう!?」
確か一人は炎使いだ。もう一人は多分結界師。外傷は見当たらない、脳震とうか?魔導士長の声。
「ユキヤ落ち着いてきけ、二人に外傷はなさそうか?」
「えっと、あの!はい、出血とかなさそうですが、どうしよう、よくわからない!」
「落ち着きなさい、いいか、頭を動かさないように気を付けて、肩を叩いて声をかけてみるんだ。今ケンヤとリンがロープで降りるよう準備している。それまで二人に付き添って、魔獣がでたら君が戦うんだ!」
そうここは、いつ魔獣がでてもおかしくない!あっちの5人は怪我はしているが攻撃手がいる。この2人は…ユキヤは魔導士長の言う通り、肩を叩き声をかけた。二人が目をあけた。
「あ、よかった!あの、わかりますか、僕はユキヤ。痛い所とかありますか?」
二人は周りを見渡し、不安そうな表情をした。
「ここは…私達どうなったの?すごく頭が痛い。ぶつけたのかしら…」
火炎使いの女性が小さな声で必死に自分の状態を伝える。もう一人はまだ、ぼんやりとしている感じで、喋らない。ユキヤは不安でいっぱいだった。




