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スバルはキッとユキヤを睨んだ。
「からかっているんですか!?いい人だと信じていたのにひどい!私は赤ちゃんが産めないんですよ!?」
ユキヤは思い切り反論した。
「からかうなんて!スバルちゃんこそひどいよ!僕は本気です。だってそうでしょ?子供は産めないけどスバルちゃんは普通の人と同じように生きていけるって。生きられるなら僕のお嫁さんになってもらわないと。あなたは僕の運命なんですよ?」
ユキヤはスバルに説明した。運命の相手がわかること、出会った以上はスバルがいない生活には戻れないこと、スバルが成人するのを待っていること、自分の気持ちを正直に話した。
「今は友達でいいです。あなたはまだ12歳。恋愛なんて重たいでしょう?あなたが大人になった時、正式にプロポーズをするはずでした。こんなタイミングですみません。」
スバルは、涙をぽろぽろと流しながらユキヤの話しを聞いていた。そして答えた。
「私と結婚しても、ユキヤさんの子供は産めないのに…」
「あの、スバルちゃんは子供を産むことにこだわりすぎかな?世の中、子供がいないご夫婦は沢山いるし、どうしても子供を育てたいなら里子制度がありますよ。なんて言うか…僕はあまり血のつながりとか気にしたことがなくて。スバルちゃんは知らないと思うけど、僕は親に見捨てられて東神殿で育ててもらったから…」
えっ!とスバルの小さな声が聞こえた。
「本当の親とは、僕が何才の時だったんだろう?とにかく顔も覚えてなくて。兄弟がいるってことも聞いたことがあるけど、会ったことはないし。でも僕には家族がいました。神殿のミサキさんや職員の人みんながお父さんやお母さんで。今はミサキさんが結婚して、その子供たちが僕の妹で。」
ユキヤの話しはスバルにとっての衝撃だった。スバルは両親と離れてはいるが手紙のやり取りを欠かしたことはない。親子は血でつながっているものだと思っていた。ユキヤが話しを続ける。
「お互いになんか、カルチャーショック?みたいな。全然違う環境で育ったから仕方ないですけどね。いろんな家族の形があって、職業もこの世界には本当にたくさんあるんですよ。僕も今はまだ何をしたいのか決まってないし。だから、みんなと一緒じゃない、僕とスバルちゃんだけの生き方を探してみませんか?」
ユキヤの提案がストンと理解できた。不安も感じない。そうか、私は…スバルがユキヤに告げる。
「私は、ユキヤさんが、好きなんだ。嫌われるのが嫌だった、会えなくなるのか怖かったの…」
スバルの気持ちをきいてから、ユキヤはますます中央神殿に通うようになった。ミサキとサクラは笑いを押し殺しながら見守っている。大人の先輩として、ミサキから
「ユキヤ、男の子だからお前の気持ちはよくわかる。しかし!スバルさんは12歳。自分をコントロールして、間違いは起こさないように。軽い気持ちや興味本位での行いは絶対にダメだよ!」
クギをぶっすり刺された。ミサキさん大丈夫、あなたの息子はまだキスすらいたしておりません。街で散歩やショッピング、図書館でスバルに勉強を見たり、ユキヤが今まで経験した仕事の話しをすることもある。天龍からの忠告を守り、ユキヤとスバルは若く幼いなりに寄り添いながら過ごしていた。




