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秋になり魔獣討伐の日がやってきた。ユキヤはスバルが作ってくれたお守りを胸のポケットにしまい出発した。朝5時の騒ぎは今回も健在で、いつになったら卒業できるのだろうかと思う。そして前回同様に馬車に乗り込み出発した。
今回はサオリも参加できるとのことで安心感がグッとます。子供はサオリのご両親と夫がみてくれるそうだ。同じ馬車になり、ユキヤはサオリと話しを楽しみながらの道中となった。
「前回はユキヤ君が表彰されたのね。すごいわ。今回もお互いに安全第一で頑張りましょうね。」
ブロンドヘアに緑の瞳。整った顔立ちは人形のよう。エルフが森の妖精と呼ばれる理由がわかる。
イオリとサオリは双子姉妹だが2卵生のため、顔だちが少しずつちがう。イオリの方が髪色が濃く、瞳は薄めの青。サオリは儚げな印象だが、イオリは可愛く親しみやすい顔立ちだ。どちらが美人かと聞かれたら、完全に好みによるから決められないだろう。
「エルフ族の方は、皆さん美人ぞろいですよね?特別なスキンケアとかしているんですか?」
うーん、と考えながらサオリが答えてくれる。
「特にケアはしてないかな。祭りの時以外は化粧もしないし。ユキヤ君、スキンケアに興味があるの?」
ち、ちがいます!と慌てるユキヤ。遺伝子的にエルフは綺麗ということか。そんなことを考えていると、いつもの休憩所に到着した。今回も騎士学校の生徒がテントを立てていた。食事の後、ユキヤはいつもの場所で休憩し、早めに布団に入った。天龍に会うのは久しぶりになる。元気だろうか。
「久しぶりだな、もうこの時期になったのか。」
「天龍!お久しぶりです、なんか、あっという間にこの時期になっちゃった」
エヘヘと笑うユキヤ。天龍が話しかける。
「番いとはうまくいっているのか。まだ幼いが大切にしてやれ。いずれお前が番いに救われる日が来る。」
「もちろん。スバルちゃんのいない人生はもう考えられない。嫌われたくないし。大切な相手です。」
天龍が優しい顔で笑った。大切な相手がいる者同士、通じるところがあると思う。討伐、気をつけてな。そう言って天龍は消えた。
目が覚めると早朝。準備をして馬車に乗り出発だ。
今回も風の声を聴きながらみんなと一緒に注意深く森を進む。風の情報では大きな魔物はいないようだ。小型の群れを見つけては確実に狩っていく。ベテラン勢がいて心強い。上空にクロワシが集まり始めた。
「ユキヤ、頼めるか。」
ユキヤがクロワシを風で巻き落とす。風の強さの調整も完璧だ。
事件は帰り道に起きた。前回とは違う足場が不安定なルートを進む。討伐にはいくつかのルートがあり、天候や人数によってどの道の討伐をするか決めている。今回は初参加の魔導士がいないことから、前回通らなかった難しいルートを通ったのだ。みんなが気を付けて進む。
「わあああ!!」
突然後ろから悲鳴。何事かと振り向こうとした途端、ユキヤの足元がズルズルっと崩れ落ちた。後方を歩いていた魔導士の足場が崩れ、ユキヤも巻き込まれて土手下へと滑り落ちた。




