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竜の子  作者: 前田ミク
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医務室から出てきたユキヤを女性職員が待っていた。マリという名前らしい。

「スバルちゃんは検査結果を聞いてから、お部屋に引きこもってます。落ち込んでいるようです。南の地域は、昔から子供を産んでこそ一人前の女性という考えが根強い場所です。ユキヤさん、スバルちゃんに会って話してみますか?」

マリに連れられて初めてスバルの個室にきた。ドアをノックし扉を開ける。スバルは泣きはらした目をしてベッドに座っていた。

「お加減いかがですか?具合が良くないって聞いて急いで来たから、手土産もないや。ごめんね。」

スバルはユキヤを見てからすぐに視線を外した。

「私…別にお土産なんて頼んでないし!別にユキヤさんに…」

スバルは言葉に詰まった。ユキヤに会いたくない、と言うはずだったのに。なんで?その間に、ユキヤは部屋の椅子を持ってきた。スバルの正面に座り話しかける。

「さっき先生からお話しをききました。痛みとかはないですか?具合は?お熱とかはないんですね?」

スバルはこくりと頷いた。女の子として生まれた。火炎の力が強く、覚えていないが南の神殿を爆発炎上させたためこの神殿に来た。神殿を焼き尽くした話しを聞いて怖がる職員もいたけど、魔力暴走を起こしたのはあの1度きり。でも、神殿を丸焼けにした私みたいな女の子、お嫁さんにいけるのかな?そう考えることはたびたびあった。

「先生から、お話しを聞かれたんですよね?私、赤ちゃんが産めないって。私、一生男の人と一緒の仕事して生きていかなきゃダメなんです。船に乗って漁をして、お嫁さんにいけないから。」

「へぇっ!?そ、そうなんですか?子供を産めないとみんなが漁師になるんですか?他の仕事もたくさんあるのに、なんで漁師なの?」

ユキヤは不思議すぎて思わずスバルに質問していた。実はユキヤ、南地域は荒波の漁でとれた魚が美味い!以外あまり詳しくないのだ。スバルが語りだした話は衝撃的だった。

「私が産まれた村は南地域の離島です。南には人が暮らす離島が3つあるんですが、島民のほとんどが漁師か、魚をさばいたり箱に詰めたりするお仕事をして生活しています。医師がいる島もあるけど、私が産まれた島には病院がいなくて、私を出産するとき、母が危険だと産婆さんが隣の島からお医者さんを呼んで、それで産まれたのが私です。」

南は離島や台風の災害が多いため、いざという時に避難所になる神殿は海からかなり離れた内陸側にある。ユキヤは神殿がある地域は見たが、離島や港町は見たことがない。

「漁は力仕事で、船に乗るのは男性です。でも例外で。子供が産めない女は男と同じように、船で働き船で死んでいく。それが島の習わしです。陸での仕事は子供がまだ小さい人達の仕事。子供がいないなら私も船に乗って漁師になるんです。」

静かに聴いていたユキヤが話しを遮る。

「でも、スバルちゃんは漁師にはなれません。大人になったら僕のお嫁さんになるんですから。」

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